のほりひがし。 東の感想ブログ

映画『アンテベラム』夢なのか現実なのか、赤い蝶の謎とともに【あらすじ感想・ネタバレ注意】

映画感想

映画『アンテベラム』を久しぶりに観てきました。

映画に仕掛けられたトリックの面白さと、差別問題。

固まった考えが壊される気持ちよさ、ゾワゾワの両方が残ってます。

ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツのお二人が監督、脚本を務め

2020年に公開された作品です。

あらすじ

2人の女性のパートに分かれて進んでいくストーリー。

1人はアメリカ南部のプランテーションからの脱走計画を企てているエデン。

現代の建築物などは見当たらず、理不尽な暴力や、綿花農場にて重労働を強いられていました。

もう1人は博士号をもつ学者であり、リベラル派のベストセラー作家としても活躍しているヴェロニカ。

彼女は夫、娘と現代のアメリカで幸せな暮らしを。

この2つのストーリーが段階を経てカチリきた瞬間

それまで溜まっていったものが、一回ザパーンひっくり返された感じになります。

感想

観終わった後は仕掛けの驚きと心のゲッソリ。

黒人差別を信奉している地で、彼らがどんな目に遭っていたか。

その残虐な光景を見続けた後で、ストーリーがエデンからヴェロニカに。

このバトンの渡され方に救いを感じてます。

そうか!あれは怖い夢だったんだって。

けどその後も膨らんでいくゾワゾワ感。

脱帽です。

・・・

プランテーション奴隷制度は、イギリス領アメリカ南部から始まり、約200年ほど続いたとされています。

信奉される奴隷制度。

逃げ場のない場所での暴力に重労働。

それが閉鎖的な所で、来る日も来る日も続きます。

どのシーンも、嫌味なくらい天気がよくて。

映画の中の太陽がイヤになってきます。

煉瓦造りの小さな火葬場の中で、自分の服を引きちぎりながら叫ぶ男性。

その周りは青空に白い雲、よく照らされた草原。

誰も彼の叫び声を聞くことはなく。

火葬場の中のことがウソみたいで、全体の縮図に見えるシーンがありました。

・・・

現代の差別問題。

エデンとヴェロニカで違いはあるものの

今も続いている問題なことを突きつけられます。

鑑賞後、冒頭にある引用メッセージの重みの変化。

どうして彼女はエデンなのか。

唯一の希望。

「エデン」の言葉が無ければ、地獄でしかない場所が映画の中にありました。


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