【まとめ感想・考察】映画『おおかみこどもの雨と雪』家族の成長を描いた物語
今回は映画『おおかみこどもの雨と雪』について書いていきます。
2012年公開のスタジオ地図による
アニメーション映画です。
細田守監督は、この映画を機に
スタジオ地図を設立。
監督にとって2つ目の
オリジナル長編作品とのことでした。
監督のインタビューもぜひ。作品の深みが増します。
『おおかみこどもの雨と雪』公式サイト（監督インタビューページ）
親子が描かれている作品だけど
前回の感想では心が離れていってしまう家族の物語を。
今回は、また違う家族のお話に
触れさせてもらいました。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。
あらすじ
半分人間、半分おおかみの「彼」。
彼との間に、子供を授かった人間の花。
子供たち２人も
彼と同じ半分おおかみでした。
彼は２人が生まれて早々に
死んでしまいます。
残された３人にとって
都会での生活は厳しく
山奥で生きていくことを決意。
それにより変化していく
親子の形を描いた物語です。
登場人物
■花（はな）
声：宮崎あおい
尊敬でしかなかった。
どうして主人公は、こうも眩しいのか。
監督のインタビューを読んで
主人公であり、母親でもあることが
更に眩しくさせたのだと感じています。
■彼（おおかみおとこ）
声：大沢たかお
雪と雨のお父さん。
名前が出てこなかったのが
すごく気になってる。
そして彼は、どんな人生を歩んできたのか。
ラクな道ではないだろうに
それでも穏やかで優しい印象が、残っています。
■雪（ゆき）
声：黒木華・大野百花
小さい頃は、とにかく
やんちゃで暴れん坊。笑
それがだんだんと
女の子らしくなっていく様子が可愛かった。
■雨（あめ）
声：西井幸人・加部亜門
小さい頃は、雪とは真逆で
目から涙降らせまくりの男の子。
雨にとっての先生である狐に
何を教わったんだろうって。
そう思わずにはいられない。
■藤井 草平（ふじい そうへい）
声：平岡拓真
雪と同じクラスに、引っ越してきた男の子。
最初はギエッてなったけど
すごくいい人で。
そして中身できすぎてて
まさに今の子供たちだと思った。笑
感想
おおかみおとこ
花は19歳の時に
大学に忍び込んでいた
おおかみおとこの「彼 かれ」に出会います。
彼は、人とおおかみの間に生まれた
反人半獣でした。
両親を早々に亡くし
親戚に引き取られ、その後上京。
おおかみおとこの名前は
物語の中には出てきません。
彼の免許証は、大きく映っていたけど
まったく読めなかった。笑
けど、ある説が浮上しています。
主題歌の歌詞です。
雪を駆け 雲を数え 雨に遊び 風に吹かれて
花に埋もれ 草笛鳴らそう 四本足で 二本の足で
アン・サリー おかあさんの唄より引用
主な登場人物は
人間の花、草平
半分おおかみの雪と雨
そして彼です。
だから歌詞から考えて
彼の名前は、雲か風なんじゃないかと。
そして個人の考察ですが
映画の最初と、大切なシーンで
彼と花が、お花畑にいるシーンがあります。
空が真っ白で
優しい風が、穏やかに吹いている場所でした。
そこから彼の名前は
風なんじゃないかと、自分は考えています。
彼は、とても悲しい結末を迎えることに。
あまりの無慈悲さに、悲しむ気持ちすら
湧いてこなかった人もいたみたい。
自分はプチプチでした。笑
どんなことが起きたとしても
時間は止まることなく
どんどん進んでいきます。
花ひとりに課せられたものが
大きすぎると思った。
この時点で既に、振り回されまくりの東でした。
花の強さ
花の13年間の出来事が
約２時間で描かれている作品です。
19歳から32歳。
自分とそんなに変わらないのに
最後の花は、すごく大人びて見えてた。
夫を亡くし
子供とも早々に離れることになり
最後は、ひとりに。
自分は悲しいと思ってしまったけど
花を見ていたら、これでいいんだって
そう思えてきてる自分もいます。
花は彼との間に
２人の子供を授かりました。
姉の雪と、弟の雨。
２人も反人半獣です。
まだ体のコントロールができず
感情の起伏で、姿が変わってしまうよう。
半分おおかみの子供を
どう育てたら良いのか
もちろん花は知りません。
そしてそれは、誰にも相談できないことでした。
それでも一人で、面倒を見ながら
勉強もバイトもして
周囲から何を言われても
グチをこぼさずに、お母さんをする花。
母は強し、とは聞くけど
花の決めた覚悟が
どれだけ強いのかを
感じるシーンばかりだった。
13年が、本当にあっという間で。
この映画は花、雨、雪
それぞれの成長の物語です。
成長するのに年齢は、関係ないのを感じました。
雨が選んだ道
雨と雪、同じきょうだいでも
違う道に進んでいく様子が、描かれています。
幼い頃の雨は、泣いてばかりの男の子でした。
夜泣きもひどくて
同じアパートの住人からは苦情が。
逆に雪は、喜怒哀楽が豊かな子だった。
遊び盛りの２人は
遊び方もおおかみ流なので
集合住宅に住むことが
難しくなってしまいます。
そこで花は、山奥に住むことを決意。
人里も離れ、２人は伸び伸びと
生活できるようになります。
そして雪は小学校へ。
彼女はそこで、たくさんの人に触れ
人間らしく生きていくことが
当たり前のようになっていきます。
一方の雨は、森で遊ぶように。
そこで出会った、狐の先生によって
おおかみであることが
当たり前のようになっていくのでした。
彼は、涙を見せることもなくなり
代わりに使命感のような
何か一本の軸がある子に。
体は人間だけど、精神年齢では
おおかみのように感じる時があった。
その後、大雨により
先生がこの世を去ることになります。
そこで先生に代わり
森で生きていくことを決めた雨は
もう立派なおおかみでした。
もちろん花は雨を
命懸けで引き止めようとします。
けど人間の力は、か弱く
逆に雨に助けられる展開が。
雨は、花の気づかないうちに
居場所を見つけ、大きく成長していたのでした。
別れの度に、ダメージが大きくなっていく。笑
けど雨との別れは、寂しい気持ちの中に
どこか誇らしく感じるような
そんな思いも混ざってた。
いつの間にか
花と同じ位置にいた自分が。笑
登場人物の１人になったような
そんな感覚にも、なれる作品だった。
そしてやっぱり起こる出来事に
振り回される東です。
けど、いろんな人の感想を見てると思う。
映画は振り回されてなんぼだって。
雪と草平
雪は、小学校に入ったことで
人間らしい面の方が強くなっていきます。
おおかみに変化することも
以前より抑えられるように。
また学校に馴染んでいくことが
彼女の豊かだった感情に
影響しているようでした。
けどそこでの経験が
雪の人生を決めていく
大きなきっかけになっていきます。
ある日、転校生の
藤井草平（ふじい そうへい）がやってきます。
彼の勘は鋭く
雪から、獣の匂いがすることに気づくのでした。
よく知らない相手に
突然そんなことを言われれば
動揺するのは当たり前で。
雪は感情の制御ができずに
おおかみになり
草平の耳に、傷をつけてしまいます。
その場には、草平しかおらず
他に目撃者がいなくてラッキーだった。
ずっと上手くやってきたのに
ここにきてって。
ちょっとヒヤヒヤしながら見てた。笑
これがきっかけで
おおかみの自分を
雪は完全に封じたがるようになります。
そして、おおかみとしての自我が強い雨とは
分かり合えなくなってしまうことに。
それが悲しかったけど
それでも雪は、人間として生きる道を
進んでいくのでした。
雪がそう決めたのも
傷つけてしまった相手が
草平だったのが大きかったと思う。
草平は、騒ぎになった時に
雪がやったのではなく
狼がやったのだと、周りに伝えていました。
その後も、学校に来ない雪を
気にかけてくれたり。
こうして、ふたりの距離は
徐々に縮まっていくことになります。
そして花が雨を止めに
山へ入っていた間
学校にいた雪は草平に
自分がおおかみであることを、打ち明けていまいた。
ずっと言えなかったことを
伝えるのは勇気がいる。
けど、それを伝えたことで
わかることもあるのだと。
したら草平は彼女自身が
おおかみであることは
とっくに気づいていて
それを誰にも言わずにいたのでした。
草平も自分が抱えていたことを
直接、雪に打ち明けることに。
耳に入る噂話よりも
本人の口から聞くことの方が
何倍も、意味のあるものだと思った。
こうして、お互いが抱えていたものを
共有することで、深まるものが。
２人の関係は、卒業してからも
ずっと続いていくんじゃないかと
そう思う東です。
何か共有できる人がいることで
生まれる気持ちは、強い支えになります。
だからこそ、ちょっと無茶もできるし。
２人にとってお互いが
そういう存在になっていたら
素敵だなと思います。
今のキッズたちが
どんどん大人びていってる理由も
映画に出ていると感じる作品でした。
配信一覧
U-NEXT
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