『血の轍』9巻 静一が思い出した3歳の記憶【あらすじ感想・ネタバレ注意】
ヤッホの東です。
今回は『血の轍』第9集のことを、書いていきます。
作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。
表紙の色も赤に変わって
静子が警察に捕まってからの話に突入です。
幻覚に襲われながらも
静一は自分を取り戻しつつありました。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んでください。
あらすじ
田舎に暮らす長部家は、3人家族でした。
まるで恋人のようにして
静一に接してくる母の静子。
父の一郎は、物静かな人です。
母、静子がとうとう逮捕されました。
彼女なしでの時間を
送ることになった静一。
特に警察署の人との時間は
今まで静一が
考えもしなかったことに
意識を向けるきっかけを与えてくれます。
登場人物
■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれています。
静子と離れたことで
彼は落ち着き、冷静さを取り戻していました。
このタイミングでの
事情聴取や現場検証は
彼に気づきと、過去の記憶を
蘇らせるきっかけを作るのでした。
■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母親。
今、彼女はどんな気持ちで
過ごしているのか。
長部家から出ていくことができて
喜んでいる様子が浮かんでいました。
■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
静子のために必死な一郎。
静一との温度差のようなものを感じています。
彼が平穏に過ごせる日は、くるのでしょうか。。。
■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
静一は、彼女の夢も見るようになっていました。
■三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
静子によって、崖から突き落とされた人物。
意識が戻り、彼が証言したことで
静子が白状しました。
感想
静子、長部家を出る
長部 静子(おさべ せいこ)は
自分が三石しげる
(みついし しげる)を
崖から突き落としたことを白状しました。
これを聞いたしげるの両親は
今まで騙していた彼女への
怒りが爆発します。
それでも静子を
庇おうとする父の一郎(いちろう)は
静一(せいいち)と似たものを感じました。
静子が捕まってからも
なんとかして実刑にならないよう
弁護士まで登場します。
静子と、静一までもが
証言をしていても、諦めない一郎なのでした。
警察に連れて行かれる前の
長部家の中は、荒れまくっていた。。。
けどそれも仕方のないことで。
玄関前で、静子の足に縋りついた静一。
「いいママになれなくてごめんね」
という静子の言葉は、本心だと思いたいなと。。。
もうどれが本当の彼女か
わからなくなっていました。
けど最後の言葉は
本当だと思いたいです。
そうであってくれと
でないと静一があまりに、かわいそうで。
もう静子がいないと
生きていけないって
なっていたところで
引き離される、この展開。
静一はこれから、普通の日常を
取り戻していくことになるけど
すごく静かで、どこか虚しそうにも見えました。
けど今まで、どれだけ
張り詰めた中で
静一が過ごしていたのかが、よくわかります。
静子が連れていかれ、顔面蒼白の一郎。
彼は車で、すぐに後を追いかけていきました。
家には静一1人だけです。
相変わらず、物が散乱して
ゴチャゴチャの家。
けどどの部屋を見ても誰もいません。
静一は、その様子に
今までににないくらいの
落ち着きを感じているようでした。
ついさっきまでは
大泣きで、静子の乗った車を
追いかけていたのに、それが嘘のようです。
彼も一郎のように
取り乱して、彼女を必死に
連れ戻そうとするのかと、そう思い込んでいました。
「ゆるさなかったら、なにしてくれるん?」
静子が、捕まる前
静一に聞いた言葉です。
結局彼は何もしませんでした。
静子に暴力をふった
しげるの父に反抗したぐらいで。
とんでもないことを
しでかすことなく、彼女は警察に連れて行かれました。
きっと静一は静子のように
許せないと思うことが
はっきりと見つからなかったんじゃないかと。
静子は、誰が許せないって
もうずっと前から、標的が定まっていました。
けど彼女は、許せなくても何もできません。
だから、この場所から
出ていくということを
しようとしていたのでした。
子供である、しげるに大ケガを負わせて。
大人相手には何もできないけど
子供にならと、暴力的な行動に出る
彼女は、やっぱりイヤな人でした。
警察署での事情聴取
落ち着きを取り戻した
静一のもとに、一郎が帰ってきます。
静子が逮捕され
今度は静一の事情聴取が待っていました。
こうして彼は、警察署へ行くことに。
そこで、今までのことを
全部話していくうち
静一は気づかずにいた
自分の気持ちを知ることになります。
彼は、あれだけ自分が
怯えていた静子に対し
みじめだと感じていたのでした。
そして、肝心なところで
わからないと言い出す静一。
静子によって、しげるは
自分で、崖から落ちたんだと
聞かされ続けていた部分です。
けどここで彼は
自分の感じたものは
自分のものだと、教わります。
目を覆って話す静一は
支配から逃れて
自分が見たものを
そのまま話せるようになっていきました。
それでも静子が
夢に現れることは、まだ続きます。
その度に、自分は自分のもの。
そう言い聞かせている静一でした。
忘れていた3歳の記憶
この日は、実況見分の日でした。
実況見分とは、事故当時の状況を
再現して確認する捜査です。
またあの場所に
行かなきゃならない静一の心境。
静子の歪んだ影が
話しかけてきます。
それでも彼は、事実を伝えようと続けました。
崖の上で、静子役の人が
しげる代わりの人形を抱えていた時です。
丘の上で、抱き上げられた
幼い自分と静子の姿が
フラッシュバックしたのでした。
彼はそのまま、記憶の中へ。
3歳の静一が
静子と一緒に向かったのは
静子が中学の時によく来たという
あの丘の上でした。
街が見渡せる、高い丘の上。
更に高く抱きあげられた静一。
「わたしもう きえることにする。
せいちゃんがさきね」と
不気味な笑顔で笑う静子は
3歳の静一を、丘の上から落としたのでした。
全身を強打し、頭から血を流すも
なんとか生きていた静一。
小さな体で、なんとか
這う静一を見た静子の表情。
「さっさとたて」とだけ言って
血を流したままの静一を
普通に、歩かせて帰った静子。
もうひどすぎてる。。。
その帰りに、見つけたのが
1番始めの話に出てきた死んでいる猫です。
あの時、断片的に描かれていた
内容が、鮮明に思い出されていました。
猫には、ハエが群がっています。
あの死んで
置き去りにされていた猫が
自分と重なり、鮮明に焼き付いていたのでした。
思い出した静一の表情は
これまでにないほど、半分に歪んでた。
コミック
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