のほりひがし。 東の感想ブログ

コミック映画『違国日記』20歳離れた2人の主人公の、心の物語【あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

『違国日記』の世界に行ってきました。

作者:ヤマシタトモコ 全11巻

2017〜2023年にかけて『FEEL YOUNG』で連載されていたコミックです。

雑誌ダ・ヴィンチの「BOOK OF THE YEAR2023」にてコミックランキング1位を獲得。

6月には瀬田なつき監督による実写の映画が公開され、アニメ化も決定しています。

あらすじ

35歳の女性小説家、高代槙生(演:新垣結衣)

両親を事故で亡くした15歳の田汲朝(演:早瀬憩)

20歳離れた2人の突然始まった同居生活。

朝の叔母にあたる槙生の戸惑いや葛藤

朝は現実を受け止めきれずにいながらも

彼女なりに自分を見つけようとしていくのでした。

感想

マンションの一室で一緒に暮らすことになった2人のドラマが描かれていきます。

不器用な槙生。

思春期真っ只中の朝。

槙生は、自分がどう朝に影響を与えてしまうのかを恐れていました。

人付き合いが苦手、嘘も苦手、1人の時間が必要、さらには心の奥底で抱えているものがあるなど…

理由はたくさん。

けど同じ部屋に住んでいる以上、毎日の接触は避けられません。

ひたすらに彼女と向き合う日々が続いていきます。

・・

朝と向き合うほどに嫌でも思い出すもの。

突然に始まったこの生活は

朝にとってだけでなく

朝を引き取った槙生にとっても大きなターニングポイントとなります。

毎日毎日、執筆に追われながらも過去と向き合う。

何かをクリアしたり、試合で優勝したり

そういう分かりやすいイベントが起こるのではなく

ひたすらに周りの人たちや、自分自身と向き合うことがストーリーを進めていきます。

こういう作業は、壁を越えたり

本人にとって何かを達成したとしても

ハッキリとした目に見える形のものを得られるわけじゃありません。

地味な作業です。

けどその地味なことの中に、価値観や生き方

過去現在未来をも変える可能性があるのを感じる作品です。

映画では2人をいつも包んでる静かな空気感が好きでした。

賑やかな時、悲しい時、苛立ったり激怒したとしても

その周りにはいつも作品の空気が寄り添っているような。

いつでも自分の内面に意識を向けられる

そういう包み込まれるものを感じてました。

学校行事、執筆活動、家のこと、人間関係

苦しいことのが多い時間でも

何かを見つけようとしたり

とことん2人が主人公な暮らしに

自分を生きるってこういうことなんだとストンしてます。

・・・

槙生の場合は、物語を作っている人である分

頭は現実と、そっちの構築とで大変なことに。

朝は中学の卒業と高校入学の時期でした。

両親が亡くなって気持ちの整理がつかないまま始まった高校生活。

この忙しない状況でも深く自分を見つめることを続けた2人。

ごまかさず見過ごさず不器用でも誠実に向き合ってく生活に少し憧れます。

・・・

成長の過程にある朝と、すでに大人になりきった槙生の、性格も年齢も大きく異なる2人。

朝は起きた現実を受け止めるまでにも時間が掛かり、傷はできたばかりの状態。

対する槙生は、ずっと昔にできた傷を抱えたまま生きてきました。

相容れない部分があった2人の、心の変化が丁寧に描かれ

日記を見ているような気持ちになる物語でした。

コミック1巻


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