のほりひがし。 東の感想ブログ

【ネタバレ注意・あらすじ感想】映画『アメリカの友人』友情はムリと言う2人の奇妙な関係

映画感想

ヤッホの東です。
映画『アメリカの友人』の
話に触れていきます。

1977年に公開された
西ドイツ・フランスの映画。
映画『ベルリン・天使の詩』の
ヴィム・ヴェンダース監督や
ブルーノ・ガンツが携わっている作品です。

『ベルリン・天使の詩』の記事はこちらに。

1974年に出た
パトリシア・ハイスミスの小説
『アメリカの友人(英語版)』の
リプリー・シリーズ第3作
「リプリーのゲーム」が原作になっています。

ネタバレがあるので
それでもいい人だけ進んでください。

あらすじ

病気を患っている
ヨナタン・ツィマーマンは
絵画の額縁職人をしながら
家族と静かに暮らしていました。
けどトム・リプリーと出会ったことで
彼は暗殺の仕事を請け負うことになります。
その中で描かれる
2人の奇妙な関係の物語です。

 

登場人物・キャスト

■トム・リプリー
演:デニス・ホッパー

詐欺師。
生きている時間が長くなる程に
自分がわからなくなると。
ひとり涙目になっている
彼を見て、リプリーも
ギリギリの所にいるのを感じてた。

■ヨナタン・ツィマーマン
演:ブルーノ・ガンツ

病気を患っていた絵画の額縁職人。
リプリーと関わったことが
彼の体にも負荷を与えていました。

■ラオール・ミノ
演:ジェラール・ブラン

マフィアと繋がりのある人物。
プロを雇わず、素人に
暗殺をさせることに拘る理由。
自分が関わっていることが
バレるのだけは避けたいようだった。

 

感想

この映画は監督が
故人であるアンリ・ラングラワに捧げた映画です。
彼はパリにある文化施設
(4万本以上の映画などを
保管している場所)と
映画博物館の創設者
でした。

そしてヴィム・ヴェンダース監督が
敬愛していた巨匠
ニコラス・レイ
サミュエル・フラー
D・シュミット
ジャン・ユスターシュ
たち
4人の映画監督が
出演している
という
珍しい作品でもあります。

 

リプリーに目をつけられてしまったヨナタン


シネ・ウィンドより出典

主人公はデニス・ホッパー
演じるトム・リプリー。
彼は詐欺師でした。

亡きアーティストの
贋作(がんさく:ニセモノの作品)
を用意して、オークションに出す毎日です。

そしてハンブルグにある美術商の
画廊で出会ったのが
ブルーノ・ガンツ演じる
額縁職人のヨナタン・ツィマーマン

この出会いがヨナタンを
悲劇に巻き込むことになります。
 
ヨナタンはリプリーの売る
絵を見て、偽物だと勘づいていました。
それだけでなく病気のこともあって
不機嫌なヨナタンに
リプリーは警戒気味。

この時、ヨナタンは病気で
治る見込みがないことを
人づてにリプリーは、知る
ことになります。
 
更その日の夜、リプリーの所に
ラオール・ミノ
(ジェラール・ブラン)
がやってきました。
彼はマフィアと繋がりのある男。

ミノは人を殺すため
男を1人用意してほしい
と話してきます。
それに選ばれてしまったのが
ヨナタンでした。
 
こうしてミノはヨナタンに
会いに行き、知り合いに。
病気の不安を抱えていたのもあって
25万マルク(1800万円くらい)の
仕事を引き受けることになります。

 
この時はまだ
病気も悪化はしていなかったヨナタン。
医師は様子を見るので十分なはずでした。

けど彼の知人がポロッと
治らない病を抱えていると
こぼしてしまったことで
リプリーに目をつけられてしまうと。

しかもその話した人は
ヨナタンに対しては
喋るわけがないと、嘘をつくっていう。
悪意があったわけではないけど
それが彼を暗殺へと巻き込んでいくことに。
 
また後々、ヨナタン自身も
ポロッとリプリーの秘密を
ミノに喋ってしまうシーンがあります。

それは怒っていたミノに対して
危機感を感じたからのこと。
けど自分が話したことで
会話に出てきた人が
危うくなる状況が、何度か映し出されていました。

 

監督の映画への嫌悪と愛

監督は映画を通して
アメリカ映画のあり方への
気持ちを表していました。

投資を目的に絵を買う人を
好きじゃないと言うヨナタン

そう言う彼は
トリック写真のオモチャを
リプリーにプレゼントします

口をへの時にした表情と
笑顔がコロコロ入れ替わる絵。

リプリーが初めて
ヨナタンの店に訪ねてきた時でした。
 
そしてこの作品には
映画に関係するアイテムが
色んな所に散りばめられてます。

ヨナタンの子供の部屋には
回転のぞき絵が。
それが回ることで
動いてるように見える
映画の基礎になっているものなどです。
 
後半ではリプリーから
ヨナタンへのプレゼントもありました。
小さなオモチャの中を覗くと
女性のアハーンな
インスタント写真が
上から下に流れてくオモチャ。

こうしてお互いに
トリックのオモチャを、交換した2人。
彼らの関係は、決して良好ではなく。
困難の中で、友情のようなものが
芽生えているように見えなくもない。
けど詐欺師のリプリーは
映画の終盤まで
自分のことを明かしませんでした。
 
笑顔と怒った顔が
クルクル入れ替わるオモチャ

小さなオモチャの中にだけ映るキレイな人。

2人のお互いを憎む気持ちと
助け合う両方が、混ざっている作品
に見えました。
そして絵の投資や贋作を
批判するヨナタン

ヴィム・ヴェンダース監督の
尊敬する4人の映画監督の出演

このことや、トリック絵たちが
映画への嫌悪や愛を表してみえました

 

ミノに騙されていた2人

ヨナタンは奥さんに秘密で
ミノから暗殺の依頼を受けることになります。
1番の嘘つきは彼だった。

ミノはヨナタンに会って
早々、不治の病と言って
彼の不安をガンガンに煽ってきます。

事実、ヨナタンも
自分の医師から余命は
5年か1ヶ月か、症状が不安定で
先は読めないと
言われていました。
 
ミノに連れられて受けた
病院での診断結果は残念なものに。
けどこれはミノが用意した
偽の診断結果
です。

これがヨナタンの
暗殺を実行する
決め手になってしまいます。
 
そして1人を暗殺。
ターゲットにバレるし
動揺しまくり、監視カメラに
不審者として映りまくりで
ヒヤヒヤでした。

けどなんとかクリアした彼に
出された報酬額は
25万マルクの半分。

全額渡すには、2人目の
暗殺が条件
だと。
降りるというヨナタンを止め
どうしても彼に
暗殺をさせようとするミノでした。
nbsp;
けど2人目の話は、リプリーの
聞いていなかったこと。

汽車の中っていう
逃げ場のない場所

暗殺を命じてくるミノ。
プロを雇えと止める
リプリーとは違って
ヨナタンのことを
少しも考えてはいませんでした。
 
ヨナタンが暗殺に関わる
きっかけを作ったのはリプリーなのに
彼がヨナタンに暗殺をやめさせようと
する
のがなんとも。

ミノはヨナタンだけでなく
リプリーのことも騙していた
と。
その分のツケが、後々
回ってくることになります。

 

リプリーとヨナタンの友情ではないけど、奇妙な関係

自分が誰なのか
日に日に混乱が増していくリプリー。
彼は本当はヨナタンに
友達になってほしいと思っていたのでした。

けどそれはムリだと。
そしてそれを聞いて
安心したと言うヨナタン。
2人の関係には奇妙な関係ができていました。
 
汽車での暗殺は
1人目以上にヒヤヒヤで。
素人のヨナタンは
すぐに暗殺を企てていることが
相手にバレてしまいます。

その時の、ヤッベって様子から
始まって、変装したリプリーの登場。
そこからの狭いトイレでの
もみくちゃはコミカルに描かれています。

けどいつバレるかわからない
緊張状態は、ヨナタンの
体に相当な負荷をかけていました。

 
無事帰還した時に
リプリーは、暗殺のことを
知っていたとヨナタンに話します。

そしてリプリーが助けたことは
ミノに言うなという
約束をヨナタン破ってしまう
ことに。

対してのリプリーは
どこで病気のことを知ったのか
と聞いてくるヨナタンに
彼の知人が病気の話を
してきたのだと
漏らすことはありませんでした。

その違いも、面白かった部分です。
 
そこからミノと
リプリー、ヨナタンの
決着をつける時が始まります。

たくさんのお金だけが残る
悲しい結末が待っていました。


シネ・ウィンドより出典

 

配信一覧

U-NEXT

配信ページはこちら