『ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ラン』あらすじ感想
『ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ラン』の世界に行ってきました。
作者:荒木 飛呂彦
『週間少年ジャンプ』にて2004年8号〜連載が開始。
2005年5月号からは『ウルトラジャンプ』に移籍され、以降2011年までの全24巻にわたって連載された作品です。
『ジョジョ 第7部 スティール・ボール・ラン』のあらすじ感想
9世紀末のアメリカ。
そこで開催される大規模な乗馬レースに参加することを決めた
下半身不随の元天才騎手ジョニィ・ジョースター(声:水島大宙/梶裕貴)。
莫大な資金の動くこのレースで、ジョニーは不思議な鉄球を操るジャイロ・ツェペリ(声:浜田賢二/三木眞一郎)と出会います。
5000万ドル(約60億円)の優勝賞金をめぐる北米大陸横断レース。
このレースの裏で動いていた陰謀にジョニィたちは巻き込まれていくのでした。
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ジョースター家の血を受け継いでいる人が
第5部を除いてパートごとの主人公になって描かれてきたジョジョシリーズ。
それが7部では一族の新たな血統のジョジョではなく
違うパラレルワールドのジョジョたちを追った物語に移っていきます。
そのわけは6部にありです。
また連載当初は7部であることの表記がなく『スティール・ボール・ラン』のタイトルで始まっていた本作。
パラレルワールドの移行によって、従来のジョジョシリーズではなくなったとのこと。
それでも荒木先生の描く作品は、やっぱりジョジョの色が濃くなっていき
『ウルトラジャンプ』への移籍を機に『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』へと変更された作品なのでした。
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ジョジョではなくなった作品として『スティール・ボール・ラン』の1巻から入っても楽しめます。
けど過去シリーズを彷彿とさせるものを見た時の、あの蘇ってくる嬉しさは
これまでのジョジョを追いかけてきた人だけが感じられるもの。
そういうことも含めて、まだ読んだことのない人は6部までを読んでから7部を見てほしいなと強く思う作品です。
80巻の壁。
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この章のおもしろさはスティール・ボール・ランという
スティーブン・スティール(声: 小形満)主催の総距離約6000kmにも及ぶサバイバルレースと
その裏で勃発していた、ある遺体をめぐる熾烈な争いが並行して進んでいくところにあります。
そこに元有名騎手とはいえ、今は下半身不随のジョニィが馬に乗って参戦するという無謀な挑戦。
そのジョニィに火をつけたのが、レースの開始前に鉢合わせたジャイロでした。
ジャイロの持つ鉄球に指先が少し触れた途端、2年もの間まったく動かなかったジョニィの両脚が反応したのです。
ジョニィは鉄球に希望を感じずにはいられませんでした。
鉄球の秘密をどうしても知りたいジョニィと、ただの肉体の反応と言って取り合おうとしないジャイロ。
そこで鉄球の謎を暴くため、レースに参加するジャイロの後を追ってジョニィはこのレースに飛び込んでいきます。
両脚に大きなハンデを負っているジョニィは
レース参加のために必要な乗馬でさえクリアするのに壁が立ちはだかっていました。
レースの開始前から血を流して、既に全身ボロボロのジョニィ。
同じレースでも、ジョニィに与えられている試練の多さは凄まじかったです。
それはジョニィだけでなく、一緒に行動していくようになるジャイロにもいえることですが。
レースの中で奮闘している参加者と
レースに参加しながら裏で起きている陰謀に巻き込まれて両方で戦うジョニィたち。
スティール・ボール・ランに注目している多くの観衆も知ることのない戦いの中で
レース参加者の命が失われていきます。
本作は僅かな希望にがむしゃらになって食らいついて
何度も死にかけながら、切り開いていくジョニィの成長の物語。
そこにはジャイロの存在が必要不可欠でした。
血と汗と涙にまみれた彼らの旅にあった驚き興奮落胆絶望怒り苦しみ悲しみ。
いろんなものでグチャグチャになりながらも、最後は全部が海に流れていく。
悲しくて、やけに静かで
それでも進み続ける人の姿に、新しい希望を感じてました。
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このレースには特殊能力を使えるスタンド使いが多く紛れています。
あるスタンドにD・D・D・D・CやD4C(ディー・フォー・シー)と呼ばれる存在がいるのですが
その正式名称は「Dirty Deeds Done Dirt Cheap(いともたやすく行われるえげつない行為)」。
すごい名前です。
読み終わった後には、その名前が7部全体を表してるように思う時がありました。
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あらかじめ用意されたコースの約6000km内で繰り広げられるバトル。
限られた、けど広大なエリアで「なにイイイ!?」ってなる想定外のことが
ジョニィたちや、他の登場人物たちにも降りかかっていきます。
ジョジョたちに起きること、ジョジョたちが起こせることの未知数の可能性。
どんな奇想天外なことでも起こり得るジョジョの世界に
6部から久しぶりなのも飛んで、ドップリでした。
『ジョジョ 第7部 スティール・ボール・ラン』のコミックス