【ネタバレ注意・あらすじ感想】映画『ライトハウス』夢か現実か、精神が壊れていく物語
こんにちはの東です。
今回は映画『ライトハウス』について書いていきます。
2019年に公開されたアメリカの
ホラー映画で
監督はロバート・エガース。
映像自体がアート作品のようでした。
モノクロの画面に映る
主人公たちの、おかしくなってく様子。
逃げ場のない孤島で
精神的に追いつめられた姿を
見ていたら、自分も
グラグラになっていました。
『トワイライト〜初恋〜』で
一躍有名になった
ロバート・パティンソンと
『スパイダーマン』の
悪役、ゴブリンで
ギネス世界記録にも認定されたウィレム・デフォー。
彼らが主演を務めている作品です。
ネタバレがあるので
それでもいい人だけ進んでください。
もくじ
あらすじ
灯台のある孤島に
灯台守(とうだいもり)として
派遣された2人の男がいました。
交代が来るまでの4週間を
ここで過ごすことになります。
ベテランの老いた灯台守
トーマス・ウェイクと
新人のイーフレイム・ウィンズロー。
ウェイクは命令ばかりで
ウィンズローはそれに従っていました。
けど重労働を続けていくうち
その理不尽さに、様子がおかしくなっていきます。
不気味な空気が、2人を包んだまま
続く灯台守の生活が描かれていました。
登場人物・キャスト
■イーフレイム・ウィンズロー
演:ロバート・パティンソン
吹替:櫻井孝宏
新人の灯台守。
最初はウェイクの方が
危なそうに見えていたけど
彼の方がやばかった。
最初大人しい人ほど
後で大爆発すると
恐ろしいことに。
■トーマス・ウェイク
演:ウィレム・デフォー
吹替:山路和弘
ベテランの灯台守。
重労働はウィンズローにさせて
自分はいいとこ取り。
彼はウィンズローに
予言をするものの
自分の隠している秘密を
明かすことはありませんでした。
■人魚
演:ワレリヤ・カラマン
キレイな人魚。
もしカラーだったら
また違う印象だったと思う。
モノクロだったからか
キレイだけど不気味な感じが。
自分はモノクロでよかったに1票です。
感想
なんなんだこれは!ってなる映画だった。
好みは分かれると思うけど
モノクロの映画全体が
一つの芸術作品みたいで。
1回見ただけだと
モヤモヤたくさん残して
波がザッパーン過ぎてくようだった。
一応ジャンルは、ホラー映画に。
けど登場するのは
主演の2人と灯台、人魚、カモメくらいで。
幽霊とかが出るんじゃなくて
よく分からない何かがある感じ。
謎めいたものが
恐怖心を煽る作品でした。
自分の中では、映画『シャイニング』に
近いものを感じています。
孤島に送られてきた2人の灯台守
1890年代のニューイングランド。
灯台だけがある孤島に
2人の灯台守が
その仕事を引き継ぐため到着しました。
1人はベテランの老人灯台守
もう1人は新人の灯台守です。
名前も知らない2人は
お互いに干渉しないように。
それでも一緒に暮らして
役目をまっとうしなくちゃなりません。
寝食を共にする場所は窮屈で
相性最悪の2人が一緒にいれば
それだけで、精神がまいってしまいそうだった。
老人は重労働すべてを
新人に押し付け
自分は1人、灯台の頂上を独占。
新人は、上に登ることもできず
地面に足をついて
過酷な労働に耐え続けるという。
その繰り返しの日々に
彼の精神は、おかしくなっていくことになります。
前に、ここで灯台守をしていた
男の持ち物を見つけた新人。
それは人魚の彫り物でした。
前任の男は、人魚の幻覚に囚われて
死んでしまったのだとか。
それを話す老人の言うことが
本当かは分からないけど。
けど新人も、それから
人魚の姿を見るようになります。
その後も、彼の精神状態は
どんどん悪いほうに。
けど4週間耐えれば
解放されるはずでした。
カモメを殺した罪
新人はある過ちを犯してしまいます。
無抵抗のカモメを
怒りに任せて殺してしまったことでした。
ここからまた映画の中に
嫌な空気が生まれてた。
この孤島で1人、重労働をやらされ
唯一接する相手が、嫌いな老人。
おまけに、住んでる所も狭くて
息が詰まりそうな場所です。
お酒で酔っ払って
なんとか精神を保とうとする新人。
お酒が入った時だけ
やけに賑やかで。
その上がって下がっての感じにも
グワングワンしてきてた。
お酒が入った時だけ
親しそうにする彼らは
ここでやっと自分の名前を明かすことになります。
お酒の勢いだった。
新人はイーフレイム・ウィンズロー。
そして老人はトーマス・ウェイク。
ここまでが序章でした。
酔っ払った次の日の朝は
水で喉をスッキリさせたくないですか。
それが蛇口を捻って血が
ドバドバ出てきたら最悪でしかない。笑
ウィンズローはもう限界でした。
蛇口から出てきたのが
カモメの血だとわかった途端
彼は怒りに任せて
1羽の無抵抗なカモメを
何度も打ちつけて殺してしまいます。
直後、島の風向きが変わり
天気が荒れ、迎えの船が
来れなくなってしまうのでした。
自然を前に、どうすることもできない
人の無力さも描かれてたと思う。
そこで島にあったボートで
ウィンズローは、脱出しようとするも
ウェイクがそれを破壊。
結局最後も
2人の争いが待っていました。
答えのない映画
最後を言ってしまうと
ウィンズローには、悲惨なラストが待っています。
彼は死なない程度に
生きていながらも、自分の
腹部をカモメに食べられ続けることに。
抵抗する力が無いのか
か弱いカモメの食べ放題だった。
この原因の全てが
カモメを怒りに任せて殺してしまった
だけではなさそうでした。
灯台の頂上から螺旋階段を
一気に転げ落ちたウィンズロー。
そして目の部分は、ボコっと
すごいことになってた。。。
灯台の灯りはとても神秘的に
神聖なものみたく表現されていました。
その神聖さにウィンズローは
取り憑かれたようだった。
映像で見てほしい部分。
自分たちは、灯りの目線で
彼を見ることになります。
手を伸ばしてきたウィンズロー。
普通に触れれば、大ヤケドだと思うけど。
彼は気持ちよさそうな笑みを
浮かべたと思ったら
これまでに無いほどの叫び声を
あげ続けていました。
ちょっと怖いくらい。
しばらくそれは続いて
灯りからようやく離れ
螺旋階段を一気に転げ落ちて
いくことになります。
そうした彼を待っていたのが
カモメに体を食われる末路でした。
結末をわかったはずなのに
スッキリしない、この感じ。
ずっと付きまとっていた怖さも
自分のただの思い込みみたいに
思うラストだった。
ウィンズローが見た
人魚の姿のなんだったのか。
どうして幻を見たのかも明かされず。
それが本当に幻だったのかも、答えはなかった。
やっとのことで見た灯台の灯り。
普通の灯台とは違う
その神聖さに、ウィンズローは何を見たのか。
それも彼と、ずっと頂上を
独り占めしていた
ウェイクにしかわかりません。
なんの変哲のない灯りなのかも。
けどそこに感じた神聖さが
自分の中では、答えのように感じています。
それに代わる言葉では
愛だったり、光だったり。
ずっと薄暗いところで
耐えてきたウィンズローにとって
これ以上ないほどの光を
受けたのが、あの瞬間でした。
あまりの眩しさで
目は潰れてしまったのかも。。。
頂点から地べたに落とされたウィンズロー
それまで頂上を独占していた
ウェイクは、ウィンズローに殺され
穴を掘った土の中へ。
そうして、てっぺんに
登ったウィンズローは
わずかな時間、頂上にいたものの一気に転落。
灯台の灯りが
神聖さや光、愛など以外にも
何を象徴しているのか。
これが頂点や勝利の意味なら
過ちを繰り返したウィンズローが
転げ落ちたのも分かる。
頂点を独占していた
ウェイクは、地上どころか
地中で眠ることになったのも。
ラストを見た人がどう思うのか。
自分以外の人の感想が気になる作品でした。
サシャ・シュナイダーの「催眠術」
サシャ・シュナイダーは
ドイツの画家です。
彼の遺した作品に「催眠術」というものがあります。
これと同じポーズを
ウィンズローとウェイクがとる場面があって
ビックリしてた。
ウェイクが全裸で左に立って
ウィンズローは右に。
ウェイクから発せられるビームを
目で受け止めるっていう。
突然のシーンに驚いたけど
映画のテーマに、性別によるさがあげられます。
サシャ・シュナイダーは同性愛者です。
そしてそれは、ウェイクにも
感じられるものでした。
彼はウィンズローに
それを望んでいたみたいだけど
ウィンズロー女性が好きなのです。
なので、人魚はウィンズローの
性の対象として描かれることに。
それをするためだけに
登場してるみたいだった。
自分を慰める存在としてだけ
女性の人魚を見て
かよわいカモメは、怒りのままに
何度も叩きつけ
最後には人間までを
殺してしまったウィンズロー。
自分の過ちを見つめることなく
その先、ようやく手にした
頂点で待っていたのは、彼の死でした。
この作品を見て何を感じるか。
ここまでは行かなくても
似たような生き方に
なっている人はいないか。
映画からのメッセージに感じています。
けど最初観た時は
「これはなんなんだ!」でした。笑
強烈な作品です。
実話と神話に基づいたストーリー
この作品は1801年
イギリス、ウェールズのスモールズ灯台で
実際に起きた事件を基に作られています。
それだけでなく、更に
ギリシャ神話もプラスされた
物語になっていました。
ウェイクはプロテウス
ウィンズローはプロメテウスにあたります。
プロテウスは海の老人と呼ばれ
変身する力や、予言の能力がありました。
作品の中で、ウェイクは
ウィンズローに警告をしたり
姿がクラーケンみたくなって
ウィンズローに襲いかかる場面があります。
そしてウィンズローは
プロメテウスと、同じ末路を辿ることに。
プロメテウスはゼウスの火を
人間のために盗んだ神です。
彼のおかげで、人間は助かったけど
代わりに、ゼウスが激怒。
その罰として彼は
オオワシに生きたまま内臓を
毎日少しずつ食べられる
苦痛を受け続けたという話がありました。
プロメテウスは不死身です。
だから食べられては再生してを
繰り返す拷問を受けたと。。。
けどウィンズローはさすがに人間。
現実ならありえないけど
もしここが彼の夢の中だったら。
ギリシャ神話で、セイレーンとされる
上半身が人間の女性も
クラーケンに変身したウェイクが
出てきたことも
彼の夢の中なら、納得がいくなって。笑
けどそうしたらウィンズローは
永遠にこの苦痛に
耐え続けることになるのか。
本当の彼は、どこで眠ってるんだろうって
深く知っていくことで、膨らむ作品でした。
途中、倒れているウィンズローを
彼自身が見つける場面があります。
けどその直後「催眠術」のシーンに。
ウェイクはウィンズローを
真実から遠ざけたんじゃないかと思いました。
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