映画感想『君たちはどう生きるか』サギ男との出会いから始まった不思議な世界の旅
こんにちはの東です。
今回は7/14に公開されたジブリ映画『君たちはどう生きるか』について書いていきます。
宮﨑駿(みやざき はやお)監督が
引退宣言を撤回してまで作られた作品です。
2013年に公開された『風立ちぬ』から10年ぶりになります。
当初3年で作るはずだったのが
実際には7年の歳月を要したとのこと。
宮﨑駿監督たちの投影された
キャラクターが不思議な世界に紛れ込んでいました。
ネタバレだらけなので
それでも良い人だけ進んで下さい。
あらすじ
母を火事で失った少年、眞人(まひと)。
その後、父が連れてきた
新しい母は、眞人の母の妹でした。
それを受け入れられないまま
一家は青鷺屋敷へと引っ越すことになります。
そこで出会った青サギにより
彼はこの世ではない所へと招かれるのでした。
キャラクター・声優
■眞人(まひと)
山時聡真
スタジオジブリ公式サイトより出典
東京に住んでいた11歳の少年。
表面上は礼儀正しく真面目そうな子でした。
けど彼が押さえ込んでいる部分の
見えるシーンがあったり。
ムスッとしていたり。
違う世界を旅したことで起きた
彼の変化が嬉しかったです。
■サギ男
声:菅田将暉
スタジオジブリ公式サイトより出典
青サギと人の姿に変化できるサギ男。
エンドロールで
名前を知ってからも
声が未だ一致しないでいます。
喉を潰して喋っている分
終わってから数日声が出なかったのだそう。
本当に別人でした。
人の姿になった時
肌色の手に人の頭をしているものの
とんがり耳と、ドデカな鼻が特徴的なキャラクターです。
キャラクター一人ひとりに
モデルになっている人がいて
全部ではないけど詳細は
雑誌「SWITCH」に載っています。
それを知ってから
眞人とサギ男のやりとりを見ると、のほんと。
モデルになっている人たちも
こんなふうにしていたのかなと
思うようになりました。
そして鼻はやっぱりで
手塚治虫(てづか おさむ)さんのキャラクターに。
作品の根っこの部分を
知ることが、違う楽しさに繋がってました。
■キリコ
柴咲コウ
スタジオジブリ公式サイトより出典
青鷺屋敷の世話係である
7人のおばあちゃんの1人。
画像はおばあちゃんじゃないけど。笑
タバコが大好きなおばあちゃん。
最初、まさかキリコが
こんなふうになるなんてって。
彼女が一緒に異世界に
行ってなかったら
眞人はもっと危険な目に
遭っていたんだと思う重要な人でした。
あと頼もしすぎてて。
途中で、眞人が自分から抱きついていたり。
元の世界に戻ってからの関係は
最初と違ってるんだろうなと思いました。
■ヒミ
あいみょん
スタジオジブリ公式サイトより出典
声がまさかまさかと思う人ばかりです。
ヒミは画像で見るのと
喋っているとこを見るのとで
印象が違かった子でした。
少女だけど、どこか大人びていて
けど時々眞人よりも天真爛漫そうに見えたり。
彼女の使う力だったり
異世界で眞人と出会ったことが
どれだけ奇跡的なことかっていう。
その世界で起きたことを
彼女はその後も覚えていたのかが気になりました。
■夏子(なつこ)
木村佳乃
スタジオジブリ公式サイトより出典
眞人の亡き母の妹。
最初の方、夏子のしている
指輪の映ってる場面が
多い気がして、目がいってました。
彼女の奥底にあったものが
表に出てくる時のシーンがあります。
その時の、眞人と夏子の関係の
ひっくり返る感じが強く残っています。
■勝一(しょういち)
木村拓哉
スタジオジブリ公式サイトより出典
戦闘機工場の経営をしている眞人の父。
すれ違いのような
眞人と勝一の親子関係が描かれていました。
眞人が外で何かあった時
彼のためを思っているはずが
眞人の本当の声を聞けていなかったり。
けど、いざお金だけでは
どうしようもなくなった時も
全力で向かおうとした勝一。
不思議な世界から
はみ出してきた現象に
遭遇した時の彼の様子が。笑
インコのフンを浴びてたりと
経営者としての彼の像が和らいだ感じがしてました。
■ワラワラ
滝沢カレン
スタジオジブリ公式サイトより出典
不思議な世界に存在する
生と死の象徴的なキャラクター。
眞人みたく手のひらに
乗せてみたさあああ無理かあああって。笑
大量のワラワラがかわいかった。
全編手描きということで
100は軽く超えてそうな
ワラワラの数に、これも
ひとつずつ描いてるのかなと
ドッフしてました。
■老婆たち
あいこ:大竹しのぶ
いずみ:竹下景子
うたこ:風吹ジュン
えりこ:阿川佐和子
スタジオジブリ公式サイトより出典
4人とキリコ含めて
声は5人だけど、7人いるおばあちゃんたち。
夏子の実家である
青鷺屋敷の世話係です。
けど夏子と眞人が
屋敷に到着しても、お出迎えはなく。
みんなお土産は何かなと
鞄に夢中な自由さが。笑
眞人の母の子供の頃も
知っているおばあちゃんもいたりと
長く仕えているからの
雰囲気がありました。
■大伯父
火野正平
スタジオジブリ公式サイトより出典
異世界の重要すぎる人物。
彼のいる場所は天国のようだと。
石で覆われた建物の
ずっと上にいる大伯父。
下の階はインコがギュウギュウに。
けど大伯父のいた場所は
静かで、光が入って自然豊かで。
同じ世界の中でも
どこにいるかで、別世界みたいに感じるのが面白かったです。
感想
1回目観た時は
謎だ〜不思議だ〜どうなってるんだ〜って。笑
次々起こる出来事に
夢中になってたら
終わりが来ちゃったっていう
そういう感覚でした。
眞人(まひと)が
不思議な世界に入る前と
入ってからの、物語の展開の速さが違く感じて。
そういうスピード感も
2回目だと余裕が。
観る度、新しい発見がありそうです。
またタイトルは
『君たちはどう生きるか』という
吉野源三郎(よしの げんざぶろう)さんによる小説からとのこと。
けど内容はオリジナルです。
メインビジュアルで
サギ男がドアップで写っているところ。
同じタイトルだけど
違う物語なことが
言われているようにも見えました。
眞人が入り込んだ生と死の世界
青鷺屋敷に引っ越した後
眞人がサギ男に
案内された場所は
これから生まれていくものと
死んだものが、混ざって存在する世界でした。
そしていろんな時間が
同時に存在しているミステリー。
何人かの体験している
時間の歪みの重なった地点が
映画の中にあります。
その重なった奇跡というか
眞人にとっての今が
他の人にとっては過去になっていたり。
現実世界に戻った時
そこが過去だった人たちは
まだ覚えているのかな
あの時は覚えていたのかなと。
そう思うと、眞人が
その世界に行く前の
キャラクターが気になって
また観たくなるという。
抜けられないルートがありました。笑
そして広大な海に囲まれた
広い世界が描かれていると
思っていたのが
その世界に迷い込んですぐ
なんかやばそうだって
見え方に変わっていきます。
ペリカンやインコたちの
鳥を見ているとヒヤリ。
これから生まれていこうとしている
命を食べてしまったり
まるで人のようにして
包丁などを隠し持っている鳥たちが。
あからさまなその様子が
ちょっと怖かったです。
カラフルな鳥たちが
子供相手に、刃物などを持って群がっている図。
自由に羽ばたく鳥は
その世界にはいませんでした。
また飛べたとしても、食料もなく
同じ場所を延々に飛び続ける
地獄のような日々を送っていたり。
他の鳥たちは
羽を飛ぶために使うよりも
物を持つために使っていたりと。
その溢れかえった鳥がみんな
食を中心に生活をし
一羽の王を讃えて、それが人間みたいでした。
鳥であることを
忘れてしまったような彼らで溢れている世界に。
均衡を保つのも
ギリギリなところに
きているのが、鳥たちから分かります。
鳥かわいいいなぁじゃなくて
狂気が漏れてた。
じゃあそういう
おかしくなってしまった鳥たちが
いなくなったら平和なのかというと、そうではなさそうで。
眞人が元いた世界に
飛び出した鳥たちを見て
そこの世界が
彼らをそうさせていたんだと
いうところに、2回目を観て落ち着きました。
なんであんな酷いことするんだって
なっていたのが1回目。笑
そうか、彼らじゃなくて
取り巻くものだったり環境が
そうさせていたのかと
分かってきた2回目です。
その世界と、現実では
鳥たちの感じる風の気持ちよさが、まったく違いそうでした。
スタジオジブリ公式サイトより出典
眞人と義母である夏子の関係
頭に焼き付いている場面の1つが
異世界に行った眞人と
義母の夏子(なつこ)の
心からの叫びが、ぶつかり合うシーンです。
現実の世界と、生と死の世界での
2人の表に出ていた部分の
ひっくり返るような感じが。
そして2人の描写に引き込まれてました。
義母をなかなか
受け入れられないでいた眞人。
そんな彼に対して
優しく面倒を見て
笑顔で接していた夏子だったけど
心の奥底は違っていたんだと。
眞人と同じように
夏子も本音を押さえつけていた
部分のある人だったのが
露わになっていました。
一方の眞人も
夏子と2人でいる時の力の入っている感じ。
そして会話は礼儀正しく
返事をしているものの
必要最低限のもので済ませていた眞人。
2人が異世界に行っていなかったら
このまま平行線だったんじゃって思います。
けど変わるきっかけになったのが
その世界の産屋で横たわる
夏子との再会でした。
そこでは、産屋に入るのは禁忌とされています。
覗いてはいけないよと。
けどそれを破ったのが
眞人と、彼が異世界で出会ったヒミでした。
石に守られた空間は
そこだけ日本ぽい雰囲気が。
気づいて目を覚ました夏子が
これまで見せなかった形相で
眞人を睨みつけていました。
けど、それを向けられた眞人が
同じように拒絶するんじゃなくて
夏子を、初めて受け入れたのが強く残っています。
また作中、石には悪意があると
言われていました。
その石に覆われた場所で
大量の白い紙が
生き物のようにして
夏子から眞人を引き離そうとする中
思いっきり叫んだ眞人の言葉と
それを聞いた夏子の様子。
その時の眞人が
包帯だらけに見えて
心に大きな傷を負った子みたいに感じてました。
いろんな心に残るシーンがある中
他と違う空気な気がして
引きつけられるものがありました。
そして、いろんな大きさの
石が、映画の中でたくさん登場します。
手のひらに収まる
小さなものから塔の外壁まで。
石には悪意が。
その石たちがどこで出てくるのか。
眞人が石で自分の頭を
傷つけたのも
新しい母、転校先の学校から
彼がどんな感情を
握りしめてたのかが
伝わってくるシーンが
石を使って描かれていました。
メインビジュアルになっている
サギ男と眞人の関係には、微笑ましさが。
ふたりの会話の、喧嘩っぷり
嘘と本当を繰り返しながら
結局協力して一緒に突撃していく。
本人たちは眉間に
シワ寄せてやっていても
側から見てると笑笑笑っていう。
「SWITCH」読んで
その関係がもっと好きになってました。
生と死の世界と
夏子のことを書いたけど
触れていないキャラクラーがまだまだ。
分かる範囲のことだけでも
まだ書ききれていないくらいで。
おもしろかったー!の先に
たくさんのものが隠れている作品でした。
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