コミック『HEAT-灼熱-』13・14巻 騒動の終幕。剣を咥えた鶴が再び【あらすじ感想】
こんにちはの東です。
今回は『HEAT-灼熱-』13、14巻のことを書いていきます。
原作に武論尊(ぶろんそん)さん。
作画は池上 遼一(いけがみ りょういち)さんです。
1998年から2004年まで
連載されていた作品で全17巻に。
海崎から始まったこの騒動に
やっと本当の決着が。
ですがそれはハッピーエンドではなく
唐沢は自ら警察署に出頭するのでした。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。
あらすじ
舞台は新宿歌舞伎町。
そこの闇金融に突然やってきた
主人公の唐沢辰巳がいました。
そんな彼は
日本最大の暴力団である
「関西山王会」や警察を相手にしても
怯むことはありません。
極道の世界では素人の唐沢が
街で名を馳せていく様子が描かれています。
登場人物
唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
『新宿租界』という
ホストクラブの次には
同じ名前の、組織を立ち上げた唐沢。
ここで一度、唐沢や
仲間たち、歌舞伎町の全体が
リセットされることになります。
新章突入の流れが好きでした。
藤巻(ふじまき)
「関西山王会」の元NO.3。
彼はやっぱり重要な位置に
いるキャラでした。
数年のブランクや病を患いながら
村雨にとっても、頼みの綱となっていました。
城島 陸(じょうじま たかし)
東京都副都知事であり
唐沢の仲間である
東新宿署副署長の今泉とも面識のある人。
そして敵側にいる
八木沢の元恋人です。
更に彼にとって
この騒動の中心にいる有動は
私塾の生徒でした。
唐沢もですが、彼の心の内も
大変なことになっていたのではと。
その後の行方が、気になっています。
村雨(むらさめ)
「関西山王会」の5代目となった村雨。
彼が5代目になったのと
歌舞伎町の乗っ取られた
タイミングが重なってしまったこと。
どちらかがズレていれば
違う結末がって、思ってしまいます。
伊丹(いたみ)
元闇金融の社長。
今は何がどうしたのか。
全身に傷を作り
本当に伊丹?って
聞きたくなるくらいに豹変していました。
林(リン)
以前は唐沢とも手を組んでいた
台湾組織のボス。
常に強い方につく林です。
扱いはひどいものでしたが
今は伊丹のところに。
口元目掛けて、伊丹にビンで
殴られていたのが、痛々しすぎてました。
感想
13巻
城島の贖罪
この話に、やっと本当の決着がつきます。
けど敵のことを知り
歩み寄ろうとした時には、既に手遅れでした。
仲間の命が失われ
負傷者も出た、この騒動。
その責任を唐沢 辰巳
(からさわ たつみ)は
一人で負うことを選ぶのでした。
唐沢のそばで、ずっと一緒に
戦ってきた金(キム)。
彼は死に際に、自分のことではなく
有動 界(うどう かい)にも
笑える生き方を教えてほしいと、残していました。
キムの最後の願いです。
叶えないわけにはいきません。
けど有動も
八木沢 涼 (やぎさわ りょう)も
もう彼らの手の届かないところまで
行ってしまっていたのです。
キムの死後、唐沢は
すぐさま有動の元へ向かいます。
けど唐沢よりも先に城島 陸
(じょうじま たかし)が
有動と接触していました。
「あんたはオレに
何を求めて拾ったんだ…」と。
拾われても何もいい事はなかったと
話す有動に、城島は
八木沢の姿を重ねていました。
「おまえと同じ眼をした
人間(ヤツ)がいてな」と言う
城島は、八木沢に
間違ったことを教えてしまったと
悔いていたのです。
城島は、今でも
八木沢を想っている様子ですが
それは彼女から見れば、憐れみの愛情。
だから八木沢は
彼の助けを跳ね除けてきたのでした。
八木沢にできなかったことを
次こそはの思いで、有動に向けた城島。
彼はそれを「贖罪かもしれん」と話します。
城島が、自分よりも先に
唐沢が2人と出会っていたらと
話す様子に、彼の後悔が見えました。
城島は、困惑している有動に
八木沢との過去を話し始めます。
前に彼女が
「界は、私そのものなのよ…」と
八木沢の側についた林(リン)に
言っていたワケがわかる
耐え難い過去でした。
城島、八木沢、有動と
3人の話が中心になって起きていた、この騒動。
歌舞伎町に唐沢がきたことが
まさかこんなところまで
波紋を広げてしまうとはで。
彼の知らないところで
話が重なっていったのが、大騒動に。
やっと理解した頃には
悲しい結末が、目前に迫っていました。
ラスベガスと外地の混ざった新しい歌舞伎町
騒動が収まり
これまでの章は一区切りでした。
ですが失ったものは多く
残された人たちは
これからも、それを抱えていくことになります。
そしてこれは
元の生活に戻る入口ではなく
悪化していく前段階にすぎないものでした。
唐沢は、この最中の5年を
刑務所で過ごすことになります。
その間に、歌舞伎町は
日本のラスベガスのような
大変身を遂げることに。
けどそこには
極端な2つの世界が生まれていました。
1歩、その賑やかな
エリアから抜ければ、他は貧困街です。
これが新しい歌舞伎町の姿でした。
そして変わったのは
街だけではありません。
人も随分と変わっていました。
新しい歌舞伎町を牛耳り
独占しているのは、なんと
仲間だったはずの伊丹(いたみ)。
5年の間に何が起こったのか
唐沢だけが知りません。
他にも、みんなの
親分のような存在だった
藤巻(ふじまき)が
賞味期限ギリギリのご飯を食べていたり。
かつての仲間たちが
ボロボロの家屋で、なんとか暮らしている様子。
歌舞伎町の中心にいたはずの
人たちが、隅に追いやられている様子は
見ていて辛いものでした。
変わってしまった唐沢
歌舞伎町もですが
唐沢自身もだいぶ変わっていました。
みんな彼の帰りを
待ち侘びていたのですが
今の唐沢を待っていたわけではありません。
極道を忘れた彼には藤巻の想いも
届かず、両目を失ってまでも
唐沢に全てを託していた
仲間達の声も、虚しいものでした。
「貧しくても惨めでも、
生きていたらそれでいい…」と。
今でも仲間たちの死を
引きずっている彼に
その場にいた全員が驚愕。
5年です。
5年掛かっても、唐沢は
仲間の死を引きずり
自分を肯定できないでいました。
それほどにキムたちの死は
唐沢の中の鶴を
薄れさせてしまったのです。
そんな唐沢の様子に
腹を括ったように起き上がったのが
最年長のハン先生でした。
「内側で笑う”人間”と
外側に弾き出された”虫”の街じゃ…」と。
そう漏らすハン先生は
前に唐沢を裏切り
歌舞伎町を独占しようとしたハンの父親です。
唐沢が止めに入ったおかげで
息子に向けた銃を撃たずに
済んだ過去がありました。
そんな彼が唐沢の前で
全身を燃やしながら
叫ぶ場面があります。
賑やかな歌舞伎町の
ど真ん中で、ガソリンを浴び
自分で体に火をつけたのでした。
「これを”犬死”と取るか
“尊厳”と取るか!!」
そこまでして、彼の目を覚まそうと。
けど先生の死をもってしても
唐沢の心は、すぐには
動かなくなっていました。
じゃあ先生は
なんのために死んだのか。
このままでは、本当に犬死でした。
彼の死と同時に
殺気まみれの伊丹が登場します。
顔に大きな傷をつけた彼に
いったい何があったのか。
すごい変わりようでした。
そして彼の下には山王会が。
その5代目は村雨(むらさめ)です。
伊丹と組むのが”恥”だと
言いながらも、仲間のために
そうせざるを得ない状況のよう。
“経済”と”事業”に強い伊丹です。
“金”と”富”が歌舞伎町の
土台となっている今
極道よりも、伊丹の頭脳の方が
何倍も強いのが現実でした。
村雨でも対抗できない伊丹に
唐沢はどうするのか。
唐沢の前で突然起きた
ハン先生の死から始まり
両目を失いながらも
伊丹に抵抗して唐沢を待っていた仲間の園井(そのい)。
そして、有動と同じ塾生で
今は歌舞伎町で暮らしている
亜希(あき)の言葉を聞いて
再び奮起する唐沢がいました。
すぐさま、背中の鶴を彫り直しに。
ですが次は、ただ舞うだけではなく
くちばしに剣のくわえられている絵が。
牙には牙をと。
その後「オレはやっぱり、
あなたが好きだ」と
村雨に、以前のように話す唐沢。
ですが続いた言葉は
「あなたとなら
殺し合えるのかもしれない…」と。
牙を剥いた唐沢が、そこにいました。
まさかこんな歌舞伎町を
見ることになるとはって。
街だけじゃなく、人も一緒に
大きく変わっていてビックリでした。
そして、唐沢が不在の間に
城島も行方をくらましてしまったんだそう。
彼も唐沢と同じような
気持ちで過ごしていたのか。
唐沢が出てきた噂が広がって
再会できたりしないかなと思います。
14巻
新宿租界VS山王会
好きな人たちが
どんどんいなくなってく〜。
誰が死んじゃうとか
一番書いちゃいけないネタバレですが。
けど書いちゃってるので
本当に知りたくない人は見ないでねと。
新章突入してからも
まさか、そんなで急展開を迎えます。
そして歌舞伎町を
乗っ取った伊丹でしたが
彼の後ろには、とてつもなく大きな黒幕がいたのでした。
唐沢を中心にして
また昔の仲間たちが
一致団結していきます。
前は『新宿租界』という
ホストクラブのオーナーをしていた
唐沢ですが、今回は同じ名前で
極道の組織を立ち上げることに。
新宿租界VS山王会での
戦いの始まりでした。
ですがそれは徐々に
唐沢VS村雨、1対1の対決に変わっていきます。
唐沢は、また目の前で
仲間を殺され
村雨に試されることに。
そこで唐沢が
足を止めていたら
また悲劇を呼ぶことは
なかったのかもしれません。
唐沢と村雨、似ている2人の違うところ
唐沢は、村雨とも
似た部分のある人でした。
城島とはまた違う部分です。
1対1のサシで殴り合っていた時
村雨を殴ると
自分を殴っている気がすると
漏らしていた唐沢。
村雨も、最初は
唐沢と同じように
「嫌いな奴ァ殴る!」と
唐沢と同じ生き方をしていた人なのでした。
2人の違いは
背負っているものの重さでした。
山王という組織を背負っているか。
それとも、勝つことだけを
考えればいいかというものです。
唐沢は組織を、村雨にとっての
足枷だと言っていました。
けど村雨は、その足枷も
受け入れる必要があったのです。
牙を隠して大人になれば、出世すると。
本当の村雨は、それが
自分に合っていないことを
分かっていたはずです。
けどそれを
投げ出さずにきたのは
尾形 佳乃(おがた よしの)がいたからでした。
そんな2人が
思うままに叫び
殴り合っている様子を
涙を流しながら見ていた井崎(いざき)。
彼は最初から、ずっと
村雨のそばにいた仲間でした。
最後には、唐沢も涙を浮かべて
村雨は立てなくなるほどボロボロに。
それでも、唐沢の背中を見て
嬉しそうにしている彼がいました。
「……死なせないで下さいよ…」と
唐沢は井崎と約束をします。
けど、デマの情報を信じ
誤った判断をした村雨には、悲しい結末が。
伊丹のバックについている
黒幕は、今までの比にならないほどの
手強い人物でした。