劇場用実写映画『秒速5センチメートル』簡単に見えることの難しさ【あらすじ感想】
劇場用実写映画『秒速5センチメートル』の世界に行ってきました。
監督:奥山由之
公開日:2025年10月10日
原作は新海誠監督が原作・脚本・絵コンテ・演出までを手がけたアニメーション映画。
2007年に公開された新海監督にとっての3作目の劇場公開作品です。
63分のアニメーション映画から、本作は約2時間の長編作品へと再編成されています。
もくじ
実写映画『秒速5センチメートル』のあらすじ
1991年、春のこと。
小学生の遠野貴樹(演:松村北斗/上田悠斗/青木柚/声:水橋研二)は転校してきた篠原明里(演:高畑充希/白山乃愛/声:近藤好美/尾上綾華)と出会い
仲良くなるまでに時間はかかりませんでした。
けれどずっと一緒にいることは叶わず
卒業とともに明里の引っ越しが決まり、2人は離れ離れに。
それでも文通のやり取りは続き、再会を果たした2人は
雪の降る中、桜の木の下である約束を交わします。
それから月日が経ち、貴樹は30歳目前。
周囲と一線を引き、深く関わらないようにして生きていた貴樹は
仕事に打ち込みますが、ある時に限界を迎えてしまいます。
そうして転換期を迎えた彼が思いを馳せたのは、明里との思い出。
2人の時間を手繰り寄せては、抱く予感に動かされるようにして
約束の場所へと向かうのでした。
実写映画『秒速5センチメートル』の感想
本当はずっと簡単でシンプルなものに手を伸ばす難しさ
作品は貴樹の幼少期、高校生、大人になってからの3つのパートで成り立っています。
長編になっている分、より深く描かれていて
大人の貴樹と距離が縮まった状態で、過去に入っていくのが大きかったです。
原作がアニメーション映画なので、年代では主に子供に向けた作品なのかなと
そういうイメージをもっていたのですが、誤解でした。
大人になった今だから響くものがあって
貴樹たちの子供の頃を通して、自分の幼少期が蘇ってきます。
いろいろな時期のフタが自然と開いていってました。
自分も文通をやっていた時期があって、そういう部分も懐かしかったです。
・・・
映画を観て思ったのは
大切なことは、今ここにない過去や未来だったり
どこか遠くに希望を抱くような、難しそうなことよりも
もっと単純で、本当は簡単でシンプルなことなのかもと。
今はたくさんのものに溢れていて
もっとたくさんのものを手にすればと
そうやって期待が膨らんでいくことがあったりします。
けどもっとを手にしなくても、そのままの自分でよかったのかもしれないと思った時がありました。
自分はまだ手にしてないものに期待することがあったりします。
けどそうした期待を、内側に向けていきたくなっていってました。
内側に大きな想いや強さを秘めている貴樹
過去に起きたことは、その時でしかどうすることもできない分
今が辛いほどに、記憶に残っているものは日に日に美しさを増していきます。
自分にとって記憶に希望を抱くことは、勇気のいることに感じていて。
だから貴樹は人とあんまり関係を築こうとしなかったり、心を開かなかったり
そういうところがありながらも
内側には強さを持っている人に見えてきてました。
・・・
そしてもうずっと接点のない人との不確かな約束を思い出しては
そこに湧いた感情を無視することなく、動きだしていたところ。
貴樹の起こした行動は、彼を一歩成長させることに繋がっていきます。
その一歩は誰かにとっては大きなものでも
他の誰かにとっては、ほんの些細なことかもしれません。
それでも貴樹がずっと握りしめたままでいた手を、開かせていくきっかけになっていきます。
そうしてその一歩が、また次の一歩に続いていくんだろうな、そうだといいなぁと
映画を振り返りながら、スクリーンで見た天の川を思い出してました。
簡単には言葉にならない部分を見つめたくなる作品
それと一つ前の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の記事で
自分の成長が遅いことを意識して書いた部分があったので
貴樹が踏み出していく物語に、自分は強く響くものがありました。
奥山監督が「観た人の背中に手を添えられるような」とお話しになっていましたが
悲しいなかでも、心がほぐれていくような
優しいあたたかさの宿る作品です。
鑑賞後も、静かに日常に溶け込んでいてくれます。
小さなことを少しずつ
大切にしていきたいなと思いました。
・・・
そして映画を観ていると、やっぱり新海監督の
後の作品の影がちらちらと。
この悲しさを緩和させるには
あの作品を観るしかないってなってました。
原作『秒速5センチメートル』の配信一覧
■Amazon Prime Video 配信ページ
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