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『血の轍』8巻 遂にこの時が。嘘を信じる静一と白状する静子【ネタバレ注意・あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

こんにちはの東です。
今回は『血の轍』第8集について書いていきます。

作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。

静一の様子が、もう
だいぶおかしいところまで来ていました。
そして解放されたいだけの
静子に、静一が自分から
巻き込まれていってるように見えます。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。

あらすじ

田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。

静一はもう学校に
馴染めなくなっていました。
そして家では
一郎も我慢の限界に。

長部家が崩れかけていた頃
しげるのお母さんの攻撃が始まります。
彼女は静一から、問い詰めることにするのでした。

 

登場人物

■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。

くるところまで、きていた静一。
そんな時に、引き離される
展開は、一番彼を苦しめることになったと思う。

■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
静子は静一をどうしたいんだろう。
静一が彼女の影響で
どんな大人になるのか、ふと思った。

■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
静かだった一郎にも
とうとう限界がきました。
彼もたくさん不安を、抱えてた人だったのです。

■三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
彼が意識を取り戻したことが
やっぱり大きかった。
けどそこには、彼のお母さんの
存在があったからこそだと。
母の愛情あってのことでした。

■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
静一に置き去りにされても
怒らず、また手紙を書いてくれた子。
優しすぎてた。

■小倉 和也(おぐら かずや)
静一の友達。
最初の頃から登場しているクラスメイト。
けど徐々に関係が
変わりつつありました。

 

感想

静子のそばに、長くいすぎた静一

意識を取り戻した、いとこの
三石しげる(みついし しげる)
彼が自分を突き飛ばしたのが
長部 静子(おさべ せいこ)
だということを
断片的に思い出します。

静子が、自分がやったと
言おうとした時
まさかのところで
止めに入ったのが、静一でした。

ここで彼が暴走しなければ
全部がそこで収束していただろうに。
その時の静一は
正気を失っているような
怖さがありました。
静子がキレた時と似てきています。

けど静子は、親戚から
自分を庇った静一に
一郎とは違う面を見たよう。
それが彼女にとって
すごく嬉しいことなのでした。
もう一人ぼっちではないのです。

こうして静一への
愛情表現が増え
彼は幸せを感じていました。

 

幸せそうにしている2人。
それでも家の中は散乱したままの
ゴミだらけです。
これが幸せそうな中に
異様な雰囲気を作っていました。

仕事を終えて帰ってきた
父の一郎(いちろう)はというと。。。
2人は美味しそうに
食事をしているのに
自分の分はないという。。。

働いて帰ってきた人に
「外に飲みにでも行ったら?」と
言ってしまえる静子の精神。
そんな彼女にとうとう限界が来て
一郎は出ていってしまうのでした。

静子が楽しそうにしてるなら
それでいいのか。
自分の父をバッカじゃねぇんという
母を見ても、笑顔の静一。
静子の言葉を、実はあんまり
聞かないようにしてるんじゃって
思いたくなっていました。

 

学校の問題児になっていく静一

静一は、自分でも
気づかないうちに
どんどんおかしくなっていました。

学校での些細な出来事です。
いつも静一に接してくる
友達たちが、トイレで絡んできました。
鏡を見ていた静一の
ヘアセットをし始めたのです。

水でささっと。
「長部、かっけー!」という声に悪気は感じられず。
最初の頃と変わらない
いつものふざけ合いのように見えていました。
実際、髪型も似合ってて
なんだか強そうな雰囲気が。笑

 

そして楽しそうな友達。
けど静一は、幻覚を
見るようになってしまったのか。

友達の姿が
モヤがかかったように
よく見えていませんでした。
人らしい何かが目の前にいる。
そんな感じです。

そしてその影のように
見える友達を
急に殴りつけてしまうのでした。

「みんな死んでるくせに」と
目だけ笑って、友達を急に殴り続ける静一。
何かがプツンと
切れてしまっているようでした。

 

殴られた男子の名前は
小倉和也(おぐら かずや)
彼のお母さんや先生が
目の前にいても
静子がいない限り
何も話そうとしない静一。

自分が殴った理由も
よく分かっていませんでした。
静子の姿と重なることが
増えてきているのが悲しかったです。

 

静子が来た後
ようやく話し始めた静一の内容は
静子にしか理解できません。
「死んでるくせに」と話す彼を
不安げに見る人たち。

注意を逸らすためか
なんなのか、静子は唐突に
静一のクラスメイトである
吹石 由衣子
(ふきいし ゆいこ)
の話を
持ち出します。

彼女が静一をたぶらかしたのが、原因だと。
無理矢理すぎて
静一と由衣子の秘密が
ただバラされただけのような、そんな気がしてた。

静一が静子に従順なほど
2人の関係はよくなっていきます。
けどその分、他の場所での
静一の奇行が増えていました。

静子の言いたいことを
静一が言い、静子の考えが
静一の考えになっていく。
2人の間には
変に穏やかな空気が流れていました。

 

静子は機嫌がいいのか
自分が中学の時に
よく行った場所へ
彼を連れて行ってくれます。

そこに行ったことで
静一は小さい頃に見た
死んでしまった猫を思い出します。

この近くで見たのだそう。
けど彼女は、無表情で
話を流すだけでした。

。。。絶対何かあるなと。
けど静一は、問い詰めることをしません。
彼女の機嫌を損ねないように
過ごすのも、大変そうでした。

けど静一の場合は
静子が好きだから、苦痛ではないのかなと。
彼が本当の意味で
幸せになれる場所が
わからないでいます。
そのくらい、彼の気持ちが
潜ってしまっているように感じました。

 

しげるのお母さんによる反撃

学校では、いつの間にか
由衣子のそばに和也がいました。
和也は、由衣子のことが
前から好きだったよう。

静一には、その後
嫌がらせをしてくるようになり
由衣子のことは自分が守ると
和也は心に決めたようでした。
ほげ。

 

2人でいるところを
見てしまった静一。
帰宅途中、彼の周りの
景色が歪んでいて
よくない感情が渦巻いていました。

それを止めたのは
突然のクラクション。
しげるのお母さんが
車の中から話しかけてきたのです。
尋問ドライブの始まりでした。

 

しげるが、本当のことを
思い出したのだそう。
それで、静子が自分を突き飛ばしたと。

けど、しげるが自分から
落ちたと、すり込まれている
静一にとって
おばさんの話すことは、嘘の証言になっていました。

「ママは嘘なんか、ついてない・・・!」とまたキレだす静一。
けどおばさんの怒りは、それ以上でした。

おばさんも目が怖かった。
けど静一に、あることを教えてくれます。

それは彼が3歳の時、静一が手にケガをしていたと。
あの死んだ猫を
撫でていた時の記憶が
新しくなって、静一の頭に浮かんでいました。

 

震え出す静一に、おばさんは
守ってあげると言います。
由衣子もそう言っていたのを思い出した。

けど彼は、車内で暴れ出し
おばさんは我慢ができず
「ひとごろし親子」と言ってしまいます。

それを聞きながら、車から逃げ出した静一。
まさか自分が、ひとごろしと
言われるなんて。
彼が静子のためにと
動くほど、周りから見れば共犯者でした。

 

家に帰ってから
おばさんとの出来事を
すぐさま報告する静一。
事実を嘘だと
未だに信じていたのです。

たぶん、本当に信じてる。
ひとごろし親子と言われたことも
おどけたようにして
笑い話にしている静一がいました。

けど3歳の頃にケガを
していた話を出したとき
静子は何か思い当たったような
表情をしていました。

そして警察が来るんかなと
全部から解放されると
喜ぶ彼女の楽しそうな様子。

それを呆然と見ていた静一は
静子がいなくなることが
耐えられないと泣き出します。
その様子を静子は
心底楽しそうに見ていました。

 

彼女は周りの人たちを
憎みながらも、何もできなかった人なのです。
だからここから
消えるしかできないと言います。

けど静一は
なにしてくれるん?と。
この言葉に応えなくちゃと
焦る静一がいました。

役立たずと思われれば
また捨てられてしまうと。
そして静子が
消えてしまわないように
なんとかしようとする静一。

けどもう静子以外
全員敵だという
感覚に陥っている静一です。
許せないなら
何をしてくれるんっていう
とんでもないことを
息子に期待する静子は
酷い人だと思いました。

 

そして、とうとうこの時が。
静一が帰宅してみれば
長部家には、一郎と
しげるの両親がいました。

しげるを突き落としたのが
静子なのかという
おばさんの質問に
いつもとは違う調子で答える静子。

「私が落としたん。」の言葉が
静一にのしかかった瞬間でした。

静一は、この時まだ
彼女が嘘をついてると思ってたのかな。
静子の洗脳から
早く解放されてほしいと思う東でした。

 

コミック

 

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