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漫画アニメ『地獄楽』弱さがあって手に入る本当の強さ【あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

 
『地獄楽』の世界に行ってきました。

作者:賀来ゆうじ

2018年1月から2021年1月にかけて『少年ジャンプ+』で連載されていた漫画です。

コミックスは全13巻で完結。

アニメ1期が2023年4月から7月に放送され、2期の放送が2026年1月に決定しています。

 

『地獄楽』のあらすじ


 
江戸時代の日本。

最強の忍、画眉丸(がびまる/声:小林千晃)は抜け忍として囚われていました。

しかし彼は超人的な肉体を持っているため、どんな処刑方をもってしても死に至ることがありません。

そんな身体をしていることから、死を恐れていなかった画眉丸ですが

打ち首執行人の山田浅ェ門 佐切(声:花守ゆみり)との出会いにより

彼は自分の中にある生への執着と、妻への愛に気付かされます。

ですが死罪人である彼の願いは到底叶えられそうになく。

そんな画眉丸の前に、佐切からある書状が提示されます。

書状に書かれていた内容は、極楽浄土の島で不老不死の仙薬を見つけた者を1人、無罪放免にするというもの。

そこで画眉丸は妻に会うため、仙薬を見つけようと極楽浄土の島に向かうのでした。

 

『地獄楽』の感想

山田浅ェ門のモデルとなった山田浅右衛門

 
山田浅ェ門は、実在した山田浅右衛門がモデルになっています。

彼らはもともと将軍や江戸時代の大名が使う刀の斬れ味を、罪人の死体を使って確認する人たちでした。

この役職が御様御用(おためしごよう)というもの。

そして御様御用を代々務めていた武家が山田家です。

死体を斬り慣れていることから、徐々に斬首刑などの死刑執行の依頼がくるようになり

その試し斬りの役は9代に亘って受け継がれていきます。

ですが9代目を襲名した8代目山田吉豊の長男、松次郎は

人斬りである山田浅右衛門の9代目に数えることはできないとされていました。

そして吉豊の弟の山田吉亮(よしふさ)が、幼少期から試し斬りに才覚を発揮し

吉豊に代わる仕事をしていたことから

正式には襲名していないものの9代目山田浅右衛門として

明治15年(1882年)に斬首刑が廃止されるまで死刑執行人を務めました。

 

死罪人と処刑執行人という立場の違いから生まれる葛藤

 
『地獄楽』では山田浅ェ門が試し斬りや、処刑執行を務める一門として登場します。

そして現当主は佐切の父、山田浅ェ門 吉次(きちじ)。

その娘の佐切は、最強と言われる画眉丸に死を感じさせるほどの剣技の持ち主です。

いざという時には画眉丸を処刑する役目を担いながら彼女も画眉丸に同行して、島に向かいます。

そこで多くの死罪人と、監視兼処刑執行の役割をもつ山田浅ェ門の門弟が集結。

死罪人と処刑執行人がペアになって仙薬探しを始めます。

次々と命が失われていくなかで生き残るにはその場限りでも手を組むことが必要に。

山田浅ェ門の一族は試し斬りの剣技に特化していても実戦での能力はまた別物。

逆に罪人が戦い方を知らない場合もあったりしながらどんな人が集まったとしても

島に存在するものを倒すには力を合わせることが必須でした。

・・・

罪人と、彼らを処刑する立場にある人たちが手を組む歪さ。

その中で仙薬探しを共にした人にしか理解できない彼らの関係ができていきます。

罪人と表面だけ協力するのではなく

相手を想い戦おうとすることは山田浅ェ門一族への裏切り行為に。

仲間の怒りを買うことがあったとしても自分の信じるものを貫くことができるのか。

周囲や自身の家族にさえ背くようなことをしながら

罪人との間に育まれたものを守れるのかという

立場から生まれる矛盾を抱えながら

それでも自分の想いに従って動こうとする人たちに惹かれてました。

 

『地獄楽』に描かれている本当の強さ

 
本当の強さとはなんなのか。

本土から離れた島で戦い続けながらひたすら生と死や、強さと弱さ、善と悪など

相反するものの中で揺れ動く登場人物たちのストーリーが待っています。

息つく間もなく、次から次へと降りかかる厄災。

それらが13巻に収められていました。

・・・

戦い続けることで見えてくるもの。

島に踏み入れてみれば極楽浄土からは程遠い所で地獄を知り

それぞれがもがきながら進んでいきます。

登場人物ごとに掲げる強さや、握りしめた弱さがあり

生きるか死ぬかしかない島では、情の深い人ほど自分と向き合わざるを得なくなっていきます。

そうして強くなるために求められる変化。

最初から画眉丸みたいに最強と言われている人もいるけれど、そんな彼にも弱さがありました。

もう十分強いんじゃっていう彼でさえ、1人では太刀打ちできないようなものが潜んでいる島です。

生き残るためには変化し、本当の強さを手に入れることが不可欠でした。

・・・

物語を通して示される強さが心に響く作品です。

強さは完璧で、戦闘においても非の打ち所がないようなことを指したり

他にも弱点がなく、一切の迷いから解放された超人的な能力をもつ人こそが最強なのかというような

そういう考えが斬り捨てられていくのが『地獄楽』でした。

登場するキャラクターには超人的な能力を得た人もいますが

根底の部分で大切なのは、自分の弱さをどこまで受け入れられているかということ。

それが人ごとの強さを分けるものとなって

強固になるほど、より強くなっていけることが示されていました。

・・・

望む強さを手に入れるためなら、反対の弱さはなるだけ排除したくなります。

けど対極にあるもののどちらかだけを得ようとするのではなく、間の真ん中をいくという

説明するのは簡単だけど、その難しさ。

普通を手にするために命を削り、人によっては人間であることも捨ててまでして

戦い続けた人たち。

彼らのように生きるか死ぬかの世界を生きてはいないですが

彼らの求めた普通の暮らしがあるということ。

その中で自分も、強さの種になるものを見つめたくなるお話でした。

 

コミックス一覧

 

配信情報

 
「地獄楽」公式サイト 配信情報ページで確認できます。