コミック『HEAT-灼熱-』3・4巻 鶴によって転換期を迎えた歌舞伎町【あらすじ感想】
こんにちはの東です。
今回は『HEAT-灼熱-』3、4巻のことを書いていきます。
原作に武論尊(ぶろんそん)さん。
作画は池上 遼一(いけがみ りょういち)さんです。
1998年から2004年まで
連載されていた作品で全17巻に。
歌舞伎町に新しい風が吹いていました。
鶴に翻弄される極道。
そして山王会を離れる人が出てきます。
これも全部、唐沢がきっかけで
動き出したことでした。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。
あらすじ
舞台は新宿歌舞伎町。
そこの闇金融に突然やってきた
主人公の唐沢辰巳がいました。
そんな彼は
日本最大の暴力団である
「関西山王会」や警察を相手にしても
怯むことはありません。
極道の世界では素人の唐沢が
街で名を馳せていく様子が描かれています。
登場人物
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
『新宿租界』という
ホストクラブのオーナー。
彼の頭の中には
歌舞伎町の次の姿が描かれていました。
街の再開発です。
これを周りがどう思うのか
今後の展開が気になります。
伊丹(いたみ)
現役東大生であり、闇金融の社長。
彼が単独で起こした
今回の件の前と後では、様子に変化が。
唐沢のことを慕いながらも
彼の知らないところで
自発的にサポートしようとする伊丹でした。
金(キム)
『新宿租界』の支配人であり
唐沢のそばに、いつもいる人物。
彼とタンは、唐沢に
驚かせられっぱなしの日々です。
2人のリアクションを見るのも
好きになってきています。
栗木(くりき)
東新宿署の署長。
目のキラキラや
内側からのウズウズは
立場関係なく伝染していくんだと。
署長が極道や闇金融とも
ごく普通に手を組んでいるところ。笑
村雨(むらさめ)
日本最大の暴力団
「関西山王会」の関東総本部長。
唐沢も敵にしたくなさそうにしていた村雨です。
彼は今、一番勢いづいている人でした。
奇麗でいることをやめ
昔の自分を取り戻した彼は
4代目がいながらも、ラスボス感ムンムンです。
感想
3巻
登場人物の目が
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)の影響で
キラキラしていく様子。
山王のてっぺんを目指す戦いが
心底楽しくて仕方なさそうでした。
山王会との揉め事の中で
唐沢と伊丹(いたみ)の話が続きます。
山王会NO.2である
石倉 義信(いしくら よしのぶ)の
30億を奪った唐沢。
周りから見れば
やってしまったなと
命を狙われるのは当然の流れでした。
そこで1人動いたのが伊丹です。
彼は独断で石倉と交渉をしに。
唐沢が奪った分は
自分が貰う代わりに
山王会NO.3である
藤巻(ふじまき)の命を奪ると言うのです。
けど計画は失敗。
戦いのプロでない彼に
この仕事は向いていませんでした。
プロを雇えばよかったものの
そうしなかったのは、彼の意地が。
その後、伊丹は廃棄物の
最終処分場でボッコボコにされてしまいます。
あの伊丹がっていう。
血を流すようなこととは
距離を置いてそうに見える
彼だったので、変化を感じていました。
そうさせた唐沢の影響力。
彼はというと、伊丹が失敗して
身柄を押さえられたと聞いても、少し笑みが。
自分で動いた伊丹のことが
嬉しかったように見えました。
もちろん唐沢は彼を助けに行きます。
そして石倉も、敵というには
理性的というか。
彼にも大切な人たちがいて
話し合える人でした。
ドンパチやり合うだけじゃなくて
どのキャラも頭が良くて。
いや、藤巻は作戦を練る時に
足し算しかできないみたいだけど。笑
他にも、石倉は
先を見すぎてしまったり
村雨は奇麗になりすぎたのだそう。
それぞれの人間性を知るのが
楽しいです。
唐沢は石倉、その後には藤巻と
対面することになります。
そして唐沢に助けられた
伊丹はというと
まさかの栗木と手を組む流れが。
この組み合わせも
唐沢がいたことで生まれたものでした。
彼の知らないところで
2人は歌舞伎町の”組織”すべてを、彼の手にと。
いずれは山王もと考えていました。
それに突き動かされたのか
山王会関東総本部長の
村雨(むらさめ)にも
熱が伝染していくことになります。
彼はなんと1人で、4代目の所へ。
宣戦布告です。
伊丹、栗木、村雨、石倉、藤巻の
全員が、登場したての頃よりも
生を感じてるというか。
目に光を感じる描写になっていました。
この歌舞伎町を舞台に
彼らがどう自分の力を強めていくのか。
そして藤巻に
山王会のてっぺんではなく
新たに藤巻組を起こすよう提案した唐沢。
彼の言葉に、藤巻はかなり驚いた様子でした。
自分もです。
それを聞いた藤巻が
山王会の一本道だったところから
唐沢の提案に乗るのかも、次の見どころです。
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4巻
野心を取り戻した村雨は、ガキんちょのように。
最初、藤巻を消そうとしていた
唐沢が、彼に味方するという
面白い展開を迎えます。
こうして見ていると
最初の藤巻とは、別人でした。
村雨と藤巻の、これまで
出てきていなかった面が描かれてて
すごく面白かったです。
子供とパパに、唐沢はなんだろう。
いつも静かで、けど自分の過去を
藤巻に話すようになっていました。
それだけ信頼できる人なんだと。
藤巻は、みんなのパパみたいでした。
石倉と藤巻は、村雨の策によって
山王会を破門に。
昔の自分を思い出した村雨を
変えたのは、唐沢でした。
「極道が鶴に負けるワケにゃ
いかんでしょう……」と
標準はガッチリ定まっている村雨。
そして惚れていた女性が
やっと自分のそばにという。
けど彼女は、4代目の妻のため
村雨は「いつまでも待ちますよ」と。
彼らの過去の話と
2人の関係を知っている4代目の気持ち。
良いところで
落ち着くといいなって。
けど今まで村雨と一緒だった
女性はどうなるんだろうと、複雑な気持ちの東でした。
この巻は、藤巻の魅力がぎっしりです。
まさか彼がジャージ姿で
唐沢と並ぶ日がくるなんて。
そして、部下を家族のように
思っている様子にきてました。
歌舞伎町で、藤巻組として
自分の山を築く提案をされた藤巻。
それでも35年もの間
この道一本できた彼が
そう簡単に心を変えることはできません。
そこで藤巻は自分の子供のように
育ててきた勝男(かつお)を
唐沢に伝言係として預けます。
けどその最中
勝男の耳に、藤巻が
破門になった知らせが。
これがきっかけで
唐沢と藤巻たちの距離が
縮まっていくことになります。
子供の頃、親に捨てられたところを
藤巻に助けられ
育ててもらった勝男です。
彼は、1人で新幹線に乗り
向かった先は、大阪にいる村雨のところでした。
それを唐沢たちが
追って、勝男を止めてなかったら
どうなっていたことか。
唐沢のおかげで
藤巻と再会できた勝男は
血が出るほどの頭突きと
暑苦しいくらいのハグをされていました。
こういう彼だから、多くの組員が
ついてきたんだと。
そのくらい藤巻は本気です。
その後はというと
破門を受け入れ、港で涙を流す藤巻。
「父チャン、頑張らにゃなァ〜!」と言う、彼の言葉が好きでした。
そして、それを見ていた
唐沢のセリフにエッ!?と
驚かせられっぱなしの東です。
「いずれ、このオッサンに山王奪らせる!」と。
自分じゃないの!ってなってました。
いつもそばについている金(キム)とタン。
2人とも心臓よくもつなって。
彼のそばにいるためには
メンタルも鍛えてないと、最後までもたなそうです。
そんな唐沢が、藤巻に
自分の親のことを話す回があります。
唐沢がどうして
今みたいな人になったのかが
少し見えていました。
幼い頃に、父が自殺した様子を
テレビの生中継で見ていた唐沢。
けど、それは父の信念によるものでした。
それでも、子どもには理解できない
ものだったと思います。
その後、亡き父から届いた
1通の手紙には
「人間は”信念”に生きる、
だが”義”の欠き信念は”無”に等しい」と。
彼は自分の命をもって
この言葉を証明していました。
そんな唐沢が、この言葉を
忘れられるはずがありません。
ズッシリきたメッセージです。
その時代によって
言葉の捉え方も変わるけど
根っこの部分では
忘れちゃいけないと感じる言葉でした。