のほりひがし。 東の感想ブログ

コミック『HEAT-灼熱-』11・12巻 次々と減っていく唐沢の仲間たち【あらすじ感想】

マンガ・アニメ感想

こんにちはの東です。
今回は『HEAT-灼熱-』11、12巻のことを書いていきます。

原作に武論尊(ぶろんそん)さん。
作画は池上 遼一(いけがみ りょういち)さんです。
1998年から2004年まで
連載されていた作品で全17巻に。

今回の出来事で
仲間の命がまた失われてしまいます。
それも1人ではなく。
更に唐沢の元を離れる人まで
出てきていました。

ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。

あらすじ

舞台は新宿歌舞伎町。
そこの闇金融に突然やってきた
主人公の唐沢辰巳がいました。

そんな彼は
日本最大の暴力団である
「関西山王会」や警察を相手にしても
怯むことはありません。

極道の世界では素人の唐沢が
街で名を馳せていく様子が描かれています。

 

登場人物

唐沢 辰巳(からさわ たつみ)
『新宿租界』という
ホストクラブのオーナー。
まさか唐沢たちが
子供や女性相手に
ここまでやられるとはっていう。
これまで戦ってきた
男たちとはワケが違いました。

藤巻(ふじまき)
「関西山王会」の元NO.3。
彼のカンの良さ。
極道が長生きするには
運とカンなのだそう。
頭の中が空っぽでも
ここまで来れたと言う
彼のカンは、まさにビンゴでした。

栗木(くりき)
東新宿警察署の署長。
彼の部下だった今泉が亡くなり
栗木も署長ではなくなり。
そして重傷を負うという
負の連鎖が、彼を襲います。
なんとか今泉の分も
生き抜いてほしいと思いました。

城島 陸(じょうじま たかし)
東京都副都知事であり
唐沢の仲間である
東新宿署副署長の今泉とも面識のある人。
そして敵側にいる
八木沢の元恋人です。
彼の立場は、一番キツそうでした。

 

感想

11巻

権力を失った栗木

今まで散々城島 陸
(じょうじま たかし)
を  
この話のラスボス扱いしてきた東です。
11巻では、その城島や
唐沢 辰巳
(からさわ たつみ)
たちが
徐々にまとまってくるようになります。

城島も歌舞伎町を燃やし
乗っ取ろうと企んではいました。
けど思わぬ所に、もっと厄介な存在が。

似ている部分のある
唐沢と城島の
自然と手を組む様子が描かれていました。
 

だいぶ前のことですが
唐沢が東新宿署署長の
栗木(くりき)に渡した2億円。
その隠し場所がバレて
彼に逮捕状が出されていました。

この時に現れたのが
八木沢 涼(やぎさわ りょう)という女性です。
副署長であった今泉(いまいずみ)
死んだことで、空いた席に
彼女が配属されたのでした。
 

けどこれは彼女と
城島が手を組んでのこと。
栗木を自分から退職させ
公的権力から外すことが、城島たちの狙いでした。

栗木に選択の余地はありません。
彼が、この要求を飲み
1億を八木沢に渡すことで、交渉は成立。
そして、そのまま栗木は妻に
離婚届を渡していました。

 
権力を失った栗木ですが
その後も、彼に危険が襲いかかります。
唐沢を含む8人に
懸賞金が賭けられていたのでした。
栗木は、なんと1億です。

彼はその1人目の被害者に。
深刻な状態でした。
 

栗木の脇腹にナイフを刺したのは
歌舞伎町にいる若い外国人です。
彼らは、懸賞金欲しさに栗木を。

今回は子供VS大人で
バトルが繰り広げられていきます。
歌舞伎町で大勢の大人と子供が
ひたすらぶつかり合っての戦いでした。

 

真犯人を知っていた城島

話が進んでいくにつれて
山王会から絶縁された
和久田(わくだ)
どうして城島についていくのかが、見えてきます。

城島は片目の視力を
失いながらも、和久田たちを
助けていた過去があったのでした。
 

和久田はまっすぐな人です。
これが唐沢や藤巻たちに
脅しをかけられても
揺らがないワケでした。

数少ない仲間だけでなく
自分の命も救われた
城島への”義”があったのです。

 
この事実を知った唐沢に
本当の城島の姿が見えてきます。

彼は唐沢と似た部分のある人。
だからか城島は、唐沢の気持ちが少し分かるよう。

唐沢が城島のことを殺せないのと
同様に、城島も今泉のことは殺していないと。
しかも彼と今泉は、旧知の仲です。

そう断言してみせたのでした。

 
また城島は最初から
誰がこの騒動の糸を引いているのか
分かっていたのです。

中心にいる人物を
彼は止めようとする動きを見せていました。
 

唐沢との会話の中でも、彼からのヒントが。

「大人とガキの違いはなァ、
感情を制御できるかどうかだ……」

これが、犯人を知る城島からの
ヒントなのでした。

 

変わり者の集まる歌舞伎町

有動 界(ゆうどう かい)
10代の彼が八木沢のことを
手懐け、今回の騒動の中心にいた人物です。

八木沢は、もともと城島と
手を組んでいたはずでした。
けど城島の思うようには動かず。
どちらが上に立っているのか
分からない状況に
城島は彼女を切ろうとします。

けど彼が動くよりも先に
切ったのは、八木沢の方でした。
500億のお金もまるまる
彼女と一緒に消え去り
城島の怒りはフツフツと。

けど彼女は更に彼を
「枯れたオッサン」と挑発し
城島の教え子である
有動の側についていることを公言するのでした。
 

それでも有動はあくまで
城島の塾生です。
ただの塾生だろうという声に対し
唐沢は殺すことに
ためらいがなければ
子供だろうが、プロと変わらないと。

有動はその点
プロ中のプロでした。
そして大人であれば堪えることも
彼はセーブする必要がないと考え
思うままに、好き放題です。

 
彼は多くの仲間をつれて
歌舞伎町にある大きなホテルを
拠点に根を張り
大人たちとの戦いに備えていました。

全館を年間契約で
借りるとなれば、かなりの金額が。
それがどこから出たものかは
この流れを見ていれば察しがつくはずです。

 
有動が城島から
学び終える前に、殺しておくべきだったと。

けど城島は、有動がいずれ
脅威になると分かっていながら
殺すことができなかったのです。

自分の教え子を手にかけるのは
余程の覚悟がないと
できることではありません。

昔の恋人である八木沢と
教え子の有動が手を組んで
起こした惨劇に、城島がどう決着をつけるのか。

次の巻へ続きます。

 

今回は、子供たちに舐められている
大人の図がありました。

「青臭ェガキにゃ
どうあっても
舐められたらあかんのじゃ!!」と大噴火の藤巻。

仲間たちが次々にやられ
さすがの唐沢も
「オレも”極道”で行きますわ…」と。

これまでどんな強敵にも
勝ってきた彼らが
子供相手にやられっぱなしの様子。
 

相手が子供だと
それだけブレーキが
かかってしまうのだと思いました。

けど子供たちは
大人のそんな気持ちなど知らず
感情のままに動けてしまいます。

そんな彼らに翻弄される
唐沢たち大人がいました。

 

 

12巻

一度負けを味わった有動と八木沢

この一件で、また唐沢の
仲間が消えていくことになります。
更には、仲間の裏切りと。

けど裏切りというよりも
背負っているもののある人が
窮地に立たされた時の選択に見えました。
 

また敵の中心にいる
有動ですが、彼の過去を知ることになります。
それを聞いた唐沢たちには
これまでと違うものが芽生えていました。

 
城島から有動へと
従う人を変えてきた八木沢。
こうして手を組んでいた2人は
城島と唐沢によって
それぞれが一度、敗北を知ることになります。

静かにブチギレている
唐沢に対し
城島は、まだぬるいものでしたが。
塾生に叱責する先生のものでした。
 

「自分が居るべき
場所(せかい)に帰るんだな…」と
言われた八木沢。

挫折や痛み、哀しみを知れと
城島から「それがおまえ達の
本当の”骨”となり
“芯”となる!!」と言われた有動。

2人が首を突っ込める
世界ではないと。
一度負けた2人は
その後、無言のまま背中を合わせていました。

 
2人を消すことが
この争いを、一番手っ取り早く
終わらせる方法です。
けど唐沢も、城島もそれができずにいました。

これが普通の人間なんだと。
お賽銭にお金を入れながら、そう話す唐沢。
 

たくさんの人を殺してきた
タオ親子のような
人をなんとも思わずに
殺せてしまう人たちとは違うことを、彼は自覚していました。

強そうに見える唐沢ですが
彼こそ、神の力を
必要としているのかもしれません。

 

窮地に立たされた林(リン)の選択

ブログには出てきていなかった
進藤 優香(しんどう ゆうか)という
女子高生が、ここでも登場します。
最初からずっと
登場している子です。

そして有動と同じく
城島の塾生である亜希(あき)

優香が有動に
襲われそうになったところを
亜希が助けたのがきっかけで、2人は友達に。

彼女たちの、ほんのり休憩タイムな
エピソードを挟みつつ
「人生は一刻(いっとき)」と
逆襲のために、また動き出した有動と八木沢がいました。

 

まず有動たちが攻め入ったのは
唐沢の仲間である
羅(ロー)の店でした。
そこには林(リン)の姿も。

羅は撃ち殺され、お店は火の海に。
林には、それを見せられた後に
脅しが待っていました。

 
誰に飼われるか、その主人を決めろと。

「誰に飼われようが
喰う飯は同じなんだよ」と
話す八木沢と
「同じ飯なら、
仲間と喰いてェさ」と漏らす林。

けどそんな林に追い討ちをかける
事件が襲いかかります。
彼の妻と両親の殺害でした。

こうして歯止めの効かなくなった
林は、唐沢たちを裏切り
八木沢側につくことを選ぶのでした。
 

そんな彼を最後に止めたのが
唐沢ではなく藤巻だったところ。

仲間が次々といなくなっていく中
林までもを失うのは、かなり辛いものが。
藤巻の思いも届かず
彼は敵側へまわってしまいます。

さっきまでの仲間が、今からは敵という。
心の整理の時間も
与えてはもらえないのが現実でした。
 

12巻を読んでいると
必死に築き上げたもののために
切り捨てなくちゃならない時もあるんだと。

それを責めることはできないと
言う人の話しを見ると
ストンときてしまうものがありました。

 

力をなくした時に残ったもの

羅までもを殺した有動に対し
唐沢は”心情”は無駄だと話します。
肩を撃ち抜き
八木沢を誘き出すための
エサにしようとしていました。

けど彼女は不利になった
有動に対して「GOOD LUCK」と。
それだけを残して
助けようとはしませんでした。
 

もうよくあることだと
この世界のことを
受け入れられるようになっています。

けど彼女は
有動に惚れていた人です。
彼女にとって彼は
自分そのものなんだそう。

なら、どうして離れて
林と行動をとるようになったのか。
自分にはわかりませんでした。

八木沢のことを
今でも考えている
城島の腕も振り払って
彼女はどうする気でいるのか。
林も彼女に
どこまでついていくのかが
気になっています。

 
そんな調子の良い八木沢に対して
今の有動は真逆でした。

彼が不利になったことで
今まで有動の側にいた
人たちが、一気に離れていくシーンがあります。
 

閑散とした大きなホテルに
残ったのは亜希だけという。
そんな彼女が、その後
撃たれても、無反応の有動にまた
“心情”のない世界を見ていました。

綺麗事の通じない時間です。
そんな有動に、唐沢は
痛みでわからせようとしていました。
 

ですが、八木沢たちによって
唐沢のそばにずっといた
キムまでもが命を失うことに。

仲間の全員が
来るとこまで来ていました。
それを止めようとしたのが亜希です。

彼女は有動が、どうして
今の彼になってしまったのか。
父によって、母と子で
別々の場所に売られ
そこで、普通じゃ耐えられないような
酷い目にあっていた過去があったのです。

死んだキムも
日本人の父に捨てられた人でした。
話を聞いた唐沢や藤巻たちの中で
何かが変わった、12巻の最後でした。