『ゴールデンカムイ』28巻 ノラ坊と菊田のお見合い劇場【漫画感想・あらすじ】
久しぶりのマンガ感想です。
今回は『ゴールデンカムイ』28巻。
遂にここまで来たと。
そういう気持ちで
読み終えられた巻でした。
作者は野田サトルさん。
2014年から週刊ヤングジャンプにて
連載され2022年4月に完結。
そしてアニメ4期も制作決定。
ネタバレがあるので
それでもいい人だけ進んでください。
あらすじ
主人公の杉元佐一は
アイヌの少女アシㇼパと一緒に
金塊を見つける旅に出ていました。
金塊へのヒントは
囚人の背中に彫られた刺青人皮と
それを作ったウイルク
そして娘のアシㇼパにあります。
けどウイルクは射殺され
その後は、刺青人皮と
アシㇼパの中だけに残っていました。
彼女も、最初は忘れていたのですが
旅の途中で思い出すことになります。
27巻では
鶴見の脅しによりアシㇼパが
とうとう刺青人皮の
ヒントを話してしまいました。
そして杉元たちも
海賊房太郎の死ぬ間際、
1番最初に金塊があった場所を
知らされることになります。
鶴見側の方が
わずかに先を行っていました。
登場人物
■杉元 佐一(すぎもと さいち)
杉元の過去が、また覗けます。
27巻で、少しの時間だけ再開した菊田と杉元。
あの時一瞬見せた
表情のままの杉元が、28巻にいました。
■アシㇼパ
子供のアシㇼパには
本当に過酷すぎる、この争奪戦。
自分が彼女だったら
どこかで倒れてると思う。
■鶴見 篤四郎(つるみ とくしろう)
彼の作戦に巻き込まれてる
隊員で、ここまでついてきた人は
やっぱりどこか飛んでる部分が、あるんだと思った。
■月島 基(つきしま はじめ)
鶴見の人柄を分かっていながら
彼のために、進んで人を殺しにいく月島。
今まで一緒に行動していた人でも
関係なしだった。
杉元と争ってほしくないなぁと思う1人。
■鯉登 音之進(こいと おとのしん)
鶴見を信じたいけど
不安な部分に目がいく鯉登。
安心して、冷や汗かいてを
繰り返してる彼は
ある意味元気な人に感じてた。笑
■菊田 杢太郎 (きくた もくたろう)
菊田の昔を知ったのと
知らないのとじゃ
彼がだいぶ違って見えた。
ここにきてええええって思う。
■有古 力松(ありこ りきまつ)
疑い疑われながらも
自分の思うように行動した人。
菊田といろいろあったけど
彼がいてよかったねと思う東です。
■尾形 百之助(おがた ひゃくのすけ)
前に暴れた分なのか
今回は静かな尾形でした。
感想
鶴見・月島・鯉登の不穏な空気
いつ誰がどういう行動に出るのか
わからないのが、ゴールデンカムイです。
裏切っているのかと思っていたら
命懸けで助けてくれたり
疑わずにはいられない人がいたりと
人間劇場が繰り広げられてきました。
その1人、強烈な人物が
鶴見 篤四郎(つるみ とくしろう)です。
彼は、1番の危険人物でした。
そんな鶴見に忠誠を誓っていた
鯉登 音之進(こいと おとのしん)は
鶴見に対して
不安を感じるようになってた。
鶴見大好き人間だった、あの鯉登が。
もう以前の彼ではなく
なんとか冷静さを保っているような
そんなふうに見えます。
そして鯉登のそばには
彼の信頼している
月島 基(つきしま はじめ)の姿が。
2人はほぼずっと
一緒に行動してきた者同士です。
月島は鶴見という人物を
鯉登よりもずっと前に、見抜いていました。
それでいて鶴見の元に付くという。
月島も、ぶっ飛んでる。
彼はどこか淡々としていて
あまり感情を表に出さない人です。
なんのために鶴見が
金塊を狙っているのか。
自分の復讐のためであれば
鶴見を殺そうとまで考え月島。
けどその必要はなかったよう。
鯉登も、月島と同じように
安心して、鶴見への忠誠を改めます。
けどその直後、2人は
鶴見の、また疑わしい点に
気づいてしまうのでした。
それは鶴見はさっき
なんのために戦うのかと話していた時に
鯉登たちの存在に
気づいていたんじゃないかということ。
聞かれているのがわかったうえで
名演説をしたのではと。
そう思い当たった理由は
自分たちの体から
ビール工場で大量に浴びた
ビールの匂いが、ぷんぷんしていたことです。
鯉登と月島は
鶴見からバレない位置に
姿を隠していたものの
匂いは誤魔化せません。
急に空気が凍った気がしてた。
鯉登は、色々なことに
敏感な人でした。
そして月島よりも、感情が
出てきやすいみたい。
月島は冷ややかに
鯉登は冷や汗をかきながらも
鶴見の一つひとつが
気になって仕方ないようでした。
常に争いの中心にいる鶴見
鶴見はアシㇼパから
刺青人皮(いれずみにんぴ)
解読のヒントを得て
もう彼女に用がなくなっていました。
そこで彼が彼女をどうしようと
考えていたのか。
鶴見の次の行動よりも先に動いたのが
有古 力松(ありこ りきまつ)でした。
彼は土方歳三
(ひじかた としぞう)の一派からも
鶴見たちからも疑われ
更には鶴見についている
相方の菊田を裏切った過去もあります。
菊田も中央政府のスパイとして
鶴見を見張っていたけど
菊田と有古は、戦場を共にした同志でした。
そんな有古はアシㇼパとも
接点があり、彼女には
何かを感じていたよう。
鶴見のそばには月島たちが。
絶対に近づきたくない人が
揃っているところに
1人乗り込んでいった有古。
無鉄砲すぎると思った。
彼のアシㇼパ救出作戦は
半分成功で半分失敗。
アシㇼパと
ソフィア・ゴールデンハンドを
逃がせたものの
有古は菊田の目の前で
月島に胸部を撃たれてしまいます。
真っ白になる菊田の横を
月島がイキイキと
通り過ぎて行ったのが、グサッときてた。
悪気をこれっぽっちも
感じていない、その表情はって。
人間関係が複雑に、絡まり過ぎてた。
恨んで恨まれて
膨らみすぎた事態の収集は
すごく困難に感じる。
人の力ではもう無理な気が。
となるとやっぱり
黄金のカムイ(神)の力が
必要なのかと思ってた。
その後、有古の命を
諦めなかった菊田は、彼を病院へ運びます。
有古は、そこで
奇跡的に一命を取り留めることに。
けどそれを、自分ではなく
有古の父のおかげだと言う菊田。
2人の間にも、色々あったけど
菊田は、優しい人にも感じました。
このどこまでを、鶴見は予想していたのか。
全部がたまたま起きて
周りの人が不要な元隊員を
排除することになったのか。
鶴見劇場は、まだまだ続きます。
彼の排除リストに
まだ名前の残っている人物がいました。
ノラ坊と菊田の再会
息抜き回のように感じてた。
アシㇼパが列車の中で
刺青人皮の解読に
奮闘している最中のことです。
彼女には本物と偽物の
見分け方がわかっていました。
鶴見の指示の通りに
偽物の刺青人皮を作った
江渡貝 弥作(えどがい やさく)は
相当な腕の持ち主だったよう。
「本物を凌駕する偽物を作ってしまったのかも」
というアシㇼパがいた。
その時杉元はというと
列車の中で一休み。
彼は懐かしい夢を見ていました。
自分の生まれ故郷を出て
東京に1人きていた杉元。
彼は、陸軍士官学校の
生徒たち相手に
乱闘の騒ぎを起こしていました。
大勢に抑え込まれても
引かない杉元。
たまたま通りかかって
騒ぎを見たのは菊田です。
彼は騒ぎの中にいる
杉元に、何か感じていたよう。
この時の菊田はというと
鶴見のいる第七師団ではなく
第一師団に、所属していました。
お腹を空かせていた杉元に
ご飯を食べさせながら
菊田は話しをすることになります。
杉元はこの時から菊田に
ノラ坊のあだ名で、呼ばれるように。
そこで助けた代わりにと
頼まれたのが花沢勇作
(はなざわ ゆうさく)の
替え玉になって欲しいというものです。
彼は尾形 百之助
(おがた ひゃくのすけ)の腹違いの弟でした。
内容はお見合いで
相手は、華族女学院に通う令嬢
金子 花枝子(かねこ かえこ)。
協力することになった杉元は
菊田によって、作法の猛特訓を
受けることになります。
バッチリの気持ちで
当日を迎えるも、彼には
まだまだ知らないことが多かった様子。
杉元は、初めて見る
エビフライを、どう食べたらいいのか
分かりませんでした。
杉元の暮らしとは違う
恵まれた世界に住む花枝子。
生まれた時から
お金持ちの彼女にとって
そこは当たり前の日常です。
何回か会っただけで
結婚を決める考えも
杉元には、到底理解できないものでした。
こうして杉元は、菊田と
過ごす時間が増えていきます。
杉元が、徐々に自分のことを
話すようになっていったことにじんわりと。
菊田が、お父さんのように
見える時もあった。
怒る時は、胸ぐら引っ張って
全力で暑苦しいくらいにキレる菊田。笑
と思ったら励ます時は
急に笑顔で、優しくなるっていう。
そんな彼に振り回されつつも
ひとりだった杉元には
心強い存在に見えてた。
実はで、杉元はこの時既に
鶴見たちとも、面識があったのでした。
勇作にも、杉元は独断で
話しをしにいっていたりと
結構精力的に動いていた様子。
こうして本人も知らないうちに
繋がりができていっていたのが
楽しかった。
けど勇作との会話は
杉元に思わぬ気づきを与えてくれます。
変装のためにと菊田が
杉元に貸してくれた帽子は
菊田の弟のものだったのです。
これが杉元の今も
ずっと被り続けている帽子だったら
素敵だなあと思いました。
杉元のフリチン劇場
そういうことです。
タイトルに全部が詰まってる。
お見合い2日目。
花枝子は、杉元の童貞を奪うことしか
頭にありませんでした。
さあこい童貞、押せ押せ押せみたいな。笑
このモードに入った女性は強かった。
使用人と手を組み
杉元の服を脱がせ
全裸の杉元に近づく花枝子。
目がマジだった。
杉元がこれまで体験したことのない
バトルの最中に
花沢勇作の童貞を
鶴見や尾形たちが、守ろうと乗り込んできます。
この時、まだ勇作と
対面したことのない尾形。
彼は、内心何を思っていたのか。
童貞を奪われてしまうと
旗手(きしゅ)である勇作は
戦場に立てなくなってしまうのです。
戦場で軍旗を掲げる人の
暗黙のルールに、童貞であることが
あげられていたのでした。
この時、女性相手に銃まで
構えていた鶴見。
そのくらい重要なことらしい。
そのことを察知した杉元は
尾形の目の前に
帽子だけ被って、あとは素っ裸で登場することになります。
勇作との初対面がこれじゃあ
尾形が気の毒に思える。
そしてここからはもう
文章じゃ無理だと思う。
揺れてるは、梅干しマーク見えるはで
間近で見ていた花枝子は
目ぇ見開きっぱなしだった。
乱闘に巻き込まれてることを
忘れて、1人大興奮の彼女が。笑
その雰囲気を一変させたのが、月島の発砲です。
銃弾は、庇いに入った
菊田の肩を掠めていきます。
これを合図に、杉元たちはその場を退散。
その後、上だけ服を着て
股間を菊田の弟の帽子で
隠した状態の杉元がいました。
東京の街中で
そのまま立っていられる杉元の
メンタルは、どうなってるんだって。
お見合いの話は終わって
彼は陸軍に入ることを決めます。
菊田は、死んだ弟を浮かべて
反対してたけど
杉元が気持ちを変える気配は
ありませんでした。
そのまま、陸軍の帽子を頭に被り
自分は不死身だと、言い切る杉元。
そんな彼の様子に、菊田は
弟の帽子を彼にあげることにします。
それを、どこにいても肌身離さず
身につけている杉元にとって
この時の菊田との出会いは
とても大きいものだったんだと感じています。
この話、自分はもっと早く
知りたかったと思ってしまった。
すぐ後に続く展開が、悲しすぎてええええええ。
菊田あああああ↑↑↑って
上昇したところで
最後の最後に
ズウウウンときたのが28巻です。
鶴見一派、杉元や土方たちは
ほぼ同じくらいに
刺青人皮の暗号を解くことに成功します。
ド派手なのに
まったく思いつかない場所だった。笑
暗号が解けた時の刺青人皮と
実際の場所が重なるようにして
見開きページで、大きく描かれていたのが好きだった。
杉元が、いつも被っていた帽子。
額の中央には、星がつけられています。
星ってやっぱりいいなと。
土方や永倉新八
(ながくら しんぱち)にも
縁のある、五稜郭
(ごりょうかく)へと、全員が向かうことになります。
そして鶴見はというと
解読の場にいた菊田を
銃で撃ち抜いたところでした。
コミック
関連記事
最新刊『ゴールデンカムイ』29巻 杉元・土方・鶴見ら五稜郭にて全員集合【あらすじ感想】
今回は『ゴールデンカムイ』29巻についてです。作者は野田サトルさん。2014年から、週刊ヤングジャンプにて連載されています。とうとうこの時が。五稜郭(ごりょうかく)での戦いが始まります。眠っていた金塊が思い描いていたものと違かった時の、全員のリアクション。ネタバレがあるのでそれでも良い人だけ進んでください。