のほりひがし。 東の感想ブログ

Netflixドラマ『さよならのつづき』心臓で繋がった二人の愛の物語【あらすじ感想】

ドラマ感想

今回は『さよならのつづき』の世界に行ってきました。

監督:黒崎博
脚本:岡田惠和

2024年11月14日よりNetflixにて世界独占配信開始。

全8話のNetflixオリジナルドラマです。

プロポーズを受けた日に亡くなった恋人の心臓が移植された人物と出会ってしまったら。

恋人を亡くした菅原さえ子と、その恋人の心臓で生き延びた成瀬和正。

色々な愛がある中、亡くなった中町雄介の心臓で繋がった二人の切ない愛の物語です。

 

『さよならのつづき』あらすじ


 

北海道のどこか懐かしさの残る小樽でのこと。

あるカップルがバスに乗り、山道を登っていました。

彼女の名前は菅原さえ子(演:有村架純)。

もう一人は今まさにプロポーズをしようとしている中町雄介(演:生田斗真)。
 
雄介の大掛かりな仕掛けのされたプロポーズは、彼の描いていたものと少し違ったようだけど結果大成功。

幸せな空気に浸っていた時のことでした。

カーブの先に迫っていた雪崩。

二人を乗せたバスはそのまま巻き込まれ、さえ子を守った雄介は死亡。

彼女だけが病院で目を覚ましたのでした。

・・・

臓器提供の意思表示をしていた雄介。

彼の心臓は無事なうちに、心臓病を患う成瀬和正(演:坂口健太郎)に移植されていました。

元の生活に戻れた成瀬ですが、彼は自身の異変に気づき始めます。

好みの変化や、覚えのない記憶が脳裏に浮かぶように。

それらの変化は次第に成瀬を混乱させていきます。

また雰囲気の変わった成瀬に対し、妻の成瀬ミキ(演:中村ゆり)も動揺を隠せずにいました。

さえ子と成瀬の運命のような出会い。

やがてさえ子は、その出会いに翻弄されていくこととなります。

 

心臓移植の際に記憶が転移することはありえるのか

心臓移植による記憶の転移からくる趣味嗜好の変化は実際に起きていることなのだそう。

これは心臓だけでなく他の臓器が移植された際の事例も。

医学的な証明の段階まではいっていないものの、臓器に本人の強い記憶が残っている可能性はありえるのだと。

そうした記憶転移のお話からラブストーリーを作ろうと企画が進んでいったとのことでした。

 

東洋医学には「心は神(しん)を蔵する」という考えがあります。

神(しん)は生命活動全体の大元、心に宿っているもの、命そのものを表すものであると。

そしてその神の力によって人は心身の調和が保たれ健康でいられるというものでした。
 
また普段、五臓(心臓、肝臓、脾臓、肺臓、腎臓)を漢字で書く時には「臓」を使っていますが

今から2000年も前に完成していた中国で最も古い医学書の『皇帝内経』には「臓」が使われておらず「蔵」と表記されていたのだそうです。

このことから五臓は東洋医学において解剖学のような臓器ではなく

もっと広い生理的、精神的機能などの重要なものも収め、精気を蓄える場所とされていました。
 
そのようなものを移植したとなれば

成瀬の身に起きたこともまったくありえないことではないんじゃないでしょうか。

この要素が観る人にとってはほんのりファンタジーのような

またある人には現実的な可能性もある物語として、いろんなふうに映って見えてそうでした。

 

『さよならのつづき』感想

雄介の臓器を移植された成瀬は、雄介と同じ特技を持っていたり他にも同じ言動をしたりと

彼らの共通する部分は一緒に過ごす時間が長くなるほど増えていきます。

成瀬と過ごすことで、さえ子も知らなかった雄介を知る出来事まで起きたりと。

雄介と成瀬が重なっていく。けど成瀬は雄介ではない。

それでも成瀬のもつ似ている部分や成瀬自身の人柄に、さえ子も徐々に混乱していきます。
 
「不倫のほうがよっぽどよかった。」

さえ子と成瀬の親密な関係を知ったミキが、さえ子に涙ながらに話していた言葉です。

少数精鋭で描かれている作品ですが、どの人物も良い人ばかりで観ていてジクジクきました。

ミキの不倫と言わないところ。

普段ズバズバものを言い、仕事もバリバリなさえ子。

いっそその勢いで思いっきり略奪に振り切ってくれたらと思う辛さでした。

・・・

接する相手が亡くなった恋人の心臓をもっている。

その人の中に自分の愛する人の核があったとして、果たして同じ人になりえるのか。

その人には人格があって家族がいて、重なる部分はあっても自分にはどうしても違う人に見えてしまって。

けど大好きな人を失ったばかりだったら、そんなことは言わないんだろうと思います。

それでもさえ子に寄り添った考えをしようとすると、簡単に分かった気になってはいけないと。

さえ子がマキと言い争っていた場面が浮かんでいました。

・・・

やっぱりさえ子と成瀬の関係が深まった根っこには、さえ子が成瀬に惹かれた部分があったからだと思います。

そこに面白いくらいに重なっていく偶然。

その中で相手との何気ない時間が積み上がっていくことが、観ていて一番大切なものに感じていました。

・・・

運命はまだよくわからないけど、すごい偶然だ、奇跡だってなるようなことが

相手との間に起きたから愛が増えるのかというと

それよりも自分の場合は、何かを共有したり同じ時間を過ごしたりした時に増えるものに感じています。

そっくりの部分をもった人が目の前に現れても、相手との間に何かがなければそこに愛が増えることはなく。

ただ同じ心臓をもった人と出会っても、一緒に過ごす時間がなければ何も生まれません。

生身の体で、さえ子とその時間を共有したのはやっぱり成瀬なんだと、いろんなお話しを読んだり聞いたりしながら、自分の辿り着いたところでした。

・・・

そしてマキの懐の深さ。

彼女のように悲しんで苦しんでいる人がいると思ったら、その人の幸せを壊してまでとはなれず。。。

さえ子だったら、マキのことを知るほどにだったと思います。

もしマキが何も気にしない人だったら話が変わってくるのかもしれないけれど、背後に悲しんでいる人がいるのは辛かったです。

笑顔の女性が増えるといいなと。好きな人のそばで幸せそうにしている女性の笑顔は格別です。

変わらず日常が続く奇跡の中で、何気ない時間を誰とどう過ごすか。

その中で心からの笑顔でいられる男女の関係が、老若男女問わず増えていったらと思います。

・・・

YouTube動画「有村架純×坂口健太郎×生田斗真×中村ゆり 制作の裏側をトーク|さよならのつづき|Netflix Japan」にて

「Q.みなさんにとって愛とは?」というお話しがあって

ゲーテの『ファウスト』を読んだ時に考えていたから反応を。

愛。これも考え出すとよくわからなくなってくるけど

とてつもなく大きくて把握できないような、今は全部なのかなと思いました。

 

 


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