『血の轍』10巻 もう全部が歪んでいるのかもしれない【ネタバレ注意・あらすじ感想】
やってきましたの東です。
今回は『血の轍』第10集のことを、書いていきます。
作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。
間違えて、第11集を
先に読んでしまったのですが
それでも頭が追いつきませんでした。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。
あらすじ
田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。
自分が静子に対して
本当はどう思っていたのかが、わかった静一。
彼は普通の幸せを
取り戻していっていました。
けどそこにしげるが
不穏な空気を連れてやってきます。。。
登場人物
■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。
周りの状況が変わりつつも
また幸せな日常を
少し取り戻していた静一。
けどどうして
そのまま幸せな方へ
行かせてくれないのか。
しげるの来訪で全てが変わります。
■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
今は精神鑑定が行われていました。
自分が突き落としたことを
認めている静子。
ただ動機に、理解しがたい点が。
■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
静子と、なんとかやり直せないかと必死の一郎。
けど静一に協力する気はなく。。。
彼の心が休まる日は来るのか。。。
■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
彼女は今でも静一の味方でした。
学校に居場所が
なくなってきている静一にとって
心の支えのような人に。
■三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
彼はどうしてしまったのか。
普通の会話が、できそうになかった。
感想
静子を自分の中から消し去ろうとした静一
3歳の時、母の長部 静子
(おさべ せいこ)に
高台から落とされたことを
思い出した静一(せいいち)。
静子に対して、みじめだと
感じていたことまでもを思い出していました。
彼にとっての静子は
世界で一番嫌いな存在だったのです。
その日も、弁護士と
父の一郎(いちろう)は
話しをしていました。
静子は、どうして
静一のいとこである
三石 しげる
(みついし しげる)を
崖から突き落としたのか。
それに対し
返ってきた彼女の答えは
しげるの顔が、静一に見えたからだと。
どういうこと??って
なりながら読んでた。
静子は、親戚の人たちが
嫌いだったからじゃないの?って。
それを立ち聞きしていた
静一は、ひとりで笑ってて
それがまた不気味でした。
彼女を嫌う気持ちが増してるように見えました。
静一は、家で一郎と
目を合わすこともなく。
学校では、静子が
甥っ子を殺したと
クラスメイトの小倉 和也
(おぐら かずや)が
いじってくるようになります。
もう前のような
友達ではありませんでした。
居心地の悪さに静一は
学校から出ていってしまいます。
それを追いかけてきてくれたのが
クラスメイトの
吹石 由衣子
(ふきいし ゆいこ)でした。
静一は前に、彼女のことを
飽きたと言ったり
雨の中、1人置き去りにしてきたり。
普通なら嫌われているのに
それでも一緒にいてくれるのは
どうしてなのか。
それでいいんか由衣子、と思います。
小倉にチューもされてたし。笑
対して彼女は、静一を
置いていきたくないのだそう。
理由は、彼女のお母さんが
家を出て行ったことにありました。
自分のことを話してくれたからか
静一も、静子との間に
あったことを話し始め
2人は、お互いのことを知っていきます。
3歳の時、殺されかけたこと
静子は、いとこにも同じことをしたと。
そして嘘もつかれていたこと
自分が壊れないように
静子に従って、くっついていたこと。
今の静一が、一番に思うのは
彼女に殺されてしまった
自分を生き返らせたいと。
静一は瞳に光を宿し、涙を流していました。
その話しを聞いた由衣子は
静一が静子にしていたように
自分の心を守るため
静一にくっついていたのだと話し始めます。
だから、ひとつになるのではなく
本当の2人になりたいと、言うのでした。
そしてお母さんが大嫌いだと。
由衣子の考えで、それぞれの母に
仕返しをすることに。
母の顔を書いた布袋に
大きい石を投げつけるという。。。
彼は頭の中で
叫ぶ静子をイメージしていました。
痛々しかった。。。
溜まったもの全部を発散しているような。
こうして彼は、静子を殺してしまいます。
もうこれで苦しめられることはないと。
そんな間違った高揚感の中で
2人はまた、恋人同士に。
以前よりも、深い結びつきができていました。
そして、この件の
区切りがついたら
引っ越しをしようとしている一郎。
彼は、静子とやり直したいと
思っていました。
けど静一は、もう
静子に会いたい気持ちはまったくありません。
由衣子がいればいいと。
彼女と2人で暮らすことを
考えるようになっていたのでした。
突然の来訪者は、静一をしげちゃんと呼ぶ
雪の降る日の
夜が明け切らない頃
長部家の前に、しげるが突然やってきます。
薄着の彼は、鼻水を垂らし
ガチガチに震えていました。
彼は、静一の家に入る気はありません。
あの山に行こうと言って
静一と遊びたいのだと
先に歩いていってしまうのでした。
様子のおかしさに
変な汗をかきながらも
必死に止めようとする静一。
そしてしげるは、静一のことを
何故か、しげちゃんと呼ぶのです。
けど動揺する静一を置いて
彼は、どんどん先へ。
その後、目に入ったのは
なぜか静一が3歳の時に
落とされた、あの高台の場所でした。
ようやく、しげるが
足を止めたのは
静子に抱き上げられた、あの位置です。
どうして彼が
それを知っているのか。
動揺している静一に対し
しげるは、自分が静一だと
当たり前のように言い出したのでした。
「半分、死んでるんさね。」と。
静一は、頭が追いつきません。
けどしげるは続けます。
殺されたのに、死ねなかった。
確かに、しげるは
崖から落ちても、生きていました。
そして静一も、3歳の時に
高台から落ちて、生きていた人です。
けどしげるは突然、自分を
置いていくのかと訴え始めます。
自分が歪む前に
戻してほしいという彼は
もうただ言いたいことを
言っているだけのようでした。
それでも静一は彼に
生き返れると話しかけます。
半分死んだままじゃないと。
励ましたつもりだと思うけど
それでも、しげるは動きません。
帰る場所はないと言い出す彼は
「ママは僕にくっついてる。」と漏らすのでした。
静一も、これまで自分を守るために
静子にくっついていた人です。
そう由衣子に
話していた時のことを
思い出しながら読んでしました。
由衣子と石を投げて
自分の中にいる静子を殺した静一。
静一は、しげるに
それで逃げられたつもりかと
今度は責められます。
彼は静一のことを
どこまで知っているんだろう。
自分の苦しみの何がわかるんだと
静一が叫んだ時のことです。
しげるは突然消え
代わりに、不気味な静子が
その場に立っていました。
静一は、恐怖からか
これまでの溜まりに溜まった
うっぷんを、彼女にぶつけます。
その度、静子を覆っていた
黒いものが溶け
静一の体へと、こびりついていってました。
気づけば、彼の全身は真っ黒に。
静子が急に神聖な
存在に見えてきます。
自分も感覚マヒしていました。
全部、静子が悪いように叫ぶ静一。
どうして静子と
不幸になることでしか
喜んでくれないのかと、静一は聞きます。
そこでやっと彼女の言った
言葉は「自分を見なさいよ」でした。
そして静一を卑怯者と言い
「おかしいのは、おまえだがん」と
静子は彼を否定するのでした。
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