のほりひがし。 東の感想ブログ

コミック『HEAT-灼熱-』7・8巻 極道に向いている人と、そうでない人【あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

こんにちはの東です。
今回は『HEAT-灼熱-』7、8巻のことを書いていきます。

原作に武論尊(ぶろんそん)さん。
作画は池上 遼一(いけがみ りょういち)さんです。
1998年から2004年まで
連載されていた作品で全17巻に。

今ままで悪役として
ふんぞり返っていた海崎ですが
彼も逆らうことのできない
更に上の人たちの登場です。
多くの人が歌舞伎町を狙っていました。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。

あらすじ

舞台は新宿歌舞伎町。
そこの闇金融に突然やってきた
主人公の唐沢辰巳がいました。

そんな彼は
日本最大の暴力団である
「関西山王会」や警察を相手にしても
怯むことはありません。

極道の世界では素人の唐沢が
街で名を馳せていく様子が描かれています。

 

登場人物

唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
『新宿租界』という
ホストクラブのオーナー。
こんなにボコボコにされた
唐沢を初めて見ました。
というくらいに
レイモンド・タオは容赦なく。
これまでが序章だったのが分かる巻です。

藤巻(ふじまき)
「関西山王会」の元NO.3。
35年間、山王一筋で
生きてきた彼は、根っからの極道の人でした。
村雨も認めざるを得ない
空気がムンムンと。
けど藤巻も1人では戦えません。
それぞれに合った
力の発揮の仕方がありました。

村雨(むらさめ)
日本最大の暴力団
「関西山王会」の関東総本部長。
村雨と藤巻の関係に変化が。
前の巻では、もやが晴れ
そして、瀕死の状態を経て
ガキンチョモードはまた静かに。
村雨と藤巻の戦い方の違いが
よく分かるシーンがありました。

石倉 義信(いしくら よしのぶ)
山王会を破門になってからも
諦めなかった石倉。
けど、この巻の中で
引退を決めることになります。
そんな彼の、もやを晴らしたのは
どこか似た部分をもつ村雨なのでした。

中谷 里見(なかたに さとみ)
唐沢の恋人。
やっとの唐沢との時間がありました。
けどどの前に、唐沢や
彼の仲間たちの前に
全裸で登場するシーンが。
そこまで強くならなくちゃ
いけなかったのかと、悲しくなっていました。

 

感想

7巻

海崎も手が出せないクーリー・タオ

山王会が大変なことになっている中
海崎 元一郎(かいざき げんいちろう)
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
刺客を送っていました。

彼はクーリー・タオ
香港の刑事として来日し
東新宿署の署長である
栗木(くりき)たちの耳にも情報が届いていました。
けど彼の捜査行動には
一切干渉するなと。
怪しい匂いがプンプンです。

けどそのクーリーが
里見との出会いによって、思わぬ行動に。
海崎とのバトルを
いい感じに掻き回す存在になります。
そんな彼の変化していく様子が好きでした。

 
そして唐沢に敵対する人が
またしても歌舞伎町の
再開発に加わっている
羅(ロー)林(リン)と面識のあるっていう。

クーリーが言うには
人を好きになることは、弱みになると。
唐沢は女性はもちろん
男にも惚れる人です。
山王会の関東総本部長である
村雨(むらさめ)
山王会を破門された藤巻(ふじまき)にもそうでした。
 

対してのクーリーはというと
今まで人間を好きになったことのないのだそう。
それは海崎と繋がりのある
父、レイモンド・タオの影響でした。
なので命令とか損得で動かない
人たちは、クーリーにとって理解できない存在なのです。

自分が撃たれても
何も感じないクーリーでしたが
唐沢の恋人である
中谷 里見(なかたに さとみ)との出会いが彼を変えていきます。
 

ただタイミングが厄介で
海崎に気に入られている
元山王会の石倉 義信(いしくら よしのぶ)
この混乱の中、わりと自由に動いていた人です。
その彼が、里見をこのバトルから
逃がそうとしてくれた時のこと。
それを遮ったのがクーリーでした。

バトルが勃発しすぎてて
まったくすんなりいかない人たちですが
死ぬ時は一瞬。

それでも熱くなれるもののために
飛び込んでいく彼らが描かれています。
クーリーはその点、初心者ホヤホヤさんでした。

海崎も手を出せない立場にいる人が
父ではなく、自分の感情に従って
動いていく様子は
清々しさを感じています。

 
里見いわく見た目は大人
中身が3歳のタオは
殺しのプロであるものの
人との関係の築き方がまったく分からず。

それでも彼の父と一緒の
場面を見ていると
タオなりに歩み寄ろうとしている姿がありました。

 

早死にするタイプ

村雨が入院している間に
唐沢は石倉、そしてクーリーと対決することになります。
頭だけでなく、体を使ったバトルでも
唐沢が一歩抜けているのが分かるものでした。

そして必要なら
聖人であることもやめられる人。
卑怯さも、使わなきゃならない時に
使える人が生き残るのを、唐沢が見せてくれます。

それと石倉と唐沢には、考え方である違いが。
その話が面白かったです。
 

石倉いわく、泣く人ほど早死にすると。
けど唐沢は逆で
泣かない人ほど
早死にしていくんだと話していました。

石倉の仲間は、彼の言葉を信じて
そう生きようとします。
涙を流すセリフは
自分の的を転がすために
使うものなんだって聞いてガーンしてました。笑
 

もしかしたら石倉自身に
そういう経験があるのかもしれないですね。
けど人前で涙を見せない=強さなんだと
思い込んでいた石倉の仲間に対し
唐沢は、石倉こそが
一番に早死にするタイプだと断言。

彼についていく仲間はいても
助けてくれる仲間はいないのです。
「泣く人間には助けてくれる仲間がいる…」
これが唐沢の答えでした。
 

唐沢と石倉の仲間との会話が
その時、別の場所にいた石倉の様子と
交互に描かれています。

その時の石倉のシーンが
彼のことが好きな女性との行為っていう。

息子のことをいつも
想っている石倉。
「あんたは、家庭(いえ)に入れ!」と
唐沢に言われた後だったので
エエエとなってました。

けど石倉は、その女性を
愛していたのかもしれません。
奥さんとの描写が少なくて
なんとも言えないですが。
息子の話ばかりたくさん
聞いていることが答えに感じています。

彼も何か抱えてそうでした。
 

一方の唐沢はというと、たしかに。
泣かなそうに見えるけど、涙を何回も流してます。

唐沢と彼を慕う仲間たち。
石倉と、彼についていく仲間たちの違い。
それを知って、唐沢たちの
関係の良さを、改めて感じていました。

 

 

8巻

クーリーの父、レイモンド・タオ

海崎の上に立つ
レイモンド・タオの登場は、厄介なものでした。
クーリーの父です。
いきなり2人の命が
失われることになります。
 

彼にとって、海崎は飼犬(イヌ)でした。
「人間をイヌに変えるには
餌と脅威を与えてやればいい」と。

彼はついてくる人を、人とは思っていません。
だから残酷な判断も
サラッとできてしまえるのです。
 

そんな彼は、石倉と海崎を秤にかけ
海崎を選び、石倉の足を発砲。
負傷した彼をギリギリのところで
助けたのは、藤巻でした。

唐沢に頼まれて
石倉のガードについていたんだそう。
これで、唐沢や石倉たち、
レイモンドと海崎でキレイに分かれることになります。

こうして唐沢組から1人
石倉と近い人から1人の死亡者が出たのでした。

この出来事に
クーリー以外の人たちや
あの石倉でさえも
ひとりシャワーと一緒に涙を流していました。

 

この事件の後に唐沢は
レイモンドへ直接
宣戦布告をしに向かいます。
彼のメガネが割れるほどの顔面パンチ。
だけで終わらず、更にビンタを。

唐沢のメンタルはどうなってるんだろう。
氷点下までいったレイモンドに
目の前で睨まれたらプルプルプルプル。
 

過去、ロシア系のマフィア相手に
1人で戦ったことのある唐沢。
けどレイモンドは
中国の強いマフィアでさえも
手を出せない相手なのでした。

どんなバトルが繰り広げられるのか。
レイモンドは唐沢を
格好のオモチャと大興奮の様子。
彼と、彼のお気に入りの
紅(ハン)によって
これまでにないほど
ボコボコにされている唐沢がいました。

 

再び山王本家の門をくぐった藤巻

唐沢がレイモンドの所に
連れて行かれた理由には
藤巻と勝男(かつお)が絡んでいます。
ですがその後、藤巻は
唐沢につくった借りを返すため
大阪の山王本家へ向かっていました。
 

少し前の話です。
藤巻は上半身から血を流し
勝男は、好きな女の子を人質に取られてしまいます。
いつも女性は
こういう立場にあるんですね。。。

彼女を無事に返してほしいなら
唐沢を連れてこいと。
怒りで、興奮している藤巻に
唐沢が逆らうことはありませんでした。
こうして唐沢は
無抵抗で連れて行かれることに。
 

唐沢の命を、藤巻たちは売ったのです。
「血ヘド吐いても
返さなならん借りや。」と
勝男と、自分にも言い聞かせているようでした。

そこからの藤巻がヤバいのです。
彼は本当に、動き出していました。
向かった先は山王本家。

そこでは海崎たちの件で
山王が取るべき行動の
話し合いがされていました。
先客には退院した村雨の姿が。
 

この淡々と続く
空気を変えたのが
ここに来ることを許されていない藤巻です。
破門された人が言うこととは
思えないくらいに
沸点を超えている彼がいました。

彼は13歳の時から
ここで育った身。
生粋の極道でした。

村雨の出した策を
寝呆けたコトと吹き飛ばし
誰よりも熱く山王への想いを
怒鳴り散らかした藤巻。
 

そして締めには
「オレに”山王”を呉れや!!」と。
この叫びを、4代目代行の
尾形 佳乃(おがた よしの)
村雨たちが、どう思ったのか。
それはマンガで見てほしいところ。

藤巻の迫力が。
実際に叫び声を聞いたら
空気がビリビリしてそうでした。

頭の良さがないと死んじゃうけど
他に、もっと必要なものが
極道にはあるんだと
村雨や石倉、藤巻たちを見ていると思います。

唐沢は規格外でした。笑

 
唐沢への借りを返すこと
我が子のように育ててきた勝男の苦しみ。
これが、藤巻が無茶苦茶できる
原動力でした。

唐沢、村雨、栗木が
軸だと思っていたけど
今の藤巻の突き抜け具合。笑
彼も主人公のように見える時があります。

そんな藤巻のもとに
今度は、あのクーリーが。
しかも彼の方から
手を組まないかなんて。
じゃっかん脅し入ってて
藤巻押され気味だったけど。笑

何が起こるか
本当にわからないなと。
そう思いながら、クーリーが
自分から力を貸そうとしていることが嬉しい東でした。