のほりひがし。 東の感想ブログ

映画感想『アバター2 ウェイ・オブ・ウォーター』血や掟を超えた家族の物語

映画感想

こんにちはの東です。
今回は『アバター』の続編
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のことを書いていきます。
『タイタニック』や
『ターミネーター』など
数々のヒット作を生み出している
ジェームズ・キャメロン監督の最新作です。

シリーズは全5部作となっており
今回はその2作目にあたります。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。

 

あらすじ

神秘の星パンドラで
元海兵隊員のジェイク・サリーは
そこで暮らすナヴィのネイティリとの間に、子供を授かりました。

それから月日が流れ
平和に暮らしていた彼らのもとに
再び宿敵のマイルズ・クオリッチが出現。

人類とナヴィとの争いの中で
様々な家族の物語が描かれていきます。

 

登場人物

■ジェイク・サリー:サム・ワーシントン(東地宏樹)
元海兵隊員であり、地球人(スカイ・ピープル)であった主人公。
彼は下半身不随の治療費を
RDA社が肩代わりするのを条件に
アバター計画に参加していました。

当初の役目はスパイであったのですが
車椅子から解放された
そこでの暮らしを気に入り
そしてネイティリと結ばれたことで
彼は地球人でもなくアバターでもなく
彼女と同じナヴィとして
パンドラで生きていくことを選んだのでした。

ジェイクの家族や部族を
守ろうとする気持ちが
他の部族を巻き込んでいく様子。

何かを守るために
他のものが犠牲になっている状況を見ることになります。

ジェイクの選択はどうだったのか。
今の時点では分かりませんが
続く3、4、5と観ていくと
目にする賛否分かれた意見も
変わってくるのかもしれません。

■ネイティリ:ゾーイ・サルダナ(小松由佳)
オマティカヤ族族長の娘。
地球人もナヴィも、母強しでした。
ネイティリは特別強いです。
ですが我が子への想いが
彼女を暴走させている様子には
怖さを感じるほどでした。

海の部族の元へ行っても
馴染まずにいたネイティリ。
森の民である
オマティカヤ族への想いが
彼女にそうさせていました。

■ネテヤム:ジェイミー・フラッターズ(畠中祐)
ジェイクとネイティリの長男。
言いつけを守れないロアクを
止めようとするも、毎度上手くいかず。
それでも弟思いの優しいお兄ちゃんでした。
彼とロアクが対照的に見えて
面白かったです。

■ロアク:ブリテン・ダルトン(英語版)(バトリ勝悟)
次男であり、ルールを破るのが彼の役目のような。
周りを困らせながらも
彼は部族にも囚われず
色々な存在と関係を深めていくことになります。
それが後に、ジェイクたちを
救う大きな力になっていました。

■トゥク:トリニティ・ジョリー・ブリス(香月萌衣)
末っ子の純粋で可愛い女の子です。
キリとも仲が良く
いろんなものに興味津々。
よくあの戦いの中
生き延びられたなと思います。
何度も危険な目に遭いながらも
生還した子でした。

■キリ:シガニー・ウィーバー(早見沙織)
前作で亡くなった地球人
グレイス・オーガスティン博士の娘。
純粋なナヴィではないため
馴染み切れていない様子でした。

父が誰なのかを知らず
そして自分自身のことも
分からないというのが
不安や孤立する原因に。
彼女の周りに起こる出来事を
一緒に見ていくのが好きでした。

■スパイダー:ジャック・チャンピオン(内田雄馬)
ジェイクたちの養子になった
パンドラで暮らす地球人の子供です。
そのため彼はマスクをつけて
パンドラで生活をしていました。

養子でありながらも
みんなと仲良く暮らしていたスパイダー。
けど血の繋がりの強さというのは
窮地に陥った時
よく見えてくるものなのを感じました。

それはスパイダーや
マイルズだけでなく
ネイティリにも言えることです。

■マイルズ・クオリッチ:スティーヴン・ラング(菅生隆之)
前作で死んだはずの地球人であり
ジェイクやネイティリの宿敵です。
以前は、ジェイクたちの暮らす
オマティカヤ部族の制圧を目論んでいました。
けどそれは失敗に終わります。
その復讐のため、今作で
再びパンドラを襲ったマイルズでした。

■トノワリ:クリフ・カーティス(楠大典)
海の民である
メトカイナ族のリーダー。
森から逃げてきたサリー家を
掟のためではあるものの
迎え入れたトノワリ。

この先に起こる出来事を
予想していないはずがないのに。
それでも受け入れた彼の覚悟。

■ツィレヤ:ベイリー・バス(内田真礼)
トノワリ家の長女。
サリー家の子供たちは
彼女から色々なことを教わります。
少しずつ彼女との関係が
変わっていく様子も、観ていて好きだった部分です。

部族長の娘のため
最初から面倒見よく
接していましたが
最後には違う優しさが見えていました。

 

感想


『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』公式サイトより出典

『アバター』2は、家族のお話でした。
1から繋がっているので
まだ観ていない人、忘れちゃった人は
まず1を観るのを強くお勧めします。

前作の公開から13年が経っているので
記憶に自信のある人も
まずは1を観てもらえると
出だしから楽しめる内容になっています。

 
そして時間はなんと3時間超え。
けどあっという間でした。

内容はすごくシンプルです。
その中に、自然の美しい映像が
たくさん盛り込まれています。

特に海。
海のキレイな描写が
たっぷりな分、話の進展は
途中ゆったりになりますが
それでも、映画館で観る
海の描写は格別でした。
映画館で魅力が爆発する作品です。

 
最新の技術を使って
作り込まれた映像の海。
それを観た後で
実際の海に行ってみたり
現実の海の映像を観てみて欲しいです。

現実にはキレイな海と
汚れてしまった海の両方があります。
その時の、目を背けたくなるような気持ち。
そこまでを感じてみてほしいなと思いました。

 

死んだ後も、生き続けられる世界

まず驚いたのが、1で死んだ
マイルズ・クオリッチ大佐
記憶を受け継いで蘇ること。

彼は地球人(スカイ・ピープル)であった
主人公ジェイク・サリーの元上官です。
マイルズはRDA社の
傭兵部隊を率いていました。
ですが神秘の星、パンドラにて
森の民である
オマティカヤ部族の暮らす村を
制圧しようと企みます。

 
そこにジェイクは
よく分かっていないまま
マイルズの指示でスパイとして
送り込まれることに。
そしてナヴィのネイティリと出会い
やがてジェイクとマイルズは対立。

ここから大きな争いへと発展していったのでした。
そして暴走するマイルズに
トドメを刺したのは
ジェイクではなく、なんとネイティリだったという。

これが1のザックリとした内容です。

 
こうして死んだ彼が
自分の死に備え
生きているうちに
自分へのメッセージを
記憶と一緒に残していたのでした。

 
体は人間よりも強い
パンドラに住むナヴィと同じものに。
人間とナヴィのDNA
両方が合わさってつくられた生命体が
今のマイルズです。

最初は本人もよく分かっておらず。
けどマイルズの記憶が
移植された生命体のため
無自覚でも似た部分があったり。

その生命体が
マイルズであることを
強く自覚していき
彼自身になっていく様子は不思議なものでした。
 

こうして蘇った彼は
ジェイクたちに復讐するため、再びパンドラへ。

その道中で、成長した
自分の息子である
スパイダーと再会することになります。

彼の中に、父としての感情が残っているのか。
それとも芽生えるのかという
2人の関係が描かれていました。
 

人間でありながら
1人アバターの世界に取り残され
生き延びていたスパイダーは
ジェイクたちと一緒に暮らしていました。
そこに血の繋がりはありません。

ですが面倒を見てくれた
ジェイクたちと
マイルズは対立関係に。
その間に挟まれた
スパイダーにも、注目してほしいところです。

一緒に生きてきたパンドラでの
家族と、記憶だけではあっても本当の親子。
ナヴィと地球人
どちらの側にも
家族がいる彼にとって
この戦いは、途中から苦しいものに
変わっていたと思います。

 

血の繋がりを超えた家族の関係


『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』公式サイトより出典

前作と違うところは
本当の子供、地球人の子供
地球人と何かのハーフの子供という
家族が増えたことです。
この複雑な家族構成があっての2作目でした。

地球人のスパイダー以外には
血の繋がりがある子供の
ネテヤム(長男)ロアク(次男)
タクティレイ “トゥク”(8歳の女の子)
がいます。

そして血の繋がりはないけど
一緒に暮らしてきたキリという
父親が不明な女の子も一緒に。

彼女もスパイダーとは
また違う存在として
同じように重要な位置にいました。
 

キリは前作で亡くなった
地球人の植物学者
グレイス・オーガスティン博士の娘です。
けど父親が不明であるという
謎めいた存在で描かれていきます。

見た目はナヴィのものであったけど
いつも浮いているような。
トゥクとは仲が良く
そしてパンドラでは異質である
スパイダーとも親しげにしていたキリ。

 
スパイダーは見た目が人であるものの
家族たちとも馴染んで
みんなで仲良くしていました。

けどキリは見た目では
馴染んでいても
どこか浮いているような。
父親を知ることが
自分を知ることに
繋がっていると言いたそうに
いつも父親を知りたがっていた印象です。
そうして自分自身のことも
知りたがっていました。

 
そんな彼女の力は
オマティカヤ族の村よりも
家族が逃げた先の
メトカイナ族の海で強く発揮されることに。

メトカイナ族は海の部族であり
ジェイクたちのいる
森の部族、オマティカヤ族とは
違う特徴のあるナヴィでした。

 
「水はすべてをつなぐ
生まれる前から死んだ後も」と。
予告にある言葉です。

パンドラの海が
キリにどんな影響を及ぼすのか。
彼女がグレイスと
何の間に生まれたのかは
ハッキリと言葉では説明されていません。

けどキリの周りでどんな現象が
起きているのかを見ていくと
とても大きなものと
彼女が繋がっていることが分かります。
 

最初は森の中
そして海の中へと暮らす場所が
変わったことで
彼女の目覚めるきっかけに。

ここはキリと一緒に
力が開花していく様子を
観てほしいなと思う部分です。

答えだけ知るよりも
その間の彼女の
孤独や不安などを
感じているのを知った後での展開に引き込まれていました。

 

掟を守る者と破る者


『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』公式サイトより出典

作品で掟やルールを
守る者たちと
破り続ける登場人物がいて
その違いも楽しかったです。
 

家族や自分の部族を
守るため、海のメトカイナ族の
住処に匿ってもらったジェイクたち一家。

けどこれが原因で
海に生きる多くのものが
被害を受けることになります。

それを承知で彼らを
匿った、一族のリーダーであるトノワリ
最初は歓迎していなかったものの
ナヴィの掟に従って
彼らを受け入れていました。

 
彼が受け入れてくれたことで
ジェイクたちは守られたのですが
代わりに海に生きる
多くの命が失われる展開に。

ジェイクたちにとっては
命が守られただけでなく
キリの目覚めも促されたり
次男のロアクにも
素敵な出会いがありました。
 

けどこの選択は
この先のトノワリにとって
どういうものになるのか。
続編があることが
わかっている分
今後のメトカイナ族が気になる
出来事がありました。

 
そしてトノワリだけでなく
掟や決まり事を強く意識している者が
多く描かれていました。

そんな中、子供たちはというと
掟を忘れていそうな。

長男のネテヤムは
ジェイクの言いつけを
守ろうとする姿勢を見せていました。
けどそれをことごとく
破っていたのが次男のロアクです。
ロアクは森でも海でも
どこでも破りっぱなしでした。笑

 
その度に、怒られたり
キツイ体験もすることになりますが
それでも最後まで
ひとり、周りと違うことをする彼でした。

海で除け者にされていた生き物の
トゥルクンと心を通わせたり
トノワリの娘である
ツィレヤと惹かれあったりと
部族の壁をも越える存在として描かれていました。

 
そんな自由に見えるロアクですが
彼がそうできていたのは
ルールを守ろうとする
真面目な兄が、そばにいたからだと思います。

もし彼がいなかったら
ロアクがネテヤムの立場になって
兄弟を守ろうとしていたかもしれません。

 
そんなロアクを含めた
サリー家は、物語の終盤で
大きなものを失うことになります。
それが今後の彼に
どう影響するのか。
ここも気になる展開でした。

 

こういうふうにして
とても全部は書き切れませんが
他の部族も巻き込んだ
ジェイクたちの戦いと一緒に
子供たちのエピソードが
描かれているパートが2です。

そして地球人が
絶対悪として描かれていることに
賛否両論ありますが
作品の中での地球人が
何をしているのかを見てほしいなと思いました。

その後に1で亡くなった
グレイス・オーガスティン博士を
浮かべると、違いが見えるはずです。

血の繋がりや掟を越えていく
子供たちと、彼らを守ろうとするジェイクたち。

彼らの勢いに引っ張られて
あっという間の3時間と
スパイダーのとった選択によって
続きの気になるラストが待っていました。