『血の轍』1巻 母 静子の微笑と、静一の驚愕【ネタバレ注意・あらすじ感想】
やっほの東です。
今回は『血の轍』1巻について書いていきます。
「わだち」って読むのだそう。
作者は押見修造(おしみ しゅうぞう)さん。
『ビッグコミックスペリオール』にて
2017年から2023年にかけて連載されていた作品です。
ネタバレがあるので
それでも良い人だけ進んで下さい。
あらすじ
過保護な母と男の子の物語です。
の紹介では、とても片付けられない内容に。
どこか様子のおかしい母と
彼女に巻き込まれていく息子の様子が、描かれています。
登場人物
■長部 静一(おさべ せいいち)
中学2年生の主人公。
母から、静ちゃん(せいちゃん)の
愛称で呼ばれている男の子です。
両親の名前の、静子と一郎から
漢字をとって付けられたのかな。
頬が赤くなりがちな静一くんでした。
■長部 静子(おさべ せいこ)
静一の母。
お母さんな感じがしない、美人さんです。
キレイな人で、画面が幸せ。
でした。最初は。笑
■長部 一郎(おさべ いちろう)
静一のお父さん。
会社に勤めていて、静かなイメージのある人物でした。
■吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)
静一と同じクラスの女の子。
静一といい感じで、ムフムフしてた。
■ 三石 しげる(みついし しげる)
静一のいとこ。
思ったことをズバズバ言う子で
彼に言われたことを、きっかけに
静子の今まで気にならなかった部分が
気になり始める静一でした。
感想
表紙をめくると
どこか懐かしい感じのする
カラーページが。
アナログの柔らかい色で描かれた
静一のちっちゃい頃の記憶。
2ページ使って、大きく
描かれた静子は、キレイな人でした。
けど彼女が、毒親だって
知ってるからか
光が当たっている左ページと
陰ってる右ページの雰囲気が、ちょっと怖かったです。
先に何が待っているのか。
静一にエールを送りたい。
ごく普通の穏やかな家庭
長部家の日常が描かれています。
家族の様子に馴染んでいくところから。
田舎の空気感と、主人公の
長部 静一(おさべ せいいち)が
どんなふうに過ごしているのかが見られます。
父の一郎(いちろう)は会社勤めで
母の静子(せいこ)は、主婦でした。
静一が小さい頃に見た
猫の夢から、物語がスタート。
道端で横になったまま
動かない猫がいました。
手を伸ばして触る静一と静子。
そして寝てるんじゃなくて
死んでいることに気づきます。
どうして死んじゃったのかを
聞いてきた静一に
向けた表情が、2ページを使って
描かれていたものでした。
「どうして死んじゃったん?」
自分も静子に聞きたいな。
1話の最後、また見開きで描かれた
猫の絵に、先が不安になっています。
猫の目から、血の涙が流れているようでした。
静一は中学2年生の男の子です。
静子の様子に、たじたじなところ。笑
よくほっぺを赤らめてて
学校では、同じ2年1組の生徒
吹石 由衣子(ふきいし ゆいこ)が
気になっているようでした。
もうまっかっかで
心臓バクバクしてそうな静一がいた。笑
男子の友達にも囲まれて
これぞっていうような
学校生活を送っていました。
何もなくても、自分たちだけで
はしゃげちゃう感じ。
セミがミンミン鳴いてそうな、夏の日でした。
学校から帰ってきた静一は
猫の夢のことを静子に話します。
静子は、静一が
小さい頃の自分とのことを
覚えていたのが、嬉しかったようで。
ほっぺを真っ赤にして喜んでました。
2人とも赤くなりやすいところ。
猫は、どうして死んじゃってたのか。
モヤがかかったような感じと一緒に
話は進んでいきます。
過保護な静子と、からかう親戚
静子の本性を知る
きっかけになったのは
親戚の人たちと、山登りに行ったことでした。
静一と仲良しのいとこ
三石 しげる(みついし しげる)が
母と一緒にやってきます。
彼は静一と同年代で
思ったことをズバズバ言うタイプでした。
そして静一に、静子は過保護だと話します。
けど静一は無自覚でした。
それから、しげるの言った言葉が
静一に付きまとうようになります。
親戚が家に来ることを
本当は、あまりよく思ってない静子。
けど静一と、しげるが
仲良しだったので、静一の為にと
いつも笑顔で受け入れていました。
そのことを静一は
彼女の様子から察していたのです。
よく見てないと分からないこと。
親子して、お互いのことを
よく見てるような。
そういう感じがしてきてます。
静一が感謝を伝えた時に
静子が、ほっぺにチューしたのはビックリでした。笑
いや海外なら、そうだ普通のことだと。
これ以上引っ張られまいと
ねばる自分がいた。
また学校には、静子の知らない
静一がいます。
彼は由衣子と、2人の時間を過ごしていました。
一緒に帰っている途中で
家に遊びに行っていいかと
聞いてくる由衣子。
いやいや、それはまずい予感しかって。笑
静一も、踏みとどまって
静子に聞くことに。
約束だよと言われちゃえば
後にはひけず。
彼はどうするんだろうって、気になってます。
家に帰った時、静一の
少し嬉しそうな様子に
何か思うところがある静子がいました。
静子はこの時、何を考えてたのか
聞いてみたいような、聞くのが怖いような。
まだ自分の中では
過保護でもキレイなお母さんの彼女でいました。
事件が起きた山登り
Sven LachmannによるPixabayからの画像
全員で8人の親戚が
山のふもとに集まりました。
その中には、もちろんしげるも。
早速登山のスタートです。
みんな汗を流しながらも
声をかけあって登っていきます。
体育以外はオール5の
成績を取る静一。
体育だけは、なかなか取れないようで。
みんな彼のことを気にかけていました。
静ちゃん。静ちゃん。
みんなして静一のことを、そう呼びます。
それで何を思ったのか
静子は、いつもの呼び方をやめ
静一と、呼ぶように。
無言のドヤを感じてました。
その後、最悪の展開へと
進んでいきます。
静子が過保護なのを知っていて
しげるは、静一を
崖から突き落とすそぶりを
してみせたのでした。
実際、彼がバランスを崩すくらいに押しています。
目を見開いて、よろける静一を
必死に抱え込む静子がいた。
それを一郎は、眉毛を下げて
しげるの家族たちは大笑いして
見ていたのでした。
みんな暑さで、常に汗をかいてるから
普通の汗なのか、冷や汗なのかが
分からない分、少し変な空気が生まれていました。
ヒヤッとする展開の時
この汗をかいている感じが
ジワジワときます。
その後休憩場所で集まって
話しをしていた時
しげるに連れられ、立ちションにレッツラ。笑
がしかし、それで終わらず
今度はさっきよりも、高い位置の
崖に連れていかれることになります。
しげるは、ここからの絶景を
純粋に見せようとしていたのでした。
けど、さっき崖で押されたのがあって
静一は近づきたがりません。
そうなりますよね。
黙ってしまった静一に
声を荒げるしげるがいました。
その声を聞きつけたのか
後をつけていたのかで、静子が姿を現します。
もう嫌な予感しかしません。
ここまでついてくる静子を
ばかにし始めた、しげるは
バランスを崩して、崖から落ちそうに。
それをとっさに静子が
抱きとめたことで
彼はなんとか助かったのでした。
けどホッとしたのも束の間
しげると静一の目が、大きく開かれていきます。
暫く動かない静子が
次に何をしたのか。
そして、その後
どんな行動に出たのかは
絵と一緒に見てほしいところです。
きっと先が想像できた人も
いるかもしれません。
けど突然の出来事に動揺して
何がなんだか分からないながらも、必死の静一。
そして、あの穏やかそうだった
静子の豹変ぶりに、自分も
動揺したまま終わったのが1巻でした。
静子も、口をパクパクさせていたけど
それは自分もで。
けど1番パクパクさせたかったのは
静一じゃないかなと思います。
子供にはとても
抱えきれないような重荷が
背負わされることに。
物語に、引っ張られまいとしてたのに
一気にもっていかれた感じがしていました。
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