のほりひがし。 東の感想ブログ

映画『竜とそばかすの姫』自分の中のベルを知った鈴が、一歩踏み出す物語【あらすじ感想】

映画感想

今回は映画『竜とそばかすの姫』についてです。

細田守監督による、長編映画6作目であり
制作会社のスタジオ地図
2021年で10周年とのこと。
おめでとうございます♪

良い面と悪い面の、両方を持つネットが
日常と結びついている今
果たしてそれが希望になりえるのか。
監督は映画を通して、それを
問われているようでした。

色々なことがものすごい速さで
変わっていく現代。
それでも変わらないものは、あるのかと。
監督のお話しを読むのと、読まないのとで
自分は、受け取れるものが変わりました。

映画.com 細田守監督 インタビューページ

ブログに登場人物の竜は
あまり登場しません。
主人公の鈴にフォーカスを当てて、書いています。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。

 

あらすじ

高知に住む女子高生の
内藤鈴(ないとう すず)がいました。
彼女は幼い時に
母を亡くし、心を閉ざしがちに。
そして大好きだった歌も
歌えなくなってしまいます。

そんな彼女に、親友から
仮想世界『U ユー』への招待が。
そこは50億人のユーザーが参加する
巨大な仮想空間。
そしてその世界には、ユーザーの
隠された能力を、引き出す力がありました。

こうして鈴は「ベル」と名乗り
美しい歌声を取り戻すことになります。
歌えることが、嬉しくて仕方なかったベル。
そこから彼女の歌は
あっという間に拡散され
『U』で圧倒的人気を誇る、歌姫になるのでした。

そして彼女が、コンサートを開いたことで
謎の人物「竜」との出会いがやってきます。
ふたりの距離は、徐々に近づいていくのですが
周りがそうはさせず。

やがて、ネットと現実の両方で
竜の正体を暴こうとする動きが
広まっていくことになります。
更には『U』の秩序を守る軍団
「ジャスティス」にも追われ
竜への誹謗中傷も、増える一方でした。

そんな竜を救いたいと
踏み出したことで
変化していく鈴とベルの姿が、描かれています。

 

音楽

■millennium parade – U

■中村佳穂/Belle – 弾き語り+歌よ

■中村佳穂/Belle – はなればなれの君へ

登場人物・声優

■鈴 / 内藤 鈴(ないとう すず)/ ベル(Belle)
声:中村佳穂

17歳の、高知に住む女子高生。
人は見た目で判断しちゃいけない。
心の奥に、どれだけのものを秘めているか
外見だけじゃ、わからないと思った。
彼女はお母さんを亡くしているけど
周りでは今も、たくさんのお母さんが
見守ってくれていました。

■しのぶくん / 久武忍(ひさたけ しのぶ)
声:成田凌

鈴の幼馴染。
鈴のことを小さい頃から
いつも気にかけている、学校の人気者。
彼女のことなら、大体のことは
わかっちゃうんじゃないかなって。
ヒロちゃんが慌てるような
場面でも彼はデーンと。
そして鈴なら大丈夫だと
言い切るような人でした。

■ヒロちゃん / 別役弘香(べつやく ひろか)
声:幾田りら

ヒロちゃんは鈴の親友。
彼女も鈴を大切に思っている人でした。
ちょっと心配性な一面も。
ヒロちゃんの笑い方がツボだった。
フォッフォッフォケッケッケ
ガーッハッハッハって
彼女が一番楽しんでそうだった。笑

■カミシン / 千頭慎次郎(ちかみ しんじろう)
声:染谷将太

登場しないで終わっちゃった。
カミシンごめんねえええええええ。
想定外の出来事に
対応できない時のカミシン劇場。
夏にゆでだこ最高かってなってました。

■ルカちゃん / 渡辺瑠果(わたなべ るか)
声:玉城ティナ

彼女も学年の人気者。
しのぶくんとルカちゃんが並ぶと、注目の的です。
けど気さくで、鈴にも普通に
話しかけていた人。
ストーリーが進むにつれて見えてくる
彼女の意外な面に注目。
東はニヨニヨしてた。

■竜(りゅう)
声:佐藤健

みんなフルネームで1人だけ違うと
やっぱり気になってしまうミステリ。
強そうだからって
叩きのめして良いわけではないと。
ベルには、そばかすが
竜は背中に、たくさんのアザがありました。
そのアザが光るのと同時に
震え出す竜に、一体何が起きていたのか。
それを知った時は
痛々しい思いになった。

■聖歌隊
吉谷さん(声:森山良子)
喜多さん(声:清水ミチコ)
奥本さん(声:坂本冬美)
中井さん(声:岩崎良美)
畑中さん(声:中尾幸世)

みんな、鈴のお母さんのような人で。
こんなにたくさんの
お母さんを持っている人は、いないと思う。
5人の周りは、いつも気温高めなイメージです。
パワフルレイディー。

■ジャスティン
声:森川智之

正義のために死ねるのか。
彼に、この問いかけをしてみたい。
映画後の、ジャスティンが気になってます。笑

■ひとかわむい太郎・ぐっとこらえ丸
声:宮野真守

ブログには登場しなかったけど
思わず笑ってしまってた。笑
映画内に登場するユーチューブチャンネルの
キャラクターです。
ヒビの入った卵と、イヌ。
彼らはきっと、自分のご近所さん。笑

 

感想

『U』の世界


ファッションプレスより出典

美しさと破壊的な側面をもつ
仮想世界『U  ユー』。
50億人のユーザーがいる
夢のような巨大都市が存在していました。
幻想的で美しく、想像を超えた空間。
自分も体験してみたい。

現実は、山や川が身近にある
自然豊かな高知県が舞台に。
実在するものが、忠実に再現されています。

主人公の鈴(内藤 鈴/ないとう すず)にとって
全てが正反対であろう、2つの世界。
そこで繋がって起きる出来事が
彼女を成長させていくことになります。

現実で押し込められていた
本当の鈴が、仮想世界で大きく花開き
そして彼女自身に変化が。
ネットが日常にかかせない
ツールとなっている今、仮想空間も
同じ人同士が関わり合う場所に。
日常の一部であり、もう一つの現実に
なっていました。

 

鈴に、このアプリを
教えてくれたのは親友のヒロちゃん
(別役弘香/べつやく ひろか)
銀行業を営む家系の娘であり
気持ちのいいくらいに毒舌で秀才。
そして鈴のことを
大切に思っている子です。
ヒロちゃんは、ベルのプロデュースや
収益の管理など、全てを担当。笑
ベルとして活躍する鈴のことを
誰よりも喜んでいたのは、彼女だったと思います。

また、ユーザーはAs(アズ)という
自分の分身を作り
違う人生を生きられるというものに。
そしてAsには
眠った能力を、表に出してくれる
不思議な力がありました。
自分も知らない自分が
見つかるなんて、最高じゃないかって。
現実で抑圧されていたものが
大きい人ほど、その反動が現れます。
鈴や竜が、それを証明していました。

そして本人の状態と、常に連動している為
体ごと『U』いるような体験が
できるようになっているのです。
いつどこにいても
イヤホン型の装置をつければ
『U』 の世界へ行くことが可能でした。

『時をかける少女』の記事を書いたばかりだから
なおさら思ったのかもだけど
時代の変化の凄まじさ。笑
それが映像に表れていると思う。
『時かけ』よりも田舎でのことなのに
(時かけは東京の下町。)
仮想世界の素敵な映像に
出だしから心を持ってかれてました。

 

Belle(ベル)と鈴(すず)


ファッションプレスより出典

鈴のAsであるベルは、とても美しい歌姫です。
どうして鈴と、かけ離れた外見なのか。
その理由は、顔認証の時に使った写真にありました。

Asは自分でパーツを選んで
決めるのではなく、顔認証によるものです。
使った集合写真で、そばに写っていた
ルカちゃん(渡辺瑠果/わたなべ るか)に
強く反応したのが原因
でした。
こうして2人の写真が、一緒に取り込まれ
彼女がベースで作られることに。
そのためベルは、ルカちゃんに
似ている雰囲気があったのです。

ルカちゃんは人気者で、美人さんでした。
ベルに反映された
鈴の特徴はというと
グレードアップしたそばかす

それだけかーい!って思ったけど
それがチャームポイントであり
自分にとっては、ベルの好きな部分です。
けど、ルカちゃんさまさまな展開だった。笑

ルカちゃんと合わさったから
あのそばかすって言うには
ビュティフォすぎる模様になったのかなと。
けど、2人が合わさったからこその
Asだったことが、後々分かります。

そしてAsの効果により
歌いたい気持ちが、一気に溢れ出した鈴。

ベルになるなり、歌えることを
心から楽しんでいたようでした。
外では、もう何年も
思うように、歌うことができないでいた鈴。
それがこの世界では、ウソみたいだった。

その後、たまたま聴いた人の口コミで
彼女の歌が、あっという間に
拡散されていくことになります。
その人気っぷりはスゴかった。
ファンの人が、勝手に名前の
スペルを変えてしまう
ほど。笑
こうして鈴がつけた「Bell」から
美しさを意味する「Belle」が
出来上がったのでした。

 

鈴とお母さん


ファッションプレスより出典

鈴は6歳の頃に、母を川で亡くしています
その時の心の傷が原因で
大好きな歌が歌えなくなっていました。

小さい頃は、鈴がピアノアプリで
作った曲を、お母さんと一緒に歌ってたみたい。
鈴は作曲にハマり
幼いながらに作った曲を、親子で楽しむ。
そんな日常が彼女にとって、何よりの幸せでした。

けど終わりは、唐突にやってきます。
ある夏の日、増水した川の
中洲(川に囲まれた小さな陸)に
鈴より幼い女の子が
取り残されていました。
上流で雨が降っているのか
勢いが強くなっていた川の流れ。
その子と一緒に
都会から来ていたらしい人たちは
想定外のことに、何もできないでいました。

ここも賛否両論ある部分なのですが
お母さんは、その子の為に
荒れた川の中を泳いで、助けにいきます。

自分が着ていた、ライフジャケットを
その子に着せたため
引き返す時に使う
母のライフジャケットはありませんでした。

そして女の子は無事
こちらの岸に戻ってこれたものの
母だけが、そのまま流されてしまう
ことに。

周りは、少女が助かったことに大喜びでした。
その後やっと駆けつけた
救急車に運ばれる少女。
みんな彼女のことでいっぱいで。
鈴のお母さんだけが
戻ってこないという
悲しい結末が待っていました。

信じられない現実に
母を探すため、川へ入ろうとする鈴。
そんな彼女の手を掴んで、引き留めたのは
幼馴染の、しのぶくん
(久武 忍/ひさたけ しのぶ)
でした。

しのぶくんのおかげで
なんとか留まっていられたものの
鈴は、深い傷を負うことに。
母を必死に引き留めた
幼い鈴の言葉は届かず
鈴にとっては、知らない子のために
母は死んでしまったのでした。

そして、もういない母のことを
批判する人たちの声が
イヤでも、鈴の耳に届いてきます。
母に対して、どうして?と思う彼女は
なかなか消えてはくれませんでした。

周りで、心配そうに見ていた人たち
特に一緒に遊んでいた人は
何をしてたんだろう。
心配してても動いたのは
鈴の母1人だけでした。
命を引き換えに助けても
善人ぶるなとバッシングされる光景が
映画の中にあって悲しかった。

『竜とそばかすの姫』は
賛否両論のある作品に
なっているのだそうな。
物申したい人の多さ。

ヒロちゃんが言ってた
ネット上の嘘のない賛否が
広がる光景を、現実で目の当たりにしていました。
そしてこれが、本物を作っていくのだと。
むしろこれが無ければ
何者でも無い
のだということも
この作品から教えてもらいました。

 

細田守監督版 美女と野獣


細田守監督も、お話しされていますが
この映画は『美女と野獣』のオマージュ作品です。
原作にも、ベルと野獣が
お城で踊る有名なシーンがあります。
それが『U』の世界だからこその
演出になっていました。


ファッションプレスより出典

ベルのキャラクターデザインは
『アナと雪の女王』や
『塔の上のラプンツェル』などを担当した
Jin Kim(ジン・キム)
原画はもう、あの世界の
キャラクターそのものでした。
そこに監督の世界観が合わさり、今のベルが誕生。

そして、この世界での野獣は
竜の姿をしています。

ここでやっと登場。
この映画の重要な存在が、この竜です
マントや、袖から覗く貴族のような
フリルのブラウスには、あの野獣の面影がありました。

けど体は竜。
名前もそのままの「竜」です。
きっとAsに名前をつけようとも
思ってなかったんじゃないかなって。
そして竜のユーザーは
遊ぶために『U』にいるわけではなさそうでした。
外の世界から逃げたかったのか
強くありたかったのか。
守りたいもののためだったのか。
映画の中に、答えがあります。

そして誰も寄せ付けようとしない竜は
ベルとは、対照的な存在でした。
極端な陰と陽の位置にいるふたりに
良くも悪くも
たくさんの人が、引き寄せられます。
彼らの間の出来事が
多くの人を巻き込み『U』の世界に
大きな波を作っていくのでした。

 

また、竜の住処(すみか)も
お城になって登場。
『美女と野獣』を観たことがある人なら
この感じって思えるシーンが待っています。

そして、この映画の魅力は
文章じゃ伝えきれないほどの、映像の美しさ。
大きいスクリーンで、堪能してほしい。
自分は開始早々から
ベルの表現に、引き込まれていました。
ヒロちゃんプロデュース
素敵すぎてた。

スピーカーが、たくさん付いた
クジラの上に
ベルが立っているシーンもお気に入りです。
そのクジラも、ダンサーとして
参加しているAs
だということには、驚かされました。
動いているものは、どんな姿をしていても
Asなのかもしれません。
 
また『美女と野獣』では
家具になっていた人たちが登場しますが
『竜とそばかすの姫』では
不思議な姿のAIたちが
可愛らしく竜に仕えています。

幻想的な映像の中に彼らがいると
同じシーンが描かれていても
別世界が広がってた。

そして『U』の世界の奥には
昔のデータの残骸があります。

竜の城はそこに、ひっそりと
そびえ立っていました。
今は人の目に触れることのない
その場所は、まるで絵本の中にいるような。
賑やかな『U』の表の面と
静けさに包まれた裏の面も
感じてほしい部分です。

 

正義と悪


ファッションプレスより出典

この映画に、野獣は出てこないけど
獅子を擬人化したような
金髪の男性
がいました。
彼の名はジャスティン
『U』の秩序を守る軍団
「ジャスティス」のリーダー
です。
たくさんのスポンサーを味方に
選ばれたAsとして、その権力で
悪を排除してきました。

そんな「ジャスティス」の幹部ら総出で
追いかけていた竜は
誰もが認める『U』1番の悪役。
謎に包まれ、多くを知る人はいないけど
悪であることだけは、誰もが認めていました。

竜は半年ほど前に『U』に出現。
それからひたすら
戦い続けてきたのだそうな。
そして350を超える戦いを繰り返し、ほぼ連勝。
イレギュラーな時は
何かに気を取られていたようで。
けど竜が強いことも、また事実なのでした。

それだけのユーザーが負かされていれば
悪い噂が流れるのは、必然。
しかも相手のデータが壊れるまで
徹底的にやるのだとか。
こうして噂は広がり
今じゃ、悪い面で知らない人はいないほどに。
そんな中でも、竜を支持している
子供たちがいました。

けど、ほとんどの人にとっては
『U』の平和を乱す絶対的な悪です。
ジャスティンは『U』のために
悪に立ち向かう正義のリーダーとしての
支持を得ていました。

竜VS「ジャスティス」幹部らの戦いは
竜の悪者っぷりを見せるショーみたいだった。
そして、そのショーこそが
ベルと竜の出会いになります。

 
それはベルのライブが
行われていた時に、起こりました。
彼女のライブ会場に、乱入する形で
彼らは戦いを繰り広げることに。
ベルはここから
竜と「ジャスティス」の戦いに
巻き込まれていきます。

その様子を見ていた、ヒロちゃんは
ライブを台無しにされてプンプン。笑
彼女もAsになり、ベルのそばで
いつもサポートをしていました。
小さい姿になっても言うことは
外のまんまで楽しかった。笑

そしてコンサートが
めちゃくちゃにされたことで
竜へのブーイングが大爆発。
ジャスティンのなんとしてでも
捕らえようとする気持ちも
更に燃えることになります。
竜のAsを、なんとしてでも
アンベイルしようとするのでした。

アンベイルとは、プライバシーで守られている
ユーザーの正体を暴くというもの。

読み取った体の情報が
Asの外見に変換される機能を
取り除くという恐ろしいものでした。

この光を放つ装置をジャスティンは
装備しています。
そのため、この世界を作った
『Voices ヴォイシス』という5人の人物と
同じ力を手にしていることに。
彼は、このことに
誇りを持っているようでした。
したら悪者退治にも
力入っちゃうよねって。笑

きっと最初は、純粋な気持ちで
始めたことだと思います。
けど、それが認められるほどに
相手を屈服させるようになってしまったのではと。
正義を使って、自分の権力を
誇示しているようだった。

人との関わりを、極力避けていた鈴が
これだけ敵が多くて
出会ったばかりの人を、守りたいと。

鈴どうしたんだって
最初はビックリして見てました。

正義に固執する正義と
相手を思いやっての良いことなら
どっちのほうが、心に響くのかなって。

同じ光のような存在でも
ジャスティンとベルも、対照的に見えてました。

 

守られる人から、守る人に


ファッションプレスより出典

ジャスティンのような人物までを
敵に持つ竜が
何故か気になってしまうベル。

きっと、ふたりとも似た部分があって
鈴はそこに、引き寄せられたんじゃないかと。
鈴の気持ちに、なかなか
追いつけないでいた自分だったけど
それも最初だけでした。

ふたりが穏やかな時間を
過ごしている間にも
周囲は着々と、竜との距離をつめていきます。
竜との接点が増えるほど、ベルも
危険に身を晒すことになっていました。
そうしてジャスティンに
目をつけられるようになってしまったベル。
それでも彼女は、怯まずに
竜を守ろうとするのでした。
 
いつも周りに気にかけてもらい
彼女自身も、気づかない頃から
ずっと守られていた鈴。

ヒロちゃんは十分すぎるほどに
力を貸してくれます。
きっと最初は、コンサートを台無しにした
竜の正体を暴いてやる!っていう
気持ちからだったんじゃないかなと。笑
けど彼女がいなかったら
まったく違うエンディングを
迎えていたと思います。
それくらいに、ヒロちゃんは
熱くフルパワーで、鈴と一緒に走ってくれるのでした。

しのぶくんも、家族のように
鈴のことを、いつも気にかけています。
それは彼女が入っていた
聖歌隊の人たちも。
そこは鈴のお母さんも、入っていたところでした。
幅広い年代の、パワフルな5人の女性と
鈴が今のメンバーです。
みんな鈴のことを、自分の娘のように
思っている人ばかりでした。

いろんな人に支えてもらいながら
鈴は現実で、竜を見つけ出そうとします。
50億人の中から探し出すのは
かなりの難関でした。
彼女たちは、竜と戦った全員に
コンタクトを取るところから始めます。

350人超えてなかったっけって。笑
ヒロちゃんの気合いは、スゴかった。
けど思うようにはいかず。
その間も『U』で竜と会い
話しを聞こうとしてみたベルだったけど
上手くはいかなかった。
 
ふたりが心を通わせられたのは
ほんの僅かな時間。
けどそれも「ジャスティス」に
邪魔をされてしまうことになります。
城の所在がバレ、そこに
火をつけられてしまうことに。
こうして城は、跡形もなく
崩れ去ってしまうのでした。

それでもやっと、ふたりの間に
通じ合うものが、生まれたと思った竜だけど
結局最後まで、自分が誰なのかを
ベルに明かすことはありませんでした。

ただ彼女に「ゴメン」と残し
竜はベルのもとを去ることになります。

引き止められなかったベル。
けど今の彼女は、ここで諦めるような
人ではありませんでした。

映画の終盤、竜ではなくベルが
アンベイルを受ける展開が待っています。

本物のそばかすを、顔に散りばめた
制服姿の鈴が、画面の中にいました。

そこは数えきれないほどのAsで
埋め尽くされた空間。
折れた翼を背に浮かぶ姿の、心許なさ。
緊張や不安、母のことがフラッシュバックし
歌を止めてしまいそうになりながらも
竜を想い、大勢のAsの前で歌う彼女がいた。

そんな鈴の歌に心打たれ
会場のAsは涙を流し、心を震わせます。
そして盛り上がりは最高潮へ。
ベルの姿に戻った彼女が、再び姿を現し
大歓声の中、心からの歌を
竜に届けようとするのでした。

竜のために、現実の姿で歌ったことで
鈴とベルが、ひとつになったように感じています。
正反対な鈴とベルの存在。
けどAsは鈴の、本当の能力を持った分身です。
彼女が本当の自分に、戻れた瞬間でした。

 

映画全体から思ったこと


ファッションプレスより出典

『竜とそばかすの姫』は現実と仮想空間で
監督の世界観に、半分ずつ触れられる作品です。

今までも未来を感じるシーンはあったけど
『U』は別物だと思います。
キャラクターから何から、新しいものだらけでした。

人が心を交わすストーリーは、現実がメイン。
『U』では仮想世界の美しさと
『美女と野獣』への
愛が詰まった部分に感じています。
そして、竜とベルの出会いなど
現実にも大きい影響を与える
きっかけの部分が『U』で起きていました。

監督のインタビューにある
「ネットの世界が希望になりえるのか」
という問いかけが、映画の中で
彼女たちの試練になり
自分たちにも投げかけられています。

自分はなりえると
鈴たちを見ていて、思えました。
きっと頭じゃ理解できないほどの
可能性のあるものだと。
けどその分の危険も、つきものなのは感じています。

あとブログには書いていない
内容のことなんだけど
虐待の問題や、危険な場所に
女子高生が1人で
飛び込んでいってしまったことへの
厳しい意見も見られました。
そう言いたいのも、監督の作品が
好きだからだと思うのですが。

児童相談所へ連絡をしても
48時間以内に様子を見にいきます、との返事のみ。
我慢できずに、高知から東京へと
鈴は飛び出すことになります。
彼女が向かったのは、子供への虐待が
繰り返されていた場所でした。

その時、一緒にいた人たちの中には
大人である聖歌隊のメンバーもいます。
けど鈴を、駅まで運び
心配そうにしながらも、鈴とは別れる流れに。
1人で行くと決めた鈴の意見を
尊重したと、捉えることもできるけど
そう思えない人がいることも分かりました。

虐待を意識しすぎないで
鈴の起こした行動に目を向けて見ると
違うものを見えてくると思います。
引っ込み思案で、下を向いてばかりいた鈴が
守りたい人のために
危険な場所へと
1人で飛び込んでいったのです。
そこにはもう、以前とは
まるで違う表情の彼女がいました。

鈴の変化が、ここからもっと広く
現実や『U』の世界へと
伝染していくことになるのか。
そうであってほしいなと思う東です。

ここまで色々なことを書けたのは
小説があったからです。
起きる出来事は、映画と一緒だけど
鈴自身の視点で描かれていて
より鈴を身近に感じられる、内容になっています。
また、映画では知ることのない
細かな部分も書かれていたのが
嬉しいところでした。

 

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