コミック『HEAT-灼熱-』5・6巻 仲間の裏切りと、人の繋がりで変わっていく人たち【あらすじ感想】
こんにちはの東です。
今回は『HEAT-灼熱-』5、6巻のことを書いていきます。
原作に武論尊(ぶろんそん)さん。
作画は池上 遼一(いけがみ りょういち)さんです。
1998年から2004年まで
連載されていた作品で全17巻に。
海崎という悪役に
狙いを定めるまでの間に
多くのトラブルが勃発。
彼らに静かな夜はあるのかと
思うくらいに、戦い好きな人が増えていました。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。
あらすじ
舞台は新宿歌舞伎町。
そこの闇金融に突然やってきた
主人公の唐沢辰巳がいました。
そんな彼は
日本最大の暴力団である
「関西山王会」や警察を相手にしても
怯むことはありません。
極道の世界では素人の唐沢が
街で名を馳せていく様子が描かれています。
登場人物
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
『新宿租界』という
ホストクラブのオーナー。
大きな絵を描けば
それだけの困難がやってきます。
周りが賑やかすぎて
彼のような人が中心にいるのが
ピッタシに感じました。
村雨(むらさめ)
日本最大の暴力団
「関西山王会」の関東総本部長。
ずっと好きだった女性とも
心を通わせ
これからだっていう時に
大ピンチに陥った村雨でした。
敵は海崎じゃありません。
それぞれに戦うフィールドがあり
たまに唐沢とも交差するという。
命懸けで生きている人でした。
尾形 市造(おがた いちぞう)
山王会の4代目会長。
他に選択肢はなかったのかと。
そう思わずにはいられない展開でした。
中谷 里見(なかたに さとみ)
唐沢の恋人。
刑務所から出所して
いきなり、このバトルに巻き込まれた美里。
どんな人に遭遇しても
動じないところに、彼女の強さを感じています。
伊丹(いたみ)
現役東大生であり、闇金融の社長。
今回は伊丹の分
彼の先輩である今泉が
登場してきていました。
栗木(くりき)
東新宿署の署長。
彼がいるおかげで
いざという時は、警察が身を匿う場所に。
彼や今泉がいなかったら
藤巻が危なかったと思う場面がありました。
感想
5巻
仲間の裏切り
歌舞伎町の再開発に向けて
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)を
中心に、みんなが団結し始めた中
悲しい出来事が起こります。
仲間の裏切りでした。
歌舞伎町を我が物にと。
唐沢の周りには
力のある人が多く集まってきていました。
美味しい話が転がってくれば
コロッとならないほうが難しいです。
意志の強さが試され
それに負けてしまった人がいました。
5巻では
ブログには登場してこなかった
ハン・イギョンという人物が、大暴れします。
唐沢への”義”はありませんでした。
そして自分より弱いと思っていた人に
実は試されていたっていう
驚きの展開が待っています。
ハンは韓国の”組織”のボスです。
まだ唐沢と、そこまで深い関わりは
ありませんでした。
しかも初対面は
唐沢が裏切り者みたいな雰囲気に。
自分の命欲しさに
歌舞伎町を元山王会の
藤巻(ふじまき)に
売ったんだと、言われてしまった唐沢。
そう話すのは
ハンと唐沢が対面した時にいた羅(ロー)でした。
彼はハンとも知り合いである
広東(カントン)組織のボスです。
羅は夫婦で捕まっていたところを
唐沢をきっかけに、解放された人物で。
そんな羅でさえ
唐沢のことが、半信半疑な様子。
ならば羅側にいるハンが
もっと信用していないのは、明らかでした。
多くの人が集まったことで、裏切りが。
ただ唐沢は、羅のことが
好きだったので
裏で企んでいると言われた時には
顔面を殴り飛ばしていましたが。笑
なので羅が唐沢を悪く言うのは
見てて悲しかったです。
けど唐沢にも、描いている絵が。
それは藤巻組を先導にして
歌舞伎町だけに留まらず
日本中へと繰り出すことなのでした。
大きな絵を描いているから
多少のいざこざがあっても
びくともしない唐沢なのでした。
これがハンにとっての
唐沢との初対面の出来事です。
その後も羅とハンは、行動を共に。
そこには林(リン)という
台湾組織のボスの姿もありました。
彼ら3人は唐沢の仲間である
金(キム)たちとは違い
少し距離のある人たちでした。
そんな中で、唐沢から
3億を渡された3人は
これで自分たちを
飼おうとしているんだと勘ぐります。
けど唐沢は3人がこれを
どう使うのかを、見たがっていたのだと。
それが、歌舞伎町再建設の軍資金でした。
彼は、歌舞伎町にいる
日本人以外の人にも
働く場所ができるようにと。
その思いもあって
この3億を彼らに委ねたのです。
そんな中での、ハンの裏切り。
ハンに命を狙われた羅と林は、どう思ったのか。
2人がハンのことを
どこまで思っていたのかは、わかりません。笑
けど裏切った場合の
自分の姿が、ハンに重なったのではと思いました。
そして裏で糸を引いていた
山王会の関東総本部長
村雨(むらさめ)による
うまい話に、まんまと
乗っかってしまったハン。
大金と歌舞伎町を我が物にと
ひとり暴走してしまいます。
けどその野望が、人の命を奪い
信頼や人としての尊厳
誇りまでもを失くしていく結末が待っていました。
更には恥とまで言われ
その行いは、死に値するものと。
それなのに、最後には
「ノンビリ行こうや、ハン」と。
肩に、ポンと手を置いて
声をかけられる唐沢に
驚いていました。
彼以外に、こんなふうに
声をかけられる人は、まずいません。
そしてそれを、こっそり見ていた
警察署長の栗木(くりき)がなんとも。笑
副署長である今泉(いまいずみ)を連れて、楽しそうな表情をしてました。
これ以上の裏切りが
ないといいなと思うけど
17巻もあれば、きっとあるだろうと。笑
その度に、また強くなる
唐沢が浮かんでいました。
刑務所にいた唐沢の恋人
ハンによる裏切りの話と並行して
少しずつ描かれていたのが、唐沢の恋人の話。
中谷 里見(なかたに さとみ)は
刑務所を出所するところでした。
里見が捕まったのは
海崎 元一郎(かいざき げんいちろう)の
金玉を銃で撃ったため。
一大事です。
けど撃たれた箇所が
そこだったからなのか
里見の動機が世間にバレたら、まずかったのか。
このことは一切公表されていませんでした。
海崎は莫大な資金を持っており
表でも、裏の社会でも力のある人です。
あの藤巻も、彼を先生と呼ぶほどでした。
藤巻にとっては恩人。
彼のおかげで、今もお天道様を拝めるんだと。
けど唐沢にとっては
里見の妹であった12歳の少女を
蹂躙し、自殺に追い込んだ人物でした。
里見の動機は、資料からも抹消済みです。
それでも栗木と、今泉がいたことで
唐沢から直接2人へ話がいきます。
唐沢が嘘をつくはずがないと
里見と海崎の関係や
彼女の動機を認めたのでした。
けど相手は海崎。
山王会の4代目
尾形 市造(おがた いちぞう)も
彼の側につくほどの存在なのでした。
里見の件が絡み
尾形から村雨に、跡目の話がされます。
その条件には、里見の名前が。
彼女を殺すことが
村雨が5代目になるための条件だと言うのです。
尾形が海崎と
繋がっているとなると
今の山王会は、唐沢にとって完全に敵でした。
村雨は、唐沢と里見の関係を知り
その後、どうするのか。
登場人物が増えてきた分
話もいい具合に入り乱れてきていました。
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6巻
欲望か信念か。
今の社会を見ていると
綺麗事と感じる人もいると思います。
けど熱い人たちが集まると
それだけ熱いドラマが生まれるんだって
ポポポポしてました。
6巻は海崎という今の敵に
的を定めて、唐沢が攻撃を仕掛けるターンです。
その途中で、4代目の尾形と
妻の尾形 佳乃(おがた よしの)
唐沢、村雨との話も動いていました。
1巻分の密度が、絵的にも
ストーリーでも濃いいのです。
それが、この作品でした。
全部がバッキバキです。
1つ前の5巻は
海崎の土下座で終わっていました。
彼は本当に悪役がピッタリな人です。
言うことの全部が
ワルになるための勉強みたいな。
「この国は、”馬鹿”を転がすには
土下座なんだよ…」と。
土下座を信じるのやめよう。
そう話す海崎が
土下座をしたのは
彼を先生と呼ぶ藤巻でした。
唐沢のそばにいて
海崎を慕う藤巻は
板挟みで苦しむことになります。
そんな彼は、登場したての頃じゃ
想像もしなかった行動に。
歌舞伎町での時間は
唐沢の描くとおり
藤巻を頂点に立つ男へと
変えてきていました。
そのことに気づく人が
いないはずがなく。
村雨と、海崎のお気に入りである
元山王会の
石倉 義信(いしくら よしのぶ)には予感がしていました。
あの尾形でさえ
「オレが死んだら、
本物の涙ァ流すのは
おまえだけかもしれん」と。
そう言われただけで
涙してしまう藤巻です。
まさかこんな好きなキャラになるとはっていう。
最初が最悪だった分
反動が1番な人でした。笑
彼を筆頭に、歌舞伎町の
仲間たちがどうなっていくのか。
それは村雨たちにとっても
気にしないわけにはいかない問題になっていました。
1人ひとりがそれぞれ違う課題を
クリアしていく感じが好きです。
他にも、6巻は海崎という
めちゃくちゃ悪な敵がいるところ。
海崎が悪役すぎて
更に別の悪を呼んだり
村雨が何発も銃弾を浴びて
意識不明の重体に。
そして尾形がいよいよ。。。と
どんどん展開していくストーリーがあります。
自分は1回読んだだけじゃ
内容が飲み込めなくて。笑
そのくらいギッシリでした。
里見によって、もやが晴れた村雨
刑務所から出所して
逃げていた里見も
報奨金200万円の効果で
あっさり村雨組に捕まってしまいます。
そして彼が意識不明になる前に
里見と話しをしていたところ。
そういう人の繋がりが好きです。
里見との会話が
彼に気づきを与えていました。
どうして4代目から佳乃を
奪えなかったのかと。
ずっと村雨が
引っかかっていたことです。
ですが彼の質問に
里見はサラリと答えを。
それがきっかけで
彼のもやが晴れたのがわかりました。
4代目の権力に負けたことを
自覚した村雨。
そして自分の実力と行動が
尾形を凌いで、佳乃が
村雨を認めた時に、帯を解いてくれと。
そう話す彼に、涙する佳乃。
このシーンが好きです。
女性はたくさんいるし
山王会4代目の妻だし。
こういう立場の女性に
ここまで言える人は
実際なかなかいないと。
このマンガには、いますが。笑
2人の過去を知って
長い時間を感じての
この関係の変化は嬉しいものでした。
けど4代目である尾形も人です。
最後の最後には
自分の欲を選び、悲しい連鎖が。
人の気持ち一つで
何が起こるか分からない、この感じ。
そんな中で、ひとり立って
乱れかけた山王会の上を束ねてみせた佳乃。
あの海崎にも
従うことはありませんでした。
彼女いわく極道の基本は
“親””子””兄弟””情”と”絆”なんだそう。
その輪があれば倒れることはないと
彼女は信じていました。
そこに”金”がないのです。
そして尾形、海崎、村雨のいない山王会。
彼らの力なしでどこまでいけるのか。
新しい風を感じてます。
なんだか里見と
佳乃は、芯の部分が似て見える東です。
この作品は女性も
カッコよくて、クハァしてました。