【あらすじ感想・ネタバレ注意】映画『アナザーラウンド』大人の冷や汗酒と、子供たちへの祝杯
こんにちはの東です。
2020年公開の映画
『アナザーラウンド』について書いていきます。
デンマーク語での原題は『Druk』。
大量飲酒の意味です。
タイトル通り大量のお酒を使って
ある実験をしたことで
4人の教師の人生が飲まれていくストーリーでした。
ネタバレがあるので
それでもいい人だけ進んでください。
あらすじ
これまでの授業の内容を指摘され
お酒を飲んだ状態で生徒に
教えてみたマーティン。
そこから4人の教師の間で
秘密の実験が行われることに。
その実験によって
最高と最低を味わうことになった
彼らの物語がコミカルに描かれています。
登場人物・キャスト
■マーティン
マッツ・ミケルセン
吹替:井上和彦
マッツ・ミケルセンと
トマス・ヴィンターベア監督が
タッグを組むのは、これが2回目。
デンマークの映画
『偽りなき者』(2012年)以来とのこと。
酔うために
ひたすらお酒を飲んだマーティン。
飲むことで変われるって思ったら
もう依存症は始まってる気がする。
けど酔いのパワーで
大成功した人もいるみたいで
ナヌッてなってた。
■トミー
トマス・ボー・ラーセン(英語版)
吹替:山中誠也
涙目のマーティンの横で
彼のクズだった時を
知っていると話していたトミー。
長い付き合いなんだろうなと
時々見えるその様子が好きでした。
酔っている彼に
一番ヒヤヒヤさせられてた。
■ニコライ
マグナス・ミラン(英語版)
吹替:松川裕輝
彼もスリルに走りたくなるほどに
本当は日常で抑えているものが
あったように見える人。
表情で何か言っているような
そう思う時があった。
■ピーター
ラース・ランゼ(英語版)
吹替:金馬貴之
彼は1人の生徒を勇気づけ
トミーはサッカーのチームで
1人馴染めないでいた男の子を
励まし続けていた先生。
ラストに向かっていく
2人の様子に、引っ張られるものがありました。
感想
トマス・ヴィンターベア監督が亡き娘に捧げた映画
監督の愛娘、アイダによるアイデアも
盛り込まれていたこの作品。
アイダは撮影開始の4日後に
亡くなっていたのだそう。
19歳。車の事故が原因とのことでした。
彼女と同年代の人たちの
お酒の話を聞いていた監督。
『アナザーラウンド』には
その内容が盛り込まれています。
そして本当なら彼女も
主人公マーティンの娘役として
出演予定だったはずが叶わず。。。
デンマークでは
アルコール度数16.5%以下の
酒類であれば、何歳からでも飲めるようです。
決められているのは
16.5%以下の酒類の購入は16歳から。
それ以上のものは18歳から可能だと。
バーなどでお酒を飲むのも18歳から。
しかもペットボトルの水よりも
缶ビールの方が、安いんだとか。
お酒にかかる税金が安いため
缶330mlが100円しないと。
お酒好きの人が、多い国になるのも納得でした。
こうしたデンマークの文化に
触れながら観るのが、楽しかったです。
けど監督は、テーマを飲酒だけにしているのではなく。
もとはアルコールに焦点を絞って
考えられていたのが
アイダの死により
脚本が書き直されたのだそう。
こうして人生の目覚めを促す物語も
一緒に描かれていったのでした。
4人の教師による飲酒実験のきっかけ
映画に登場するのは4人の教師。
途中まではハラハラしつつも
アルコールの力でいい感じに
乗っていってて、その様子が楽しかった。
それが後半、悲劇が襲いかかります。
ハッピーな映画とばかり
思い込んでた東。
見事にやられてました。
主人公のマーティン・トミー
ニコライ・ピーターは同じ学校の教師です。
そしてある日
マーティンの講義に対して
生徒からは苦情が。
それを聞いた
親たちにも呼ばれて
話し合いになるほどでした。
マーティンは、教師になるのが
本望ではなかったのかな。
40歳を超えてるであろう彼は
学校も家のことも、上手くいかず
どんよりとした様子だった。
その後、友人のようでもある
4人が集まって
ディナーを楽しんでいた時のこと。
マーティンはとうとう目に涙を。
そこまできてたのかって。
お酒を飲んだことで緩んだのか
学校や家族間でのことを
正直な気持ちで話せたマーティンでした。
その時の、緊張のほぐれた感じが
よかったのかな。
後日試しに、お酒を飲んだ
ほろ酔いの状態で、授業をしてみたマーティン。
そこからニコライが知り
トミーとピーターも集まって
ある実験が始まることになります。
最初は軽い気持ちで
始まった飲酒実験を通して
どんどん歯止めの効かなくなってく4人。
そして、悩みを抱えていたのが
マーティンだけじゃなくて
友人たちにもあったこと。
その見えてくる様子と
ハラハラ感を共有してるのが
面白さになっていました。
エスカレートしていく飲酒実験
「人間の血中アルコール濃度は
0.05%が適正という仮説の検証」
バカな実験で終わらせないために
この論文を書こうと言い出したニコライ。
バカな実験だって思ったんだと。笑
そう思いながらも、仕事を
失うかもしれないリスクをとって
規則違反なことをしてた彼ら。
4人とも乗り気だったり
学校の外で酔っ払った時の
暴れ回ってる様子は、子供みたいでした。
普段どれだけ
押さえてたんだろうって思うくらい。
彼らの実験は、段階ごとに
どんどんエスカレートしていくことになります。
最初は息子にお漏らしされて
怒っていたニコライ。
そんな彼も
エスカレートした先では
お漏らしをする側に。
子供たちの見る目が
変わってきていたように思う。
マーティンも。
トラブル発生で、第2段階へ
お酒の匂いに気づかないのが
おかしいっていう意見を見た。
けどそれは、お酒と一緒に
ガブガブ大量の錠剤を飲んでたから
それで消してるんじゃないかと思う。
そこは映画で重要視
されてなさそうだったから
あんまり意識しないで観てました。
それを抜きにしても
バレるかバレないかのハラハラ感。
匂いを意識して観てた人は
尚更だったのでは。
けどトミーが
まずやらかしてしまいました。
サッカーのコーチだったトミー。
彼が体育倉庫に隠していた
お酒のビンが見つかってしまったのです。
これで教師たちは
呼び出されることに。
普通ならここで
もう続けるのは…って
誰か言うところだと思う。
なのに4人は、ここから第2章だと。
維持するアルコール濃度を
強めにしちゃうっていう。笑
強気な展開が待っていました。
どうしたらそんな
前進OKの合図に聞こえるのーって
止めたがる自分がいた。
こうして
「個人が適量と判断した量」
「血中濃度の限界」と
第3章まで進んでいくことになります。
最初は自制のできてた彼らも
アルコール依存に。
その影響は家族、学校、
彼ら自身へと広がっていきます。
最後には、穴が開くような大ダメージを
負う展開が待っていました。
これはアルコールの話だけじゃなくて、人生の話。
映画の途中で出た
セーレン・キルケゴールの説いた
不安の概念が、大事なシーンに挟まれて描かれています。
彼はデンマークの哲学者です。
自分以外の人と、人生を愛するため
失敗した後に、自分の
不完全さを認める大切さが
話されていました。
それを話したのは学校の生徒。
聞いていたのは、ピーター。
彼は4人の中で
一番ダメージの少ない人だったと思う。
笑みを浮かべて聞くピーター。
その後、一番大きな失敗を
してしまっていたトミーの場面へと
変わっていきます。
マーティンだけでなく
それぞれの人物の
言葉になってない部分にも
目を向けてほしいと思う作品です。
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