のほりひがし。 東の感想ブログ

『血の轍』11巻 静一と静子で違う現実を見ていたとしたら【ネタバレ注意・あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

きてます、東です。
今回は『血の轍』第11集のことを、書いていきます。

作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。

赤の表紙になってからの
展開がすごいです。
今まであったことが
どんどんひっくり返っていきます。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。

あらすじ

田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。

静子が全ての元凶のようにして
思い込んでいた静一。
けどその全部が
本当は逆の出来事だったら?

急展開が待っていました。

登場人物

■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。

静子が圧倒的な悪として
描かれてきた『血の轍』。
けど本当は、静子こそが
静一に怯えている人だったら。。。

■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
キレイで恐ろしい静子。
それが静一の中にだけ
存在する人だとしたら。
本当の静子らしい人物が描かれていました。

■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
彼の目に、静一と静子の姿は
今までどう映っていたんだろう。

■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
今回はお休みです。
けど彼女から見た静一も
本当は違う人だったりするのかな。

■三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
彼もどこまで知っていたのか。
話しを聞きたかった。。。

 

感想

全てが静一の妄想だったら

何も身に纏っていない
巨大な長部 静子
(おさべ せいこ)
がいました。
キレイで恐ろしい静子。
純粋でかわいい静一(せいいち)

静子は、静一が自分の
見たいようにしか
現実を見ていないのだと言い出します。
そこで本当の姿を見るよう
彼女に言われ
場面は、事件のあったあの崖の上へ。

そこにいた静子、静一
いとこの三石 しげる
(みついし しげる)

これまでとは別人でした。
そして静子から見ていた
あの時の出来事が、静一の目に映ります。

 

みんな見た目も違うけど
静一が怖すぎてた。笑
そしたら、自分の知っている
静一や静子、しげるはなんなんだろう。
他の人は、どうなんだろうって。
もう渦に飲み込まれるような感じでした。

静一に怯えている静子。
落ちかけたしげるを
必死で抱え込むも
突き落とさせたのは静一でした。
彼の許しを得るために
彼女は、しげるを突き落としたのです。

 

静一の見ていた現実とは違うものでした。
けど疑問に思ったのは
静子が警察に話した動機のこと。

彼女はしげるが静一に見えたからだと
静一の見ている現実では言っていました。
けど静子の現実は、そうじゃありません。

静一と静子で見ている世界が違くて
どっちが本当なのか
それともどっちも本当なのか
よくわからないでいます。

静子の現実を見て
自分の罪を知った静一。
彼の前に、血を流した
3歳の自分が現れます。

静子が高台から落とした時に
死ななかったのがいけなかったと。
このことを知り
消えたがっている静一に
「じゃあ、ぼくをころして。」と
話しかける3歳の静一がいました。

 

静子がこれまで
消えたい消えたい言っていたのは
本当は静一が思っていたことなのではと。

3歳の自分が死んでいれば
それ以降の物語はありません。
自分の妄想の中を彷徨う静一は
3歳の自分を
静子と同じように抱き上げ
歪んでいく彼を
崖の上から突き落とすのでした。

けど自分を突き飛ばしたはずが
一瞬でその体は大きくなり
辺りには雪が降っていました。

目の前を落下していく
その顔は、今までと同じしげるのもの。
笑顔で「ありがとう」と言うしげるが
落下していきます。
何が起きたのか、よくわかりませんでした。

 

静一は、目を覚ますと自分の部屋へ。
けど家には、雪の残った
ジャケットと、長靴が。
そして警察から
しげるがいなくなったという
話しを聞くことになります。

彼は、夢と現実の
区別がつかないでいました。
夢の中でしたことが、現実に。

しげるは、静一が夢で見た場所に
倒れた状態で発見されます。
こうして静一は、警察へ行くことになるのでした。

 

何を見ても驚くこともなく
あの頬を赤くしていた
静一はもういません。

薄ら笑いを浮かべて
どこか冷めているような。
3歳の静一と、しげるが
どうして重なってしまったんだろう。

しげるの「ありがとう」の
意味もわからず。
いろんな疑問を残したまま
話は警察署での静一のことへ。

 

本当の自分に戻ったか、一部が抜け落ちてしまった静一

事情聴取が続きます。
静一は相変わらず
淡々と話していました。

しげるの死亡が伝えられた時に
ほっとしたように
「よかった・・・ちゃんと死ねて」
と言う静一がいました。

とうとう狂ってしまったと。
それか何か悟ったような、そんな気さえしました。

 

もう静子のせいにはできないと
自分の罪を受け入れている静一。
周りの声も、よく届いていないみたいでした。

「ぜんぶおわった。
もうみんな いなくなった。」と言う静一。

これだと、しげるばかりが
悲惨な目に遭っているように見えてきます。
けどどうして彼は、喜んでいたのか。
このループから抜け出せません。

 

その後、静一は少年鑑別所へ。
この収容施設で、処分が決まるまで
過ごすことになります。

その間、外部とのやりとりは
弁護士を通じて行うように。
一郎が手配してくれた
付添人(つきそいにん)です。

この事件のことを、静子は知っているのか。
彼女にどう思われるかを
気にしている静一でした。

 

静子が見ていた現実はなんだったのか。
みんな一人ひとりが
同じことからも
違う現実を見ているようで。

今までのことがひっくり返って
新たな謎の中にいる東でした。

 

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