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『血の轍』7巻 おかしくなっていく静一と戻ってきたしげる【あらすじ感想・ネタバレ注意】

マンガ・アニメ感想

こんにちはの東です。
今回は『血の轍』第7集についてです。

作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。

静一は意識が戻った
いとこのしげると
対面することになります。
そして学校では
クラスメイトの由衣子とも。

病院、学校、家のどこにいても
静一が自分の本心を
話すことはなくなっていました。
彼の本当の気持ちが
見えないでいます。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。

あらすじ

田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。

静子が崖から突き落とした
しげるの意識が戻りました。
彼が目を覚ましたことで
三石家との関わりが
また増えていきます。
それぞれ傷を負っている
4人が集まり
予期せぬ方向へと、話が進んでいくのでした。

 

登場人物

■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。
静子の愛情を求めているのか
捨てられることを恐れているのか
とにかく彼女のために
動こうとする静一でした。

■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
静一と一緒にいる時が、一番怖い。笑
一郎にはあたるくらいで。
一番愛されてるはずの静一が
一番辛い思いをしていて、かわいそうでした。

■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
静子にいつも気遣っているか、怒っているか。
静かなイメージの人だけど
穏やかに過ごしてる時間は少なそうでした。

■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
静一は彼女に
トドメをさしてしまったと思う。

■三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
彼が完全に復活したら
全部がクルンと
ひっくり返りそうなのに。

 

感想

本当はバレてしまいたい静子?

目を覚ましたいとこの
三石 しげる(みついし しげる)

けど彼は長部 静一
(おさべ せいいち)

静子(せいこ)
覚えていませんでした。

静子は、彼の記憶から
消えてしまったことを
心底残念そうにしています。
演技なのか、本当なのか。
けど彼女は、その場でバレて
ここから出ていこうとしていたよう。
「ぜんぶ こわれてほしい。」と
外ばかりを見ていました。

親戚の人たちがいる時は、完璧な静子です。
それが家族3人になると
スイッチが切れるのか
夫の一郎(いちろう)に八つ当たりをするようになります。

「何もわかってないくせに・・・!」
と変に笑顔で、彼に話す静子。
そこまで言うのなら
どうして詳しく話さないんだろうと。

このやりとりを
何回か見ている自分は
そう思ってしまいました。
気遣う一郎は、いつまでも不憫に見えます。

 

変わってしまった由衣子と静一の関係

どんな状況でも、平日は学校に
行かなくちゃいけません。
同級生の吹石 由衣子
(ふきいし ゆいこ)
とは
静一が静子の所に
帰ることを決めた時
彼女を1人、置いてけぼりにして以来の対面でした。

由衣子に近づかないことを
静子から約束させられていた静一。
けど彼は、早速破ってしまいます。

 

約束を守ろうとして
家に向かう途中
由衣子の所に向かって
Uターンする静一がいました。
そして彼女から受け取った
置き手紙に書かれていた待ち合わせ場所へ。

そこで待っていた由衣子は
静一から借りていたものを
返してくれたのでした。

その後、お母さんとの約束が
あるからと言う静一に
自分自身は、どう思っているのかと
由衣子が聞いてきます。

この返事が、由衣子かわいそすぎていました。
「もう飽きた。」って。
目に何も宿ってないような静一が
また出てきていました。
笑い方が、静子に似てきてる気がします。。。

 

自分の本当の気持ちを
探すこともなく。
静一は、母との約束を
優先するのでした。
静一がどんどん、人形のように見えてきています。

それでも、静子にとっては
約束を破ったことに変わりなく。
また彼女を不機嫌にさせ
優しくしてもらえなかった静一は
本当に落ち込んでそうで。
大丈夫か。。。ってなりました。

 

回復しつつあるしげると、悪化していく静一

退院した、しげるの家に
静子と静一は呼ばれていました。

暗い時間、行くのを嫌がる静子。
静一は、彼女のグチに
思うことがあっても言えず。
彼女のために何かしたいと
思って聞いたことが
逆に、彼女の機嫌を損ねることに。

一郎も同じようにしてたみたいで
そういうところが
彼女をイライラさせる原因のようでした。

何か下心のある気づかいなのかな。
けど静子が詳しく話すのは
洗脳の時ぐらいなんじゃと。
だからイライラする理由も
よく分からなかったけど
目が怖いのは確かでした。

 

しげるの家に着いてみれば
嬉しそうな彼のお母さんの姿が。
そして、本当に
思い出してほしそうに
しげるに話しかける静子。
彼の体が良くなってることも
本当に喜んでそうでした。

 

静一が、オドオドしながらも
話しかけた時
しげるが急に立ち上がって
バランスを崩してしまいます。

ギリギリのところで
抱き止めた静一。
この時の感覚に、しげるは
静子を浮かべたようでした。

それに驚いたのか
静一は手を離してしまいます。
倒れ込んだ、しげるに気づき
おばさんと、静子が駆け寄ってくることに。

 

ここからです。
しげるは震える指で、静子を指します。
その怯えきった表情と
断片的に出てくる言葉とで
おばさんは、気づいたようでした。

半信半疑のおばさんが
発した言葉を合図に、静一が暴走。

本当のことを静子は
言いたがっていたはずなのに
静一が、おばさんに
今まで静子が抱えてきたものを
全部吐き出してしまうのでした。

「しげちゃんは自分で落ちたんだ!!」
と言う静一は、静子の影響で
本当にそう思い込んでいるのか。
嘘だって分かっていて、そう叫んでるのか。
もうヤケクソになったのか。
メチャクチャでした。

 

あっけにとられている
おばさんと、静かに聞いてるしげるがいた。
そして「あんまりです」と言い
涙を流す静子。
いつもの雰囲気に戻った静一。
静子たち親子は
そのまま、その場を後にします。

残されたおばさんの表情が
これまでと違うものに変わっていて怖かった。

 

静子は、静一の暴走を
想定していなかったんじゃないかと思います。
彼女はしげるに
思い出してそうにしていたから。
静子がおばさんに疑われた時
白状しようとしていたはず。

静一の暴走が、静子にとって
余計なことだったのか。
これも想定内のことなのか。

そうすれば、庇った静一も
一緒に怪しまれることになるし。
自分から進んで
容疑者の位置に立とうとしている
静一は、もう手遅れなのでしょうか。

しげるがどこまで
ハッキリと思い出せるかと
おばさんが、静一の様子に
何を感じたかで、
周りからの追い込み方も変わってくると思いました。

 

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