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『血の轍』12巻 ボロボロの息子を見捨てた母親【ネタバレ注意・あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

ヤッホの東です。
今回は『血の轍』第12集のことを書いていきます。

作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。

読み終えて、やばすぎると思った。
何がやばい。
静子がやばい。
彼女の全てがやばい。
でも美人。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。

あらすじ

田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。

静一の証言から、周りの大人は
彼のことが見えてきていました。
けど静一には
彼らに見えていなものが見えます。
幻覚なのか、事実なのか。
彼は混乱しながらも
自分を見つめ続けていました。

そうしている間に
静子がまた、嘘の証言をし始めます。
静一にとって、とんでもない
現実が待っていました。

登場人物

■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。

どんどんやつれていく静一。
これまでにないくらいひどい状態に。
そんな彼に追い討ちをかけたのが、静子でした。

■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
捕まって、自分を
見つめ直した静子は
しげるを突き落としたことすら忘れてそうでした。
静一が見た彼女にとっての現実は
なんだったんだろう。

■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
静子が何をしでかしても
庇ってしまいそうな一郎。
彼は彼女の何を見ているのか。

■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
今の静一の中にはいない彼女。
それでいいのか由衣子と、何度も言います。

■ 三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
彼の死は、なんだったんだろう。。。

 

感想

結局静子のことばかりな静一

長部 静一(おさべ せいいち)
少年鑑別所での日々を過ごしていました。
いつも下を向いていて、生気がないような。
そこでは自分と向き合う時間が
大切なことだと言われます。

この日、静一は調査官に
母、静子(せいこ)のことを
質問されていました。
静一が、頭の中で静子を殺しても
結局、現実から彼女が
いなくなることはありません。

面会に来た
父の一郎(いちろう)
あれから痩せ細り。。。
けど彼のことは眼中にないのか
何も気にすることなく
付添人に、ママは自分のことを
知っているかと尋ねる静一。

返事は「ただ黙って泣いてた」と。
その言葉に、彼は調査官から
与えられたノートを開きます。
そして言葉や絵を
狂ったように書き殴っていました。

 

翌日、調査官はそのノートから
静子が静一の、すべてであることを理解します。
そこから、精神的に
静一が静子に殺されていたこと。
だから彼は、自分が無いのだと。
そして静子がいなくなったことで
彼自身もいなくなってしまったのだと。

第10集で、しげるの
言っていたことが重なってきていました。

そこから調査官は
静一が起こした事件の動機を推測します。

自分を取り戻そうとした
静一は、無くなってしまった
自分を取り戻すため
静子と同じように
しげるを突き落としたのだと。

それが、死んだ自分を
生き返らせたいと言っていた静一が
無意識に出した答えだったのかもしれません。

 

けどこれじゃあ、しげるが
本当に親子2人に
殺されたようなもんじゃって。。。

2回も突き落とされたしげる。
かわいそすぎてるのに
彼はどうして「ありがとう」って言ったんだろう。

それがずっと引っかかっています。
それも静一が見たいものを
見ているだけの、幻に思えてきたり。
幻覚の中の、3歳の自分を
重ねて見ていただけなのか。

 

またしげるはどうして
静一の家に来たんだろうとも。
それも本当は、静一が自分で
呼び出していたんじゃと考えました。

静一の記憶も、もう
どれが本当なのかが分かりません。
けどしげるは静子に突き落とされた
記憶を取り戻していました。

また同じようなことを
されようとして
反抗しないなんてことがあるのかなと。
しげるが、どこまで回復してたのか
わからない分、想像するしかないのが無念です。。。

 

けど静一は、静子にとっての
現実も見ていました。

静子から静子を
奪っていたのは自分だと。
だから3歳の彼自身を
殺したのに、静一は生きている。
そして代わりに、しげるが
死んでしまったと話す彼は
混乱しているようでした。

 

調査官の話で
スッキリしていたことが
静一が話したことで
訳がわからなくなるっていう。

彼は静子にとっての
現実らしいものを見たことで
一人彷徨っているような。
そんな感じがしています。

けどそれが、本当に静子の現実なのか。
静子がしげるを、突き落とした時に
彼の顔が静一に見えたという
証言とのズレがありました。
彼女の言うことも
どれが本当かわかりませんが。

静一は自分の妄想に
支配されてるんじゃないかと。
なので本物の静子に会うのが
一番、早い解決策に感じています。
今の彼女が、どうなのか。
それが、どんな現実を
見ていたかよりも
今の静一に必要なものでした。

 

また事実を変えた静子

その日は、検事との対面でした。
静子が証言を変えたというのです。
前にもあった、この感じを思い出してた。笑

静子は途中から
本当は、しけるを突き落としていないんだと。
しげるが自分から落ちたんだと
証言を変えて、それが事実のように
静一に、思い込ませていた時がありました。

その証言が正しいか
再度教えてほしいと
静一は検事に言われます。

急に、今まで事実と
思っていたことが
錯覚のように感じ出す静一。
彼女の考え=自分の考えと
染み付いてしまっているので
無理もありませんでした。

 

けどそれよりも、もし彼女が
何もやっていないとしたら
静一やしげるの
これまではなんだったのかと。
突然発狂しだした彼は
もうギリギリのところに来ていました。

そこから明らかに
やつれてしまった静一。
面会に来た一郎が
嬉しそうに話してきたのが
静子の釈放が認められたということでした。

 

息子を捨てた母親

面会の呼び出しの度
静子が来ているのではと、期待する静一。
「ママは会いに来るから」
と一郎は言うけど
その気配はまったくありません。

そして静一の処分を決める
審判の日を迎えます。
結局彼女は、この日まで
会いにくることはなく。
ここでやっと彼は
静子と再会するのでした。

長かった髪を
バッサリ切った彼女は
静子じゃないみたいだった。

対しての静一は痩せ細り
ただでさえ弱々しくなっていたのが
更に萎縮して見えて。
彼女を前に、また上手く
言葉が発せられなくなるも、なんとか話しをする静一。

鑑別所で、何を考えていたかについて
静一の答えは、結局静子でした。
そして、しげるの死はムダだったと
静子が釈放されて
彼はまたおかしくなってしまったのか。
数日前の彼に、戻ってほしかった。

 

今度は一郎と静子に、質問がいきます。
静一を見ていて、どう思っていたか。
一郎が涙ぐみながら話すのを、遮る静子。

そこで突然
母親をやめると言い出した彼女は
全部をぶち壊したと思いました。

彼女の目はキラキラしてた。
静一は血走った目が
飛び出しそうなほどに見開いてた。

彼女は自分が救われたいがために
静一を産み
それでも救われなかったからと
静一を捨てたがっていたのです。

周りの大人に
「捨てていいですよね?
ひとをころした子供だもん。」と。
「これから、私の人生が
はじまるの。」と言う彼女は
ステージに立つ役者なのかと
思うくらいにキラキラしていました。

終いには静一に
「ありがとう。
ひとごろしになってくれて。」とまで。

自分も同じようなことを
何回もしてきたのに
何を言ってるんだと思って見ていました。

 

退出を命じられた静子は
これが最後だという感じに
「ばいばい。」と笑顔で出ていこうとします。

静一は言葉よりも先に、体が動いてました。
自分がされたのと同じように
彼女の首を絞めようとします。

それを見る静子の冷めた目。
静一が周りの大人に
取り押さえられ
安全が確保された時に言った
「もう帰っていいですかぁ?」の一言。
何かが抜けてった感じがしました。

 

静子が退出した状態で
審判を続けることに。
静一は、しげるが死んだ後のような
雰囲気に戻っていました。
けどその時よりも
痩せこけて、ひどい状態です。

普通に言葉が
話せるようになったものの
目に映る人は歪み、今の彼には
会話もよく聞こえていませんでした。

 

そんな中で、静一は
救護院(児童福祉施設の1つ)に
送られることが決まります。

静子やばすぎなのに
それを庇う一郎もおかしかった。

しげるも帰ってはこないし
彼の両親はどうしてるのか。
長部家のみんなを、恨んでそうです。

結局、静子で頭がいっぱいの静一。
そして捕まっている間、彼の中に
まったく存在していなかった
彼女の吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一にとっての由衣子って
なんなんだろうと。

もうメチャクチャになっていました。

 

コミック

 

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