ネタバレ注意『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』あらすじ感想
こんにちはの東です。
今回は現在公開中の『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』について書いていきます。
塩谷直義（しおたに なおよし）監督
による映画で、2012年から始まり
10周年を迎えたシリーズ最新作です。
アニメ3期へと繋がる空白の時間が描かれています。
ネタバレがあるので
それでもいい人だけ進んで下さい。
あらすじ
舞台は近未来の日本。
そこでは、人々の精神状態が
<シビュラシステム>によって
数値化されていました。
一定の基準を超えれば
罪を犯していなかったとしても
潜在犯として裁く対象に。
そうしたシステムによる
管理社会の中、刑事の
常守朱（つねもり あかね）や
元公安の狡噛慎也
（こうがみ しんや）らが
人々を守ろうと奮闘する姿が描かれています。
登場人物
■常守 朱（つねもり あかね）
声:花澤香菜
厚生省公安局統括監視官。
初期から雰囲気の変わった常守ですが
その背景には、多くの事件や
世界の真実を知ったこと
パートナーである狡噛の逃走など
様々な要因がありました。
映画の中で下す決断の重み。
巨大監視ネットワークである
<シビュラシステム>と人の間にいる数少ない人物でした。
■狡噛 慎也（こうがみ しんや）
声:関智一
元厚生省公安局刑事課一係の
執行官であり、今は外務省海外調整局行動課特別捜査官。
公安から姿を消し
海外へ逃亡した狡噛ですが
外務省にスカウトされ、今の位置についていました。
シリーズでは常守よりも先に
アニメ1期で主人公だった狡噛。
アニメや映画など
彼と彼女が入れ替わりで
主人公になっていくのが面白いところです。
■慎導 灼（しんどう あらた）
声:梶裕貴・三浦千幸
アニメ3期の主人公。
3期では、彼のもつ能力が
フルで発揮されていました。
今作は、彼が公安になる前の話です。
なので3期の時にはなかった
普通の暮らしを楽しんでいる慎導がいました。
■炯（けい）・ミハイル・イグナトフ
声:中村悠一
灼とともに3期の主人公である
日本国籍をもつロシア系移民の二世。
灼、炯、そして作品に登場する
舞子･マイヤ･ストロンスカヤの3人は幼馴染です。
3期でも今回の映画でも
彼らは、いつも一緒でした。
感想
『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界観
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』公式サイトより出典
てっきりアニメ3期の先に行く
ストーリーかと思っていたら、巻き戻しで。
その作りが面白かったです。
この面白さを感じられるのは
これまでの作品
アニメ1、2、3や映画を観てきた人に限られます。
今作の全部が3期に繋がっていく楽しさがありました。
<シビュラシステム>に支配された世界。
人々の精神が管理されている社会で
公にはされていない秘密が
この映画の揺るぎない核になっていました。
シビュラシステムによって
精神状態を数値化することが可能になった近未来の日本。
シビュラは職業適正や
欲求の実現など、様々な方面から
人々の生活を支援することができるシステムです。
これは個人の能力などを測定し
スコア化して管理することを指します。
その中の1つにある項目がサイコパス判定。
精神状態を表す数値が
一定の基準を超えた者を
「潜在犯」とし
犯罪者になりえる危険人物として
社会からの排除や隔離措置がなされていました。
人がシステムの判断により
捕まるか、殺されるかが決められるのです。
それにはなんの罪もない人が
該当し、悲劇を生んだこともありました。
と思えば逆に、どんなに残虐な場面に
遭遇しても精神状態が、ほぼ一定の人物も存在します。
その1人が主人公の
常守 朱（つねもり あかね）なのでした。
天真爛漫な新人刑事であった彼女が
世界の真実を知り
システムと人の間に立って
戦っていくことになります。
またシビュラシステムは
単なるシステムではなく、自我を持った存在です。
社会の平和のためには何が必要か。
常守とシビュラの考えに
共通する部分があると認定され
シビュラの秘密を知りながら
現在は厚生省公安局統括監視官を務める数少ない人物でした。
ですが彼女はシビュラを憎みながらも
その秘密は明かせず。
その中で、かつては部下であった
狡噛慎也（こうがみ しんや）たちと共に
数々の事件をクリアしてきました。
常守と狡噛は、2人ともが
主人公であり、良きパートナー、
そして上司と部下という面白い関係性が。
狡噛の方が歴は長いのに
常守が上司で、狡噛が部下。
けど狡噛に助けらていることは
多々あり、不思議な2人でした。
アニメ1期では、2人を中心に
仲間と力を合わせて戦い
2期ではひとりになった常守に
後輩ができ
3期では主人公が
慎導 灼（しんどう あらた）と
炯（けい）・ミハイル・イグナトフに
変わったりと、シーズンごとに
切り替わって進んできていました。
今作では、2期と3期の間
常守の元に、逃亡した狡噛が
外務省海外調整局行動課特別捜査官として、帰ってくるところから始まります。
そして3期でモヤモヤだった部分が
1つずつ丁寧に解消され
慎導と炯が主人公の3期へと繋がっていました。
なので3期では既に死んでいた人が
生きていたり
公安に入る前の慎導たちの姿があったりと。
これから2人にどんなことが待っているのか。
それをまだ知らない彼らは、幸せの真っ只中にいました。
最高の瞬間から、一気に転落する残酷さ。
慎導、炯、それぞれの
家族にあったことが、映画で明かされていきます。
それが今作の軸になっていました。
多面的な正義と真実
常守は新人の頃から強い正義感の持ち主でした。
ですが彼女の身に起きた数々の事件
そしてシビュラの真実、この世界の秘密。
多くのことを知るほどに
彼女の中の正義は、揺るぎないものに。
それにしても、1人の女性の身には
重すぎるんじゃないかと。
シリーズが進むにつれて
天真爛漫よりも、冷静な印象が強まっていった人です。
誰にも、シビュラでさえも
彼女の信念を変えることはできません。
結果、彼女が1人
薄暗い部屋で過ごしていた
3期へと繋がっていくことになっていました。
映画の中で、正義も真実も多面的だという話しが出てきます。
上から見てみなければ
理解できないことがあるのだと。
たくさんのキャラクターが
登場している作品ですが
キャラの数だけ、正義や真実があるのを感じる言葉でした。
誰かにとっての正義が
他の誰かにとっては
全力で否定したくなるものでも
その人にとっては、それが正義なのです。
誰かの正義に悲しみ
真実がすぐそばにあっても
それを知れない人の姿もありました。
色々なキャラの視点に立ってみると
その数だけ真実と、各々の正義がある作品です。
その中で、常守のもつ正義の心。
やっぱり彼女のは、1人飛び抜けていました。
狡噛も、彼女の正義感の全部は
受け止められていない様子が。
それでもパートナーであり
彼女が自分の正義をもって行動するところを、そばで見ていたのが狡噛でした。
狡噛の逃亡後、2期で
霜月美佳（しもつき みか）が
常守の後輩になった時には
彼女の正義感に辟易している霜月がいました。
だいぶ反発している後輩な印象です。
同じ公安内でも正義の見え方が違い
遠く離れた人から見ると期待のエースであったり。
今作を見終えた後に
過去の作品に戻ると
また違う正義のあり方に
気づける作りになっています。
精神崩壊した人たちと
対峙せねばならない場面や
社会の危機に直面した時
その確固たる正義は1つの道標になります。
けど普段は、それが常守にとって
マイナスに働くことが多々ありました。
初期の頃のような常守はおらず
今の彼女は常に重荷を背負ってそうな。
シビュラのことは極秘事項のため
相談できないことであるものの
どこかひょうひょうとした面をもつ
狡噛が、そばにいて良かったと思いました。
『PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』のあらすじ
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』公式サイトより出典
常守や狡噛のことばかりを
書いてきましたが
今回は慎導 灼の父
慎導 篤志（しんどう あつし）や
甲斐（かい）・ミハイロフらが
重要な位置につき、物語が動いていきます。
3期では既に死亡していた慎導篤志です。
彼がどうして死んでしまったのか
また顔面に大きな火傷を負っている甲斐・ミハイロフ。
彼は〈ピースブレイカー〉という外務省海外調査部現地調査隊の隊員です。
このピースブレイカーのことは
『劇場版サイコパスSS Case3』や
アニメ3期でも出てくる名前に。
なのでまた書きますが
アニメから番外編まで必見です。
そして重要なキーワードに
「ストロンスカヤの文書」というものがあります。
甲斐は、それを探し求めている人物でした。
これはミリシア・ストロンスカヤによる
シミュレーション基礎理論が記された文書。
ミリシアは世界で活躍する研究者です。
彼女によって記された文書を使えば
シビュラシステムが世界に
与える影響を、紛争係数として図ることが可能に。
紛争係数とは、紛争が起こる可能性を示す数値になります。
これが悪用されればどうなるか。
「ストロンスカヤの文書」を狙うピースブレイカー。
彼らを追う常守たちと
この文書を巡る戦いが起きていました。
またミリシアは、3期に主要人物として
登場している舞子・マイヤ・ストロンスカヤの母でもあります。
灼の父に、舞子の母。
そして甲斐・ミハイロフが、どう関係してくるのか。
またシビュラシステムという
巨大監視ネットワークによって統治された日本か
それとも人間のつくった法によって統治される日本であるべきか。
それぞれの掲げる正義が、この大きな争いを生んでいました。
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